出版業界の言葉狩り | 差別用語と小説家
出版業界もコンプライアンスに厳しくなってきており、様々な方面に配慮した結果、NGとなる言葉が多くなってきています。
創作界隈で話題となった言葉としては以下の通り。
今の連載でも「狂う」「狂気」はもちろんNG。
サイコパスというワードもNG。
メンヘラもNG。
犯罪者がブツブツと独り言を言うようなムーブもNG。
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病気、病名に連想、繋がってしまうようなものはダントツで厳しいですね。アニメなら特に慎重になるのも納得です
・『奴隷』
言葉狩り?クレーム抑止?ファンタジー小説で『奴隷』と書いたら校正に「差別に通じるので危険な語句ですが、歴史的記述なので今回は見逃します」みたいな事を書かれたお話
・『◯◯屋』(魚屋、床屋、八百屋など)の言い方は放送禁止自粛用語です。
※自称であったり、『◯◯屋さん』は問題ありません。
差別用語の強さ
差別用語はとても強い印象を残す言葉です。
普段使えない言葉ですし、使うと周囲から注目をあびる言葉なので、小説初心者のうちは使いがちです。私自身、「出版禁止用語がなんだ。伝えたいことを伝えるためにはこの言葉が必要なんだ」と危ない言葉を書いていたように思います。Web小説はそれが可能な環境でもありました。
なんなら普段目立たない人ほど、SNSで差別用語(強くてセンセーショナルな言葉)を使いがちに感じます。しかし、改めて差別用語の定義を確認してみましょう。
他者の人格を個人的にも集団的にも傷つけ、蔑み、社会的に排除し、侮蔑・抹殺する暴力性のある言葉。使用したことにより、名誉毀損罪など、法的に損害賠償責任が発生する可能性が高い言葉」であり、公の場で使うべきでない言葉の総称である。差別語(さべつご)とも。
差別用語 – Wikipedia
出版社がそういった差別用語を禁止しているのは、偏見を助長しないための配慮です。『◯◯屋』の例がわかりやすいですが、差別用語を使って問題になるのは、誰かが他人を貶める(それによって自分や仲間を相対的に高く見せる)ときに使うときです。
「小説の中でも、誰かを貶めるときに差別用語を使わない」ように配慮すれば、問題にはならないと考えます。差別用語を配慮なしに使っていると、コミカライズやアニメ化のチャンスを逃すことになりますので、注意したほうが良いですね。
なぜか出版禁止用語にならない「弱者男性」
最近でいうと「弱者男性」というキーワードがSNSを騒がせていますが、これも差別用語として出版禁止したほうが良いと思いますね。概ね、使うときは弱者男性を貶めて、それ以外の男性や女性を高く見せるときに使いますから。
それ以外にも「チビ」「ハゲ」「デブ」「ブス」「ブサイク」「チー牛」「陰キャ」あたり、不思議と差別用語になっていないですね。昔の基準だったらどうなのかしら。いまは自虐でいうことも多いから、許された差別用語として放置されているのでしょうかね。出版業界は新しい言葉(評価が定まっていないもの)については、差別かどうかの判断が難しいということでしょう。
それでも、昨今上記の属性は婚活業界でも人気がありませんから、本格的な差別用語として、将来的には出版禁止認定されてもおかしくないです。これらについて作品の中で使うのは注意が必要かもしれませんね。
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