悪役令嬢とは何か?その定義と面白さ

2019年10月14日

こんにちは。
杞優橙佳です。

今日は小説家になろうで、
一大ジャンルとして確立されている
『悪役令嬢』
について考えてみたいと思います。

実はこれまで物語を読んできて、
あまり悪役令嬢に惹かれたことがありませんでした。

ですがこれだけ多くの物語が
執筆されているということは、
読者としても魅力があり
作者としても書いていて楽しいジャンルなのでしょう。

ひとつの王道として、
物語の書き方ヒントにもなると思いますので
ぜひ読んでみてくださいね。


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『悪役令嬢』の定義

まずは『悪役令嬢』の定義から話を始めます。

『悪役令嬢』とは、ヒロインの成長を促したり、ヒロインに対する読者の同情を誘ったりするための敵役、ライバル役のこと。

主な特徴は4つあります。

1. 人に物事を強制する権力を持つ。
《権力の意味》他人を支配し、服従させる力。支配者が(組織・富・武力などを背景として)被支配者に加える強制力。(王族、貴族、経営者、富豪など)

2.人から称賛/崇拝される権威を持つ。
《権威の意味》すぐれた者として、他人を威圧して自分に従わせる威力。また、万人が認めて従わなければならないような価値の力。(成功者、ヒーロー、血族など)

3.ヒロインを精神的に追い詰める。
 ※ヒロインにやりたいことをさせない(恋、夢など)
  シンデレラの姉を思い浮かべてください。

4.向かう先はバッドエンド

もちろん小説家になろう内での悪役令嬢は
この通りではありませんが、基本形としては
概ね同意していただけるのではないでしょうか。

悪役令嬢の面白さ

悪役令嬢のことを調べていく中で、
悪役令嬢の面白さは3つあると感じました。

・権威権力が使えるチートポジション
・清らかな心をもつ主人公なんていない
・バッドエンドからハッピーエンド


それぞれ解説していきますね。

・権威権力が使えるチートポジション

そもそも悪役令嬢は、
王道物語の主人公をいじめるポジションであり
権威と権力を持っているべきものです。

でなければ主人公をいじめても
サマになりませんからね。

逆を返せば、権威権力を持つことが
嫌味にならないキャラクターと言えます。

主人公が努力してチート能力を得るのは、
修行シーンや努力シーンが単調で飽きてしまう。
主人公が神様から権威権力を与えられるのは
都合が良すぎるという人でも、
悪役令嬢が権力を持つのは否定できないでしょう。

これによって
余計なツッコミを受けることなく、
権威権力を利用した展開が書けるので
作者にとって扱いやすいのではないでしょうか。

・清らかな心をもつ良い子ちゃんなんていない

悪役令嬢の宿敵となるのは、
例えばシンデレラのような、
王道物語の主人公
清らかな心を持つ良い子ちゃんです。

この良い子ちゃんがじつは腹黒キャラで
悪役令嬢を貶めるために暗躍しており、
悪役令嬢がその化けの皮を暴くという展開は、
俗に「ざまぁ展開」と呼ばれて人気があるようです。

長い時代の中で形成されてきた
物語のテンプレートを
逆手に取った面白さですよね。

単純に正義 友情 勝利を
信じられなくなった時代さながらの
アンチテーゼと思います。

今まで正義だと考えられていたものを疑うことから
新しいものは生まれるのでしょう。

※異世界誕生2006も、転生が世界を救うのか?と
 考えた末に生まれたものではないでしょうか。

・バッドエンドからハッピーエンド

もちろん同じ悪役令嬢ものでも
作者によって展開は変わると思います。

ですが『悪役令嬢』の定義として、
向かう先はバッドエンドとあるので、
そのまま権威権力を振りかざして
ヒロインの子に精神的ダメージを与え続けると、
普通はバッドエンドに陥るでしょう。

※これは、これまでの小説という歴史が時間をかけて築き上げてきた共通理解でしょう。

そのため悪役令嬢と聞いた瞬間、
読者の頭にはバッドエンドが
わずかでも思い浮かぶのではないでしょうか。

下記エントリでも書きましたが、
面白さの基本は
予想をさせて、予想を外すことです。

悪役令嬢は、
バッドエンドに陥るという共通理解を利用して、
これを実現することができます。

それもハッピーエンドという最高の形で。

※思えばシンデレラのような良い子ちゃんものは、
「いま」起きているひどい状況から脱却する物語でした。
 悪役令嬢ものは「未来」のひどい状況から
 脱却する物語と言えるでしょう。

「いま」の酷さから脱却する物語も面白いけど、
 読者の視野が広がって、
「未来」の悲劇を回避する物語が読みたいんだ
 という願望の現れなのでしょうか。
 文化の進化はすごいですね。

私的にはバッドエンドを
回避するという物語の流れの中で
逆説的にハッピーエンドが約束される安心感。

これが悪役令嬢ものが支持される
最大の理由だと思いました。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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