創作ネタ | 『連ちゃんパパ』を嫌いになりきれない理由。でも流行りすぎるのは怖い【マンガ図書館Zで読めます】

2020年5月17日

 こんにちは。
 杞優橙佳です。

 話題の漫画、皆さん読みましたか?
 そうです。『連ちゃんパパ』です。

 Yahooニュースにも取り上げられました。

『連ちゃんパパ』は、かつてパチンコ漫画誌『パチプロ7』(辰巳出版)で連載されていた、ありま猛によるパチンコ漫画。単行本化はされていないマイナーな作品ではあるが、電子版で読むことができる。コミカルなタッチにもかかわらず、登場人物たちがあまりにも“クズすぎる”と、一部の掲示板やツイッターなどで話題となり、12日~13日にはツイッタートレンドにもランクイン。その結果、同作の無料版が配信されている漫画サイト『マンガ図書館Z』が一時繋がりにくくなるという事態にも発展した。

 その物語は、パチンコにのめり込んだ元高校教師・日之本進が、パチンコで300万円の借金を作って夜逃げした妻・雅子や息子・浩司とともに、パチンコ漬けの日々を過ごしていく…というもの。なぜか金融会社男の家に居候することとなった進は、借金の取り立ての才能を発揮し、金のためにいとも簡単に嘘をつき、周囲を陥れていていく――。

 それこそ『闇金ウシジマくん』のような、金にまつわるどんよりとした人間模様が中心となっているが、新聞に連載されている4コマ漫画のような、一見優しいほのぼのタッチで描かれているため、パッと見た感じの印象と内容とのギャップが凄まじい作品となっている。

クズすぎると話題のパチンコ漫画『連ちゃんパパ』読んでみた(5/16(土) 7:05配信)

 マンガ図書館Zからはもう読めません。
 ですので私は『ピッコマ』で作品を読みました。

 主人公のクズさに呆れつつも、全43話完走です。

 本記事では、登場人物がこれだけクズ揃いにも関わらず、どうして最後まで読んでしまうのかを考えてみます。

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主人公に残されたあたたかみ

 『連ちゃんパパ』は、なぜか金融会社男の家に居候することとなった主人公が、金のためにいとも簡単に嘘をつき、周囲を陥れていていく胸くそ漫画です。ですが主人公のことを嫌いになりきれない部分もあります。なぜか? 理由は3点あると考えました。

1つめは人を殺した時に罪悪感に苛まれていたこと
→借金の取り立てで、債務者を自殺に追い込んだ主人公が、やりすぎたことを悔やむシーンがあります。

2つめはどんな辛い目にあわされても、最後は妻と息子のもとへ戻ってくること
→息子を300万円で売るような場面もありますが、最終的には息子や妻のことを忘れきれず、よりを戻していきます。ちょっとしたすれ違いなんて人生に1度や2度はあるもので(息子を300万円で売るレベルは半端ないですが)、最終的にどう着地するかが大事な部分だと思います。ですので私は、息子を300万円で売ったからといって、主人公が家族を愛していないとは思いません。

3つめは、コボちゃんを彷彿とさせる絵柄
→実際のストーリーは、全くコボちゃんと違いますが、コボちゃんを彷彿とさせるほのぼのとした絵柄も、主人公の人柄を柔らかくしている(良い人そうに見せる)要因だと思います。

つまりは、
・人殺しという最後の一線を踏み越えない
・家族を大事にする
・コボちゃんを彷彿とさせる柔らかい絵柄

 この3点があったので、主人公にあたたかみや人間臭さを感じられ、クズすぎる行為に呆れながらも最後まで読んでしまったのだと思います。

罪に対する罰はない

 この漫画には、「金のためにいとも簡単に嘘をつき、周囲を陥れていていく」主人公に、常に罰があたえられるかというと、そうではありません。クズエピソードもしょうがないというか、そういう人もいるよね、くらいの温度感で漫画が描かれています。

 スカッとした思いなど全く感じられない作品になっており、誰がいったか「悪意のストロングゼロ」とも呼ばれています。

 それでも最後まで読ませる力がありました。
 私は、この読ませる力に「人が興味を持たずにはいられない10のキーワード」が関係していると考えます。

【読者を惹きつける】人が興味を持たずにはいられない10のキーワード

『連ちゃんパパ』には、
・性のモチーフ
・けがれ
・暴力
・混乱
・死
・射幸心と偶然

など「人が興味を持たずにはいられない10のキーワード」が盛り沢山です。

 たとえスカッとできなくとも、上記のキーワードの力だけでここまで読ませることができる……と考えるとすごいですね。

全43話だがそれ以上はきつい

 とはいえ第43話を読んだとき、さすがに疲れてきた思いはありました。クズエピソードも出し切ったでしょうし、同じくクズの妻とも離婚する気配がありません。読者としても疲れてきた頃に、ぱっと終わったのもよかったです。

 下記記事でも書いていますが、Twitter時代のコンテンツでは「③読む労力を最小化する」のが重要です。『連ちゃんパパ』はその点で100日後に死ぬワニと同様の強みがありました。

『Twitter時代に勝つ小説』4つのポイント

『連ちゃんパパ』を読んでしまう要因

 『連ちゃんパパ』を読んでしまう要因を2点にまとめると、下記となります。

①「主人公にあたたかみと人間味を残す」
・人殺しという最後の一線を踏み越えない
・家族を大事にする
・コボちゃんを彷彿とさせる柔らかい絵柄

②「人を惹きつけるトピックで物語り、スパッと終わる」
・「人が興味を持たずにはいられない10のキーワード」を連発
・全43話でスパッと終わる

 『連ちゃんパパ』の驚くべき事実は、基本的に「罪に対する罰はない」ことです。
 主人公に人を殺させないことと、家族愛だけを残しておけば、何をやっても許されるという実例とも言えそうです。

 少し怖いなと感じたのは、この漫画が2020年5月になって急にブームとなった事実です。

 一昔前ウシジマくんも流行りましたので、この系統の漫画に一定数需要はあるのだと思いますが、狂気が増してるなぁとも思えて(話題になっているだけで、読んでる人がほとんどいないなら杞憂ですけども)

『連ちゃんパパ』がアニメ化されたりするようなら、いよいよ令和の道徳観と倫理観どうなの?とは思っちゃいます。

※正義マンみたいなこと書いてしまってすみません。

小説書きにも活かせるポイントは

 最後になりますが、小説書きにも活かせるポイントを書きます。

 それはどんな悪事を働く人間でも、「人を殺さない・家族を大事にする」という人間味を残すことで、読者に受け入れられる可能性があるということです。

 特にピカレスクロマンを書きたい時などに、参考にしていただければ幸いです。(この結論も結構狂気ですよね)

 それでは素敵な物語ライフをお過ごしください。
 ここまで読んでくださりありがとうございました。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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