セントラルクエスチョンと4つのエンディング | バッドエンド/グッドエンド/アンハッピーエンド/ハッピーエンド
本エントリーではセントラルクエスチョンと4つのエンディング(バッドエンド/グッドエンド/アンハッピーエンド/ハッピーエンド)について書きます。
セントラルクエスチョン(Central Question)とは、映画の脚本用語です。
小説やマンガシナリオにも応用できますので是非読んでみてくださいね。
セントラルクエスチョン(Central Question)とは
セントラルクエスチョン(Central Question)とは、主人公の解決しなければならない内面的な問題のことです。
セントラル・クエスチョンは、ストーリー上の全ての出来事に関係し、これは序破急の「序」の最後に観客への問いかけとして示されます。
例えばリコリス・リコイルであれば、実はこの物語のセントラルクエスチョンは以下だと感じます。
—
「失うことで得られるものがあるって」
「私は君と会えて嬉しい!」
「嬉しい嬉しい! 誰かの期待に応えるために悲しくなるなんてつまんないって」
「居場所はある。お店のみんなとの時間を試してみない?」
「それでもここがよければ戻って来たらいい。遅くない、まだ途中だよ。チャンスは必ず来る。その時したいことを選べばいい」
—
失ったときにやりたい時を選べるかどうか?でしょう。
そして、その答えはクライマックスに Yes/No で与えられます。
リコリス・リコイルであれば、主人公の錦木千束が「殺さずという誓いを失い(目的)」「アラン機関に対する憧れを失い(外的要因)」「自分の寿命に対する予定を失い(内的な壁)」ました。そうして千束は南の島まで逃げていったけれど、会えて嬉しかった人(井ノ上たきな)が残った中で何を選んだのか。
主人公の目的や、目的を阻害する外的要因、内的な壁を乗り越えて、「やりたいことを選べたか?」が描かれました。
グッドエンド/バッドエンド、ハッピーエンド/アンハッピーエンド
DKさんがまとめておられましたが、セントラルクエスチョンとグッドエンド/バッドエンド、ハッピーエンド/アンハッピーエンドは、密接にかかわっています。
つまりそれぞれの定義は以下の通りです。
・グッドエンド:セントラルクエスチョンを達成する(リコリス・リコイルであれば、様々なものを失った錦木千束は大好きなお店に戻ることを選べました。その点ではグッドエンドでした)
・バッドエンド:セントラルクエスチョンを達成できない
・ハッピーエンド:物語が楽しい展開で終わる
・アンハッピーエンド:物語が悲しい展開で終わる
リコリス・リコイルは上記の定義でいうと、グッドエンドかつハッピーエンドですね。
ただ、リコリス・リコイルは、セントラルクエスチョンが複数解釈できる作品だとも感じます。もし殺さずを貫く、誰かの時間を奪わないこと……をセントラルクエスチョンと置くならば、リコリス・リコイルはバッドエンド(と千束は感じている。実際は殺したと思った相手・真島は生きていますが)ですよね。
このように複数の解釈ができることも名作の条件でしょう。
作家はバッドエンドとアンハッピーエンドを好む
作家はバッドエンド(セントラルクエスチョンを達成できない)ケースや、アンハッピーエンド(物語が悲しい展開で終わる)物語を書きたがります。
私自身、境界を超えろ!シリーズでは主人公アインが消える展開つまりアンハッピーエンドを書きました。
※「燃ゆる剣を携えて」まで読んでいただければ、ハッピーエンドと解釈できる内容にしています。
作家がバッドエンドとアンハッピーエンドを書きたがる理由は、「大人向けに見えるから」です。
主人公に感情移入している読者にとってバッドエンドはそれまでの面白さを台無しにしかねない終わり方だからこそ、それで『面白かった』あるいは
『あの終わり方が自然で当然』と思ってもらう為には、ハッピーエンドより、構成の難易度高い。
加えて、エヴァンゲリオンやまどかマギカもあるでしょう。
つまり、物語がアンハッピーエンドで終わる方が、お客さんが考察してくれるだろう……と考えてしまうから。
しかしエヴァンゲリオンやまどかマギカにおいては、物語はアンハッピーエンドで終わっているように見えますが、実は主人公は自分の意志を持って選択をしているんですね。
ということは、セントラルクエスチョンは達成できている、グッドエンドということもできます。
ハッピーエンドかグッドエンドのどちらかを満たそう
物語が「アンハッピーエンド」と「バッドエンド」を両方満たしてしまうと、読者は後味が悪いです。
しかし「アンハッピーエンド」かつ「グッドエンド」なら、読者は余韻を味わうことができます。
物語を作るときはハッピーエンドかグッドエンドのどちらかを満たすよう心がけてみましょう。
どうしても主人公が死ぬシナリオを書きたい人が後をたたないので、せめて「アンハッピーエンド」と「バッドエンド」の区別はつけて欲しいって話。 別にお友達との雑談で話す分には、どっちがどっちでもかまわないのだけど、何らかの発表を考えているなら作者は明確に認識しておいたほうがいいです
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