AI小説はライトノベル業界をどう変える?
ChatGPTを活用する動きが加速しています。3/14に登場したGPT-4は、以前のバージョンよりも長文の受け答えができ、内容も正確になっています。
もう数年もすれば、ホワイトカラーの仕事が軒並み奪われるかもしれません。クリエイティブな仕事にも影響があります。
昨年から爆発的に進化したAIイラストを例にとると。既に pixivの一部のジャンルでは、ほぼAIイラストだけで更新が行われています。AIを使った方が早いし楽なので、神絵師の方も自分で絵を描くモチベーションがわかないと聞きます。
次はなろう小説にAI革命の手が及ぶかもしれません。ランキング上位をAI小説ばかりが占めるようになったら、あなたは小説を書きますか?
結論から申し上げますと、AI小説の世界に訪れるのは良い未来です。クリエイティブな活動に正解はありません。そのためAIの作り出す文章の良し悪しを選択する人間の目は必要です。その選定が小説家の個性となります。
今回はAIを使った小説執筆にしぼって、AIの強みや生産スピード、これからの作家の在り方を書きます。
AIの強いところ
AIは、公共の情報をつかって、整理、推測、求められた意見を述べることが得意です。
質問に対する回答は、ある程度正確です。
機密情報は扱えません。
そのため、今後Googleで検索してわかる一般的な解をAIに聞き、独自の情報でチューニングして、付加価値をつけるようになるでしょう。
AI活用者は10倍のスピードで生産
小説でいうと、追放系の小説を書きたいといえば自動でAIが書いてくれて。作者はイマイチ盛り上がらないところを修正したり、AIに追加でアイデアを与える役割になるでしょう。
AIを活用できる人は、大量の小説を書けるので、Web小説サイトの投稿数はAI小説10:手書き1くらいになります。
※実際は1000倍くらいのスピードで生産可能ですが、生産したものの中からベストを選別する必要があります。この選別を人が行うなら、最大でも10倍くらいの効率と考えます。
それでも今の10倍Web小説が投稿されたら、スコップをする気も起きなくなります。
作家に、文章力は要らなくなる
文章は基本的にAIが作ってくれますので、良い文章を作る能力はいらなくなります。
ただし、AIは答えを出すのは上手ですが、芸術系の表現に答えはないので、何度も試行して一番良いものを人が選ぶことになります。この時に、良いものを選ぶ力が必要となります。読む力が必要です。
遠野九重さんの『人間は「大量の人間を食べたAI」を食べる』という表現が話題になっていましたが、私も同じことを考えています。『大量の人間を食べたAIが出力した作品』を選ぶ(食う)のが人間の役割になります。
昨日から「AIに作ってもらった『小説家になろう』で受けるタイトル」を別のAIに投げ込んで本文を書いてもらう…という試験をしているけど、創作分野における人間とAIの最終的な関係が分かってきたかも。 人間がAIに取って変わられるのではなく、人間は「大量の人間を食べたAI」を食べるようになる。
AI小説を差別化するのは作者の個性
AIを使って小説をつくると、似たような作品が山ほど作られます(AIイラストがそうであるように)。
そうなると逆に、作者の個性(AI小説の手直しや選別の癖)が滲み出る作品がウケる時代になるでしょう。
(自分のこだわりを捨てて、心を殺して、テンプレートにそって小説を書いてきた人たちは価値がなくなります。AIのほうが早くてうまくやるからです)
これは時代の転換点で面白いですね。
今の小説界では、個性を消さないと商業化できない迷信があると、以下の記事で書きました。
ところが今後は個性が求められる時代に転換されます。AIが学習できない、個々人の性格や倫理観、癖が評価の対象となります。
作者の好みが滲み出て、共感を得られる作品がウケる時代になるでしょう。
それでも、「この一文だけは譲れない」と書き直す奴だけが小説家なのかも知れない。
それは感性の話であり、個性の話でもあるので。
(そこまでAIが模倣して来たら?)(俺は俺専用の小説を読んで満足するが……)
まとめ:誰もがいきたい道を行ける未来がくる
今のところ見えている未来としては、AIが文章力を補ってくれ、作成の手間を省いてくれ、作家はそこに個性をまぶしていけばよい未来です。
今作家として活躍されている人の技術的な優位性はゼロにはなりませんが、小さくなります。つまり文章力は無いが面白いアイデアを考えられる人が、一躍トップクラスになる可能性があります。
※ なろう小説もアイデア勝負なところがありますので、それをさらに特化させた感じになりますかね。
この未来、多くの人にとっては面白い未来ではないでしょうか。AI時代が少し楽しみになってきたなら、記事を書いた甲斐があります。
私はオリジナル小説で誰もがいきたい道を行ける未来を目指す主人公を描きました。
その未来はAIがもたらしてくれそうです。誰もがいきたい道を行ける未来がくる……それを楽しみに待ちましょう。
一方で、いま一番AIを恐れているのは、作家として活躍されている人かもしれません。持たざる者がAIで進化したとき、持つものがどう進化していくかは今後注目です。
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