井ノ上たきなが面白すぎる | リコリス・リコイル流「シリアスな笑い」の例

2023年2月28日

 錦木千束に続いて、井ノ上たきなについても書きます。タイトルは井ノ上たきなが面白すぎる笑 千束さんはスーパーヒーローだと書いたのに、たきなは随分扱いが違いますかね。

 しかし、どうしても書いておきたいと思いました。前書きを飛ばしたい人はこちらから読んでください→2. クールで真面目で頼りになる井ノ上たきな(何かこの見出しだけで面白いです)

※錦木千束については以下のエントリーで書いていますので、あわせて読んでみたくださいね。

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前書き:井ノ上たきなは視聴者の代弁者

 1〜3話において、井ノ上たきなは、視聴者を代弁するキャラクターでした。

 私の見方では井ノ上たきなは、「ブラック企業で仕事ができすぎて、ひたすら仕事した結果、ブラック企業に完全に染まって倫理観も常識も欠如しちゃった人」なんですよ。笑

 

 仕事ができすぎるから効率とか評価されるかを気にしますし、千束の不殺が甘っちょろいと異論を唱えます。仕事を真剣にやってる人なら共感できますよね。

 そして何より井ノ上たきなは、EDテーマの「花の塔」にあるとおり、窓に飾った絵画を一人でなぞっていればそれで良かったという、孤独に耐性があるひとです。仕事を真剣にやってる人ならわかるはずですね、出来る人ほど孤独になることを。

 そんなたきなが、3話で千束に全肯定されるから、私たちは自分自身が全肯定されているかのように感じたんじゃないでしょうか。1〜3話においてのたきなは、私たちの代弁者だったと感じます。

※余談ですが、リコリス・リコイルの制作会社であるA-1 picturesは、2022年、めちゃくちゃ上手いアニメ展開をしてきたなと考えています。なぜなら、リコリス・リコイルと、その後に続くぼっち・ざ・ろっくで、全く違う客層をターゲットにしてどちらも人気を博したからです。

 リコリコのほうは、仕事ができるが故に孤独になり孤独でも生きていけるひと(人との関係性を重視しないひと)をターゲットにしているのに対し、ぼざろは1人でいるのが本当は嫌なんだけどぼっちになってしまったひと(人との関係性を結びたいひと)をターゲットにしています。

 結果的に2022年の色んなランキングで、両者は上位に食い込みました。どこのランキングでどちらの作品が上位なのかで、そこに集まる人の属性を想像したりもできますね。

 なんにせよ井ノ上たきなは、仕事を真剣にやってるひとたちの代弁者だと感じました。まず、たきなに感情移入させておいて……。

クールで真面目で頼りになる井ノ上たきな(何かこの見出しだけで面白いです)

 仕事を真面目にやっている人たちの代弁者、井ノ上たきな。彼女は3話までに、口数少なくクールで、冗談の通じなさそうな真面目で堅物そうで、仕事のできる女感を見せてくれます。ここから笑いの話になるのですが、まずこの前振りがズルいんですよ笑

 笑いの基本はギャップです。

 クールで真面目で頼りになる……キャラが突拍子もないことをしたり(3話の早着替え、4話のさかなー、8話のホットチョコパフェなど)、クールと見せかけて変顔したり(6話、8話)、素っ頓狂な声出したり(6話のえぇー…とかきししー)、冷静と見せかけて狂犬だったり、激情家だったり仕事熱心の結果が千束いじりになっていたり(8話全般)、頼りになると見せかけて実は逆にピンチつくってたり(11話ラスト、スンッとしてるけと真島に銃奪われてピンチ作ってる気がするよ)、仕事できるはずが命令違反常習犯だったり(あれ?京都で扱えないから東京に送られた?)というところを見せられたら、面白すぎるんですよね。

 公式ラジオ「リコリコラジオ(リコラジ)」で、井ノ上たきなの声優さんである若山詩音さんがハジけまくっているのも、井ノ上の可能性を見せる上で良かったですね。声がキャラクターそのままなので、あ、たきなってここまでハジけていいんだ笑と二次創作者全員の頭にインプットされたはずです。

 若山さんのハイテンショントークのあとで、スンッと冷静なたきなの表情みたら、それだけでギャップで笑えてきます。

 さらに井ノ上たきなの凄いところは、天然ボケの特徴(言動が普通の人に比べていささか奇妙であり、本人がそれと気付かずに自分は普通と思っている)そのままにも関わらず、仕事に関しては抜けてない=つまりウザくない点が素晴らしいんです。

 天然ボケキャラって、戦闘などでトラブルメーカーになりがちで、トラブったらアタフタして自虐しがちなのですが、たきなにはそれが無い。実はこれ、ポイントで。仕事のできる人から見てもウザくなかったはずです。

※マネージャークラス、経営者クラスからすると、物語の中のトラブルメーカーってめちゃくちゃストレスを感じるそうです。ですがリコリコはそういう人でも鑑賞にも耐えられたようです。私は、たきなが天然ボケなのにウザくないのが一つのポイントだったと感じています。

井ノ上たきな流 シリアスな笑い

 最後に、「井ノ上たきなが面白すぎる」エントリーで一番伝えたいことを書きます。

 昔、「バクマン。」という「週刊少年ジャンプ」で連載していた漫画家を目指す少年2人を描いた漫画がありました。その中で主人公たちが目指した究極の概念の一つに、シリアスな笑いがあります。

シリアスな笑いとは

 シリアスな笑いとは「シリアスなのになぜか笑ってしまうシーン」の事を指します。

  • 「思わず笑ってしまうが本来は真剣にカッコいい場面」 
  • 「作者は笑いを取りにいってるつもりはないはず」 
  • 「少なくとも子供は笑わないし感動すらする」 

 そんなシリアスな笑いを成立させるには 

  1. 深刻で真剣な展開
  2. ギャグとは受け取れないような描き方
  3. にもかかわらずなぜか笑いをとる

という条件を満たさなければいけません。つまり「制作側は真剣にシリアスシーン描いてるんじゃないか?」と読者に思わせて初めて、シリアスな笑いが生まれるという超高難度の笑いなのですね。

 そして、シリアスな笑いの例として、ハンターハンターのゴンさんや、ニンジャスレイヤー、テニスの王子様のデカすぎんだろ……、ボーボボなどがよく挙げられます。

 ただ、ニンジャスレイヤーは全体的にシリアスな展開+変な使い方の日本語という、どちらかというとシュールギャグですし、ボーボボはギャグ漫画です。

 テニスの王子様やゴンさんは見た目が面白すぎて、確かにシリアスな笑いぽいのですが、見た目のおかしみで笑わされてる気がするんですよね。つまり究極のシリアスな笑いではないと思う。

 ところが井ノ上たきなです。私、12話ラストでたきながエレベーターのボタン連打してるシーンで初見大爆笑しちゃったんですよ。

これぞシリアスな笑いの例

 12話ラスト。エンクウボクの事件が解決して、千束の心臓の問題は解決していないけど、ひとまず皆んなで家に帰ることができると、ホッとした瞬間。

 千束のカバンがどこかから飛んできて、千束がそれを拾いにいく。すると真島が現れてマシンガンをフキやたきなに向けて容赦なく撃つ。フキが防御用のエアバッグでそれを防いでいる間にエレベーターのドアが閉まり、エンクウボクの最上階に千束と真島を残して、たきなたちを乗せたエレベーターは地上に降りていく。

 そこで井ノ上。「ちさとぉぉぉー!」と叫びながらエレベーターのボタンを連打するんですね。

 私は爆笑してました。明らかに深刻で真剣な場面だし、たきなは千束のことを本当に心配してドアを開けようとエレベーターのボタンを押しているんだろうけども。笑えちゃいました。

 たきな自身はめちゃくちゃ真剣だっただろうし、制作スタッフも多分笑わせるつもりのシーンじゃなかったと思うし、千束を一途に想うたきなの姿に感動した視聴者もいると思うんですよ。

 でも何故だか笑えてしまいました。しんどい展開だったから、無意識に場面の解釈を笑いに変えて、精神の安定を図っていたのでしょうか。

 私はこの12話ラストで井ノ上たきなの作り出した笑いこそ、「シリアスな笑い」の模範回答ではないかと感じました。

まとめ:井ノ上たきなは面白い

 以上、「井ノ上たきなが面白すぎる」について書きました。リコリス・リコイルを楽しめたのは、千束とたきなの掛け合いがめちゃくちゃ面白かったのも理由の一つです。

 そして、一見ボケキャラに見える千束や、コメディ担当のミズキがボケるよりも、一見クールで真面目で頼りになるたきながボケるほうが、ギャップで笑えました。

 リコリコで一番面白いのは千束でもミズキでもなく、たきなだと私は思いますね。たきながこのエントリーを見たら「なぜ千束がスーパーヒーローで私が面白すぎるなんですか?」とツッコミ入れられそうですが笑 仕事ができて可愛くて面白い最高のキャラクターでした。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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