物語に二項対立を組み込むことで4つのエンディングを想起する

2020年4月4日

『文学のトリセツ』という本を読んでいます。

文学とは何かから、いま文学を学ぶ意味、文学の批評の方法までが書かれており、文学読んでみようかなと感じさせられました。(批評についてはまた別途書いていきますね)

本エントリーでは『文学のトリセツ』にかかれていた二項対立の考え方を用いて、物語のラストを考え出す方法について書きます。

Unlimited 読み放題 - 200万冊以上の本が読み放題 2ヶ月99円!

境界を超えろ!シリーズが特別キャンペーン中!5冊セット495円!

二項対立とは

二項対立とは、言語学者フェルディナン・ド・ソシュールが提唱した概念で、対立する2つの要素のペアのことを指します。文化人類学者のレヴィ=ストロースは、この世界は様々な対立する2つの要素がからみあったシステムであると考えました。

例えば人間は「男と女」という2つの要素でできています。
アイドルコミュニティは「アイドルとファン」でできています。

その他にも、辞書に載っている多くの言葉には、対義語があります。
「善と悪」
「生と死」
「正解と誤答」
「富豪と貧乏」
「外と内」
「原因と結果」
「過去と未来」など。

これらは対立する2つの要素(二項対立)です。
この世界は沢山の二項対立で成り立っていることがわかるはずです。

物語も二項対立でできている

物語の基本形は変わることだと、この記事で書きました。

この気持は今も変わりません。

そして、何かを変えるためには、本エントリーでご紹介した二項対立の考え方が使えます。例としては『文学のトリセツ』でもあげられていましたが、桃太郎がいいですね。

桃太郎は
 悪(鬼)に支配された世界を、善(桃太郎)が解放する。
というストーリーです。つまり、善が悪を倒す(善→悪)物語ですね。

では、少し想像してみましょう。
桃太郎の別のエンディングを想像するなら?
善が悪を倒す、その1パターンしか物語のエンディングはないのでしょうか?

物語に二項対立を組み込むことで4つのエンディングを想定する

『文学のトリセツ』では「記号論的四角形」が紹介されています。
これは、ある物語の意味を肯定項Aとすれば、それに反する肯定項Bが浮き上がってくるという理論です。

難しい言葉なので詳しくは本を読んで頂くとして(丸投げですみません)。
このブログでは超わかりやすく、4つのエンディングを想定する方法を書きます。もしかしたら本の内容と違っているかもしれませんので、ここからは私の持論とさせてください。

圧倒的なわかりやすさで提示します。

ポイントはOrとAndです。
この2つの軸でまずポジティブなエンディングを想定します。
桃太郎を例に出しましょう。

例えば「桃太郎が鬼を討伐する」展開をパターンA(善が悪を倒す)としましょう。
善か悪のどちらかしか残らないので、これをOrの回答とします。

このパターンAと違うけれどもハッピーエンドとしては、「桃太郎が鬼と共存する」(善と悪が和解する)というパターンがあるかもしれません。善も悪も生き残るので、Andの回答ですね。

これらのパターンAとパターンBが見つかった時点で、それぞれの否定項であるマイナスAとマイナスBも想像できるようになります。

つまり
マイナスAは「悪が善を倒す」
マイナスBは「善と悪が和解しない(両方生き残る)」
というわけです。

図にすると下記のようになります。

これは「男と女」の二項対立でも同じように考えることができ、
パターンA「男が女を倒す」
パターンB「男と女が和解する」
マイナスA「女が男を倒す」
マイナスB「男と女が和解しない(両方生き残る)」

の4つのエンディングのいずれかになるだろうと予測ができます。物語を作る人も、この4つのどれに着地させようと考えて、利用することができます。

この方法の注意点

「物語に二項対立を組み込むことで4つのエンディングを想起する」方法を紹介しましたが、注意点が2点あります。

1点目は、当たり前のことですが、物語に二項対立のテーマを組み込まなければこの方法は使えないということです。もしかしたらあなたが物語をうまく着地させられない理由は、二項対立をうまく組み込めていないからかもしれません。

2点目は、さきほど紹介したパターンA,B、マイナスA,Bもハッピーエンド、バッドエンドを指しているわけではないということです。

例えばマイナスBの「善と悪が和解しない」展開になったとしても、るろうに剣心京都編のラストで志々雄真がそうしたように、地獄は悪が治め、地上は善が治めるような展開になれば、善と悪があるべき場所をそれぞれが治めているという点で、善にとっても悪にとってもハッピーエンドといえるでしょう。

まとめ

物語に二項対立を組み込むことで4つのエンディングを想定する方法を紹介しました。

『文学のトリセツ』については余り触れられませんでしたが、物語は二項対立でできているというアイデアは大変参考になりました。みなさんもご興味があれば読んでみてください。

物語をうまく着地させられない方は、自分の物語に二項対立を組み込んで、この方法を試してみると、きっと着地点が見えてくると思います。このエントリーが参考になれば幸いです。素敵な物語ライフを。

created by Rinker
¥1,280 (2024/03/19 07:15:38時点 Amazon調べ-詳細)
ここまで読んで頂きありがとうございました。
このホームページは創作者支援サイトです。
創作者の方向けの記事を発信しています。



下記ボタンを押して頂けたら
モチベーションが高まります。
応援よろしくお願いします!
にほんブログ村 小説ブログ ライトノベル(小説)へ腰ボロSEのライトノベル奮闘記 - にほんブログ村
ライトノベルランキング