必ず完結する短編小説の書き方のコツ7+3
このエントリーでは必ず完結する短編小説の書き方として「20,000文字の短編小説を書く7つのコツ」と「短編小説の文字数調整3つコツ」、あわせて10のコツをご紹介します。短編小説はボリュームも少ないですし、はじめて小説を書く方にもおすすめの媒体です。このエントリーを読んで、ぜひ短編小説を完結させてくださいね。
短編小説とは?
短編小説とは、一般に原稿用紙10枚〜80枚程度(4,000文字〜32,000文字)の作品のことです。ただし、出版社やジャンルによって文字数の目安は多少増減します。
なお、その他の種類の小説も含めて、原稿用紙に換算すると、下記のようになります。
- Twitter小説 :原稿用紙1枚程度(100~140字)
- 掌編小説 :原稿用紙1~2枚程度(400~800字)
- ショートショート:原稿用紙2~10枚程度(800~4,000字)
- 短編小説 :原稿用紙10~80枚程度(4,000~32,000字)
- 中編小説 :原稿用紙80~300枚程度(32,000~120,000字)
- 長編小説 :原稿用紙300枚以上(120,000字~)
※ライトノベルの場合は10万文字以上が「長編小説」になります(公募の目安となる文字数)。
ただし、出版社によって幅があり、世の中の公募要項を確認すると、長いもので【12万文字以上】をボーダーにしている公募もあります。一般に文庫や新書の1冊あたりの文字数が12万文字と言われ、ミステリー小説では20万文字と言われます。
※ライトノベルの場合は、上記のリストの文字数から2割減程度を目指すと良いでしょう。つまり、短編小説であれば3,200〜25,600文字が目標となります。このエントリーでは、20,000文字を目標として、短編小説を書くコツを紹介します。
20,000文字の短編小説を書く7つのコツ
20,000文字の短編小説を書くための7つのコツを紹介します。このコツを活用することで20,000文字の小説は簡単にかけるようになります。7つのコツとは下記の7つです。
- 冒頭2,000文字で主人公の「達成したい願望」「問題」「悩み」を定義する
- キャラクターは対立させる
- メインキャラクターは3人以内。不必要な登場人物は出さない
- 2,000文字のクライマックスシーン(最後に盛り上がるところ)を考える
- 切り札を用意する(物語の案内人)
- 展開を予想させ、予想を裏切る(裏切らなくてもいい)
- 主人公が問題を解決するハッピーエンドにする
冒頭2,000文字で主人公の「達成したい願望」「問題」「悩み」を定義する
冒頭で主人公の「達成したい願望」や「問題」、「悩み」を書きましょう。そして、その「達成したい願望」や「問題」、「悩み」を解決するために物語を進めましょう。
「達成したい願望」「問題」「悩み」は、1つに絞りましょう。
※「達成したい願望」「問題」「悩み」を複数組み合わせても良いですが、1つに絞るとテーマが際立ちますので、おすすめです。
覚えておきたいのは「物語とは主人公が最初と最後で変化する様を描くこと」という物語の定義です。
そして変化とは「主人公の気持ち」「主人公の役割」「主人公の状況」のいずれかに対し起こります。
・気持ちの変化(嫌いが好きになるなど)
・役割の変化(兵隊が隊長になるなど)
・状況の変化(疫病がおさまるなど)
主人公の「達成したい願望」や「問題」、「悩み」があり、最終的に変化させるという意識を持って物語を進めましょう。
キャラクターは対立させる
小説に登場するキャラクターを増やすと、会話によって尺が稼げます。ですので短編小説を書く上でも登場人物は2人以上登場させましょう。
その上で、キャラクターを対立させるのがおすすめです。
天才タイプと秀才タイプ(天才と秀才と凡人の違いは何?物語作家が紹介します)、体育会系と文化会系、熱血漢と冷血漢、人たらしと嫌われ者……など、対立したキャラクターを登場させることで口論が生まれ、物語を前にすすめる推進力となります。
メインキャラクターは3人以内。不必要な登場人物は出さない
短編小説においては視点を変化させる余裕がありません。主人公の一人称で物語を書きはじめて、最後にライバルキャラの内心を書くくらいしかないはずです。
そのため、メインキャラクターは主人公と対立する1名……この2人だと議論が水平線をたどる場合は、切り札として1名追加。という最大3人で物語を書くようにしましょう。
2,000文字のクライマックスシーン(最後に盛り上がるところ)を考える
物語を書くためのモチベーションとして、クライマックスシーン(最後に盛り上がるところ)を考えましょう。最終的な着地点を決めておくことで、物語の展開が右往左往したとしても、収まるところに収まります。
既に主人公の「達成したい願望」「問題」「悩み」を定義していますから、これで最初と最後が決まりました。短編小説20,000文字の中で、最初の2,000文字と最後の2,000文字は埋まったようなものです。残りの16,000文字は、じっくり旅をしましょう。
切り札を用意する(物語の案内人)
冒頭の悩みを解決するため、主人公と旅をしましょう。ですがどうしても、物語が進展しない場合もありますよね。
例えば「男の子と女の子をメインキャラクターにして対立させたが、喧嘩別れした後で二人を再開させるきっかけがない」というケースです。
そのときに、物語の案内人として、切り札となる3人目のキャラクターを用意するといいですよ。
切り札は、例えば女の子を襲う暴漢でもいいですし、男の子の師匠でもいいですし、女の子のお姉さんでもいいです。物語を進めるためのご都合主義だと感じますか? けれど物語って進むから面白いんです。困ったときは切り札に頼りましょう。
展開を予想させ、予想を裏切る(裏切らなくてもいい)
短編小説のキモとなる部分です。単に主人公が悩みを解決するだけだと、昔話と変わりません(桃太郎が、村の人を救うために鬼退治をするのと同じ)。悩みがあって、それを解決しただけだと、物語としてはつまらないんです。短編小説を面白いと思ってもらうためには、読者の予想を裏切らなくちゃいけません。
では、どうやって裏切りを実現するか?
ヒントは、どっちに転んでも納得できそうな展開を積み上げることです。
例えば恋人がほしいと思った男の子が、街で暴漢に襲われている女の子を助けて、その子と恋人になるために奔走する物語を書くとします。このとき男の子は心理学を利用して、女の子の気を引こうとして、最終的に女の子から告白される展開に持っていけたとします。
さて、クライマックスで男の子は、女の子の告白を承諾して恋人になるべきでしょうか?、
これって読者によっては「心理学に頼らず関係を築かなきゃ!」とか「心理学で操作した時点で恋人になる資格はない」とか「女の子は心理学に気づいていたけど本当に好きになった」とか、様々なゴールが思い浮かびます。
こういった賛否両論の状態をつくりだすと、読者の予想を裏切ることができますね。ぜひ、使ってみてください。もちろん読者予想を裏切らず、大多数が好ましいと感じるゴールに進んでもOKです。
主人公が問題を解決するハッピーエンドにする
短編小説の結末は主人公が問題を解決するハッピーエンドにしましょう。ハッピーエンドにすることで、この作者の作品を読みたいなと思ってもらえます。2,000文字のクライマックスシーンがどうしてもバッドエンドになっている場合は、その後に500文字くらい結末部分を書き足すといいですね。
「主人公は村に帰って幸せに過ごしましたとさ、めでたしめでたし」でも良いですし、「このとき主人公の成果は一切認められなかったが、後にこの功績は英雄の所業として讃えられることになる」といった後で評価されたよという補足でも構いません。主人公の物語が何か世界のためになったのだと、読者に伝われば読者は救われた気持ちになれますから。ぜひ短編小説はハッピーエンドで終わらせてくださいね。
短編小説の文字数調整3つコツ
「20,000文字の短編小説を書く7つのコツ」を実践してみると、思ったより簡単に20,000文字が書けたのではないでしょうか。逆に20,000文字越えてしまったよという方のために、20,000文字の短編小説を書くための文字数調整3つのコツを紹介します。
- シーン数で調節する
- ギャグ化する
- 地の文を省く
それぞれ見ていきましょう。
シーン数で調節する
20,000文字の短編小説ですと、シーンの数は5〜8シーン程度ではないでしょうか。
それよりも多いシーンを短編小説で書こうとすると、どうしても紙面上厳しくなります。そこで使える方法が、「シーンを合体する」ことです。例えば「AさんがBさんにラブレターを渡す」というシーンと「AさんがBさんに告白する」シーンを合体するなどです。
恋愛でも戦闘でも、1ステップずつ段階を踏んで進めていきたかった部分を、1シーンで2ステップ・3ステップ進めてしまいましょう。こうすることでシーン数を調整することができます。
ギャグ化する
小難しい話を書こうとすると、どうしても文字が多くなってしまいます。例えば短編小説で魔法の理論を細かく語ろうとすると、紙面がありません。
短編小説では細かな理論はぶっ飛ばしてしまいましょう。
例えば
「SNSでフォロワー10,000人にならねえかなー」
「朝起きたらなってたわ!」
という飛躍があってもいいのが短編小説です。
ただし、注意点が一つあります。
それはクライマックスにはギャグを使わないこと。大事なところはキッチリしめるのが、短編小説の大事なポイントです。
地の文を省く
短編小説では思い切って地の文を省くのもおすすめです。
例えば登場人物を2名にして、それぞれ喋り方に特徴を付ければ、どちらが喋っているかは一目瞭然ですね。口語の多い物語は読者としてもテンポよく読むことができます。地の文を省き、台詞中心に進める手法は、登場人物の少ない短編小説でこそ活用できる方法です。
10のコツまとめ
必ず完結する短編小説の書き方として「20,000文字の短編小説を書く7つのコツ」と「短編小説の文字数調整3つコツ」をご紹介しました。まとめると下記になります。
これなら私でも短編小説が書けそうだと思っていただけたら、大変嬉しいです。
今後、小説の長さはどんどん短くなると予想しています。というのも、小説はYoutubeやNetflixと自由時間を奪い合う娯楽のひとつだからです。今までのように時間をかけて読んでもらうのではなく、10分〜30分で楽しいと思ってもらえる娯楽として生まれ変わるんじゃないかと! 短編小説は娯楽としてちょうどいい長さの媒体ですから、今後いろんな賞も生まれて賑わってくるのではないでしょうか! あなたも素敵な短編が書けたら、コメントで教えて下さいね!
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