小説は人称視点が肝心?小説の『人称』と『視点』の決め方を解説
小説を読んでいて「ん?これは誰のセリフだろう?」とわからなくなる事ありませんか?それは『視点』のブレや混在が原因かもしれません。小説の書き方には「●人称▲視点」という形で表現される書き方の形式があります。
この『人称』と『視点』はブレや混在を防ぐだけでなく、どの様に使うかで作風が決まると言ってもいい大切な要素です。ここではそんな『人称』と『視点』の詳細と使い分けについて解説します。ついでに視点のタブーもここでしっかり勉強しましょう。
小説の『人称』と『視点』とは?
『人称』とは「語り部は誰か?」を、『視点』とは「どのように見聞きしているか?」を表しています。まず『人称』には、一人称と三人称の2パターンがあります。
・一人称→登場人物が語り部
・三人称→物語に登場しない人が語り部
そして、そこに『視点』の概念が組み合わさり、以下の4パターンの型ができます。
・一人称視点
→語り部である登場人物の五感を使う
(例:私は森の奥へ進んだ)
・三人称単視点
→背後霊の様に特定人物に付き従う形で見聞きする
(例:太郎は森の奥へ進んだ)
・三人称多視点
→飛行ドローンのように各所を飛び回って見聞きする
(例:太郎は~、次郎は~、花子は~)
・三人称神視点
→天から神のように全てを見通して見聞きする
(例:太郎と次郎と花子は森の奥へ進んだ。この先に何が待ち受けるかも知らずに。)
この4パターンの概念があやふやなまま文を書き始めてしまうと視点のブレや混在が起こりやすくなります。まずはこの枠組みをしっかり理解し、自分がどのパターンで書き進めるかを決めましょう。
一人称視点のメリット・デメリット・よくある失敗
【メリット】
・語り部の思考や感情をそのまま描ける
【デメリット】
・語り部以外の人物の思考や感情は「推測」でしか表せない
【よくある失敗】
・語り部の五感を超えた情報まで書いてしまう
語り部がクセのある人物の場合、「独特な世界観」で読者を引き込めます。もし語り部がノリのよい人物ならまるで1人漫才のようなコントにする事も。「コメディ要素の強い物語」には最適です。
逆に1人の語り部の五感で得られる情報に限られる為、複雑な物語には向いていません。語り部以外の人物の思考や感情は、「語り部の推測」の範囲を越えないからです。よくある失敗はまさにそこです。主人公の五感を飛び越えて、作者自身が持っている情報を披露してしまうというもの。作者の感覚を入れ込んでしまい、せっかくの独特の世界観を壊さないようにしましょう。
三人称視点のメリット・デメリット・よくある失敗
【メリット】
・第三者目線のため、例え天変地異がおきようと冷静で客観的に描ける
【デメリット】
・三人称単視点(背後霊型)→特になし
・三人称多視点(飛行ドローン型)→登場人物の「心理」は描写できない
・三人称神視点(神様型)→超越者の視点ゆえに臨場感がでない
【よくある失敗】
・三人称神視点(神様型)→神様型のはずなのに作者の感覚を入れこんでしまう
主人公を中心に描きたいが、主人公の感覚の描写だけに囚われたくない場合などは、「三人称単視点」がおすすめです。でも、同じ場面で複数の登場人物の内面を描きたい場合は、「三人称神視点」になりますので要注意です。
また「三人称多視点」は、ドローンのように視点の移動はできますが、登場人物の「心理」を描く事はできません。客観的に描きつつ、時には登場人物の内面を描きたい場合は、やはり「三人称単視点」がおすすめです。「三人称多視点」は、「戦記」や「群像劇」などたくさんの登場人物の活躍ぶりを描きたい時に最適です。
小説における視点のタブーとは?
①視点移動のしすぎ
例えるならテレビのチャンネルをどんどん変えていくようなものです。これは視点のブレを招きます。一人称でも三人称でも視点移動は可能ですが、もし視点を変えるのであれば、章の切り替えのタイミングに合わせるとよいでしょう。場面の切り替えがわかりやすく自然な形となります。
②異なる人称視点を混ぜる
1つの物語の中では、人称視点の混在は避けましょう。一人称と三人称を行ったりきたりすると
読者は「描写の仕方が変わった・・?」と混乱してします。
まとめ
人称視点は、始めに方針を決めたらそれを最後までおしすすめましょう。そして小説における視点のタブーである「視点移動をしない」、「異なる人称視点を混ぜない」などの用法守って執筆します。一般的には、一人称であれ三人称であれ「単数視点」の方が多く選ばれています。主人公との一体感はかなり大きなメリットになるので大変おすすめです!
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