創作ネタ | 主人公を称賛したら気持ちよかった
現在、新作を執筆中です。
そのなかで、総理である主人公が、自分は総理であることを女子高生に伝える場面が出てきます。この場面。これまでの私であれば、女子高生から主人公へ軽蔑の眼差しを向けさせ「総理なんて私たちに何にもしてくれない偉ぶってる人だよね」などとキツイ一言を放っていたでしょう。
ですが今回は、新しい作風にチャレンジしてみようということで、
スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってましたをリスペクトして主人公を称賛することにしました。
「新葉……」
総理・新葉三鷹と女子高生・時子の会話
「ん?」
私は、時子が私の家の表札を見て声を漏らしたことに気づいた。
「もしかして、新葉、三鷹?」
「そうだけど」
時子の表情が見る間に変わった。ぽかんと口をあけて、私を見ている。
どうした? 私、なにかやってしまった? なんて思っていると。
「新葉三鷹総理―!? すごいー!!!! 病院のテレビで見て、よく似てると思ったんだ!! すごすぎる!!!」
やってみると、あれ?主人公を称賛したら気持ちいいぞ?と今更ながら発見しました。
主人公は作者の分身であり読者の分身でもある
今回の作品は主人公の一人称で書いています。だから作者としても、キャラクターにいっそう感情移入できているのですね。それもあって、主人公を他のキャラクターが褒めてくれると嬉しいし、他のキャラクターから冷たいことを言われたら凹みますし、上手くいかないことがあったら悔しいです。
これって、読者の読了感に近いのでしょう。
一人称で書くと、主人公は作者の分身であり読者の分身でもある……当たり前のことですが、読んでくれる人の気持ちになって物語を書き進められるのは、一人称で書くときのメリットですね。
とはいえ、これまでも私は一人称の小説を書いてきました。それなのに、なぜ今、主人公を称賛したら気持ちいいぞ?と今更ながら発見したのか。
最初から気持ちよくていい
私はとにかく主人公に厳しい作家でした。
例えば小説家になろうへ投稿した下記の作品は、主人公のまわりのキャラクターはどんどん狂っていきますし、ヒロインのエレナも終始可愛そうな出来事に巻き込まれます。
よく考えると、ハテの世界!のエスカリョーネも厳しい境遇におかれる主人公でした。両親を魔物に殺され、フレスヴェルグという魔物の心臓を喰らい、国際連合軍に加入することになります。
ハテの世界!1: 消えた世界の果て LinkAuter Chronicle Xceed
……厳しい。
今回は、なぜこういった厳しい展開の作品を書いてしまうのか?と考えてみました。そして原因は、自分自身の経験だと思い至りました。
私は子供の頃から逆境のなかで戦い続けてきました。数学が人よりできるのに文転するなど、自分の得意なことと向き合わず、逃げ続けてきました。その結果、自分のできないところで戦い続け、逆境だらけの人生となりました。
ですが、逆境の中で、できないことをひとつずつできるようになっていきました。自分なりの立ち位置も見出すことが出来ました。そのおかげで、私は周りの人から評価をいただくことができ、いつしか突き抜けた実績をだすことができました。
逆境の中で困難とコツコツ向き合っていれば、いつか報われるというのが、私の人生観です。これが作品作りの根幹になっているのですね。
※逆境のなかで、認められるまでにはいくつかのステップがあります。認められていくまでに必要な、心構えもあります。それを全て盛り込んだのが、下記の作品です。
境界を超えろ!1: 世界の誕生日 LinkAuter Chronicle Xceed
とはいえ私はようやく気づきました。
作品はあくまで、空想であり、現実とは違うのです。
逆境の末に報われる物語だけがすべてではありません。
最初から気持ちよくていい。
褒めるならキャラクターの誇っていない部分を
最初から気持ちよい作品を書くと決めました。
そうしたら次は、キャラクターのどこをどう褒めるかがポイントとなりますね。
私が自分で書いていて思ったのは、褒めてあげるなら「キャラクターの誇っていない部分を褒めてあげる」のがいいのかなと感じました。
私だけの感覚かもしれませんが、主人公自身が誇っている部分を褒めると、なんだか恥ずかしくなってしまいます。最強を自負している主人公が、最強だ!と褒められても……あまり驚きもなくドキドキしません。
ですが「キャラクターの誇っていない部分を褒めてあげる」と、違いました。今回書こうとしている作品では、総理という肩書を特に誇っていない主人公が、総理という肩書を褒められる……これがなかなか気持ちよかったのですね。
「キャラクターの誇っていない部分を褒めてあげる」ことで、読者も作者も気持ちよくなれる。小さな私の気づきですが、よろしければ参考にしてみてくださいね。
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