魔女について詳しく解説!現代と古代の魔女の違いとは?

 「魔女」は大昔から、ファンタジー世界にはなくてはならない存在です。ただ、現代における「魔女」に対する考え方は、大きな転換期を迎えており、それを把握しておくことで、魔女のファンタジー小説での表現の幅が格段にアップするでしょう。

 そこで本記事では、「魔女」の定義はもちろん、「現代と古代の魔女」の違いや、「魔女」に対する世界の潮流についても触れていきます。ファンタジー小説の世界観を設定する際は、ぜひ参考にしてくださいね。

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魔女とは?

 「魔女(Witch)」は、古代から続く「ヨーロッパの魔法使い」です。その起源は、まだキリスト教が存在しなかった紀元前。特に中世からルネサンス期の魔女は「巫女の役割」を多く担い、古代宗教の「巫女の末裔」とさえ言われています。

 ただし、15~17世紀のヨーロッパになると、キリスト教や、民衆主導で行われた、狂気の「魔女狩り(魔女裁判)」によって、その姿は大きく歪められてしまいました。魔女は、「悪魔の手先(娘)」、あるいは「魔界に住む女」と言われ、「邪悪な魔法で人々を苦しめている」と信じられるようになったのです。

狂気の魔女狩り

 「魔女狩り」が、一種の「宗教的狂気」だと言われるようになった現代ですら、魔女に対するイメージは、いまだに「悪魔の手先」のままです。それでは、「悪魔の手先」とされた魔女には、一体どのようなイメージが定着しているのでしょうか?

 「魔女」と聞いて一番初めに思いつくのが、「箒に跨って空を飛ぶ姿」ではないでしょうか?日本のジブリ作品としても有名な「魔女の宅急便」でも、新米の魔女である主人公の「キキ」は箒で空を飛んでいます。

 しかし本来魔女は、「魔女の軟膏」を内股に塗ることで空を飛びます。物語では、よく魔女が、大きな鍋を使って、何か怪しげなものをぐつぐつ煮こんでいるシーンが描かれますが、あれは「魔女の軟膏」を作っているのです。

 「空を飛ぶ」以外にも、色々な効果をもたらす軟膏を魔女は持っています。例えば、「病気の治癒」や、「呪いをかける」ための軟膏などです。

 元々魔女は、「庶民の病気を治す薬剤師」でもありました。しかし、おそらくは「弾圧する側の勝手な都合」で、イメージを意図的に、悪い方へと捻じ曲げられてしまったのでしょう。

 魔女は、「使い魔(Familiar)」を持ち、両者は「絶対的な主従関係」で結ばれています。使い魔の正体は、「動物の姿をした小悪魔」で、黒猫や烏など、黒い生物の場合がほとんどです。

 魔女は、こうした使い魔の感覚を共有することができます。例えば使い魔の目で見て、耳で音を聞くなどです。そんな使い魔たちを、魔女は「魔女のミルク」という飲み物で養います。魔女は体に、「乳首に似る箇所」を持っていて、そこから出る液体を、使い魔に飲ませるのです。

 この「魔女のミルクが出る部分」を、「魔女の印」と言います。そして「魔女の印」は魔女の正体を暴く際にも利用されたと言います。

 さらに、魔女は「天気のコントロール」も可能です。意図的に、「豪雨」「日照り」「雹(ひょう)」などを起こし、「作物や家畜」に甚大な被害を与えるのが大の得意分野だとされていました。

 また、魔女は「サバト(Sabbat)」と呼ばれる魔女の集会に参加し、邪な計画を立てていたとも言われました。そしてサバトでは、「悪魔との乱交や情事」まで行っているとされたのです。

 サバトは、毎週土曜の夜、あるいは「ヴァルプルギスの夜(4月30日~5月1日の夜)」や「ハロウィン(10月31日~11月1日の夜)」に、ドイツの「ブロッケン山」や「シュヴァルツヴァルト(黒い森)」で開催されたと言われていました。ちなみにサバトは、別名「黒ミサ(Black Mass)」です。

現代の魔女から古代の魔女へ

 こうした、「邪悪な魔女像(現代の魔女)」を誤解だとして、「古き正しき魔女(古代の魔女)」を復活させようという運動もあります。映像作品としても、1991年の映画「アンナ・ゲルディソー 最後の魔女」で問題提起されています。

 この映画は、最後の魔女と言われた「アンナ・ゲルディ(本名)」が、1782年6月に行われた裁判で「毒殺の疑い」で有罪判決を受け、「死刑」にされたことを描いた物語です。

 しかし、それを良しとしない「ヴァルター・ハウザー氏」などの有志の努力が実をむずび、実に裁判から226年後の現代になり、ようやく「彼女の無罪」が認められたのです。彼女の死刑は、「裁判による殺人だった」と、当事者であるグラールス州議会がはっきりと認めています。

※1991年の映画はいま日本で見ることができません。アンナ・ゲルディンの生涯は下記の本で追うことができます。

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まとめ

 今回は魔女について紹介しました。

 内容を簡単にまとめると以下の通りです。

  • 「魔女」は、古代から続くヨーロッパの魔法使い
  • 「魔女」のイメージを悪くしたのは「魔女狩り」
  • 「邪悪な魔女像(現代の魔女)」のイメージを払拭し、「古き正しき魔女(古代の魔女)」を復活させようとする運動が起こっている

 本記事を通して「魔女」について詳しくなり、ファンタジー小説の世界観設定に活かしましょう!

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