イメージラフ、ログライン、ナラティブとレシ | プロット作りのツール
小説の「設計図・脚本」であるプロット。さぁ、いざプロット作りを!と意気込んで書き始めたものの・・筆が進まない。そんな時に小説家を助けてくれる「プロット(設計図)を作るためのツール」をいくつかご紹介します。今回はイメージラフ・ログライン・ナラティブとレシを解説します。これを知れば、プロット作成がより具体的になりぐんぐん進みますよ。
※プロットとは?から知りたい人はこちら⇒プロットは小説に欠かせない!プロットの作り方2つを解説します。
イメージラフ:ゴールの目印となる「旗」
漠然とあるイメージの中から、プロットとして言葉を紡ぐのはなかなか大変な作業です。そんな時にまず活躍するのが「イメージラフ」です。小説だけでなく、漫画、デザインなどの作品作りの前にはこのイメージラフがよく利用されています。
イメージラフとは、イメージの概略図。頭の中に漠然とある完成図を、おおまかに実際に見える絵で描いたものをいいます。英語の「rough:荒い」が語源であることからもわかる通り、おおざっぱで構わないので描いてみましょう。
イメージラフを作ることで、自分の中の小説のゴール(雰囲気や空気感)が明確になり、方向性を誤ることなく、そのイメージに向かってプロットを一つずつ作っていくことができます。イメージラフは、小説のゴールの目印となる「旗」の役割です。
ログライン:道に迷わないための「コンパス」
イメージラフでゴールに「旗」を立てたら、そこに向かってプロットを作りますが、それでも道に迷い、息詰まる時がやってきます。そんな時に活躍するのが「ログライン」、いわゆる「コンパス」のようなものです。
ログラインとは、「どんな人がどんなことをする話」といったようにストーリーを一言にまとめたものを指します。さらにまとめるだけでなく、「面白さ」を意識してまとめます。とはいえ、面白くするって難しい!実は面白くするにもテクニックがあるのです。
【ログラインを面白くする方法】
①オーバーな表現を使う
例:アリみたいな小さなヒーローが、次々と敵を退治する
②遠い存在のものを掛け合わせる
例:まじめで嘘のつけない人間たちが集まって、お互いを騙し合う
③少しだけずらす
例:すごく強くてかっこいいヒーローだけど、雨に弱い。
ゴールに向かって自分が迷わないように、面白味を含んだログラインをいくつも作り、コンパスのように方向を確認しながらプロット作りの道を進みます。
ナラティブとレシ:ゴールまでの「地図」と「道」
ナラティブは「話の構造」、レシは「文章等の表現技法」のことを指します。ナラティブは、まず「時系列順の出来事」(A)を考え、それを「起承転結などの形」(B)に構成し直します。
【例】(A)時系列順の出来事
・おばあさんは川へ行った。
・川の上流から桃が流れてきた
・おばあさんは桃を家に持ち帰った
・桃の中から元気な男の子が生まれた
・桃太郎と名づけられた
・桃太郎はすくすくと育ち、村一番の力持ちになった
・桃太郎は悪い鬼を退治することを決意する
・鬼退治に向かう途中で、心強い仲間に出会う
・みんなで一緒に鬼が島に向かう
など
↓
(B)起承転結の形
・桃から生まれた桃太郎
・桃太郎は鬼退治にでかける
・旅の途中で心強い仲間に次々と出会う
・見事に鬼を退治して、宝を持ち帰る
など
次にレシ(C)で、ナラティブに「演出」を加えます。
【例】(C)レシ
・ある所に、おじいさんとおばあさんがいた。
おじいさんは山へ芝刈りへ、おばあさんは川へ洗濯へ行った。
・おばあさんが洗濯をしていると、
大きな桃がどんぶらこっこどんぶらこっこと流れてくる。
・桃の中から大きな赤ちゃんが生まれ、その名を「桃太郎」と名づけた
など
【おすすめの書き方】
まずノートの右側に「起承転結」の形に構成し直したナラティブ(B)を書いていきます。その後、最初に箇条書きしたすべてのナラティブ(A)を各「起承転結」(B)の下に配置していきます。そして、今度はノートの左側にそれに見合ったレシ(C)を書き加えるという手順です。
このようにナラティブとレシを作っていく中で、最終的にイメージラフに間違いなく到達するように、ログラインで何度もイメージを確認しながら進みます。(ログラインもノートに書き加える場所を設けるとよいでしょう。)これが具体的なプロット作りです。
まとめ
ゴールの目印となる「旗」のイメージラフ、コンパスの役目の「ログライン」、地図や実際の道となる「ナラティブとレシ」、これらを用いれば、間違ったゴールに到達したり、迷って脇道にそれたりすることなく、より具体的にプロット作成ができるようになります。小説作りという冒険もこういったツールを上手に駆使して進めたいものですね。これらのツールがあなたの冒険の助けとなれば幸いです!
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