パワハラ幼馴染とは?世界観と設定解説【主流人気ジャンル分析調査シリーズ】

2020年8月14日

 「小説家になろう」における現在の主流人気ジャンル分析調査シリーズと題して、第二弾は、「パワハラ幼馴染もの」について。「パワーハラスメント」とは、社会的権威や身分を笠に着た「暴力行為」と定義されています。物語の世界にこの「パワハラ」を持ち込んだものが、「パワハラ幼馴染もの」と呼ばれる小説作品です。

パワハラ幼馴染とは

「幼馴染み」というワードが含まれているので簡単に考察できますが、主人公は「幼馴染み」から「パワハラ」を受ける環境下という舞台設定、世界設定から始まります。

 「パワハラ幼馴染もの」で、被害を受けるのは男性主人公、対して主人公に「パワーハラスメント」を振るうのは、主人公の幼馴染という立ち位置の女性キャラになります。非常に興味深い世界設定です。

パワハラ幼馴染の世界観と特徴

 幼馴染みの女性(少女)からの「パワハラ」という舞台装置を作動させるために絶対に外せない要件は、「主人公と幼馴染の間に何らかしらの主従関係(力関係)が存在すること」です。

 冒険者として仲間とパーティを組む主人公が、「聖女」であったり、「勇者」であったりする「幼馴染みキャラ」から日々、暴言や心ない仕打ちを受けている。また、貴族の令嬢とその従者、執事といったキャラクター関係で描かれる作品も見受けられます。

 いずれにしても、そのあまりに傍若無人な振る舞いに辟易してしまった主人公が、「パワハラ幼馴染み」に「絶縁状」を叩き付けます。パーティの「勇者」あるいは「聖女」に、お仕えする「お嬢様」に、絶縁状を叩き付けた主人公が重圧から解放されてみると、意外な展開が待ち受けます。

 パーティでお荷物とそしられていた平凡な存在であったはずの主人公が、実は自覚していないだけでパーティの命運を握っていたような力を秘めていたと発覚する。つめられることに耐え忍ぶ生活から解放された途端に、思いもよらないシンデレラストーリーの主役に抜擢される。暴力的でしかなかった「幼馴染み」のもとを離れてみると、心優しく可愛い女の子から慕われて……など。

 主人公に対して横暴を振るい尽くした「幼馴染み」が主人公が離れたことによって落ちぶれてしまうなどの一種のざまぁ展開と、新たに登場する心優しく可愛い女の子は、この「パワハラ幼馴染もの」での王道ストーリーと言えるようです。

パワハラ幼馴染のアイデア

 「鉄は熱いうちに打て」と言われますが、現在一大人気を誇るジャンルなら、このキーワードで自分が執筆するとすると、どんなストーリーを作り上げるか。作家としては少し考えたくなる要素ではないでしょうか。まず一つ目に、「力関係」を最大限に活用しながら、「お嬢様」もしくは「王女様」に「幼馴染み」を設定してみるのはどうでしょうか。主従逆転ストーリーなんて設定も面白いかもしれません。我がまま気紛れな王女様のお傍仕えを務めるのは、王女様の国に人質として預けられた弱小国の王子……。

 「お嬢様」の執事見習いとして傍に上がった少年は、富裕層の息子で、ある日を境に没落を辿ったお嬢様と少年の立場は入れ替わる……。ちょっと面白いオリジナルストーリーで、「パワハラ幼馴染み」のジャンルを描けそうです。

 「ざまぁ展開」と呼ばれるストーリー展開ももちろん否定しませんが、二つ目には敢えて「幼馴染みの少女と最終的に和解する」ルートを描いたストーリーで物語を紡いでみるのはどうでしょうか。

 主人公が立ち去ってから、「幼馴染み」は自らの過ちを悔いたかもしれません。もしくは主人公に対して素直になれないだけの少女がやってしまった過去だったのかもしれません。主人公側と同様に「幼馴染み」側にも焦点をあてて展開させれば、そこには主人公の知らなかった「真実」が隠されていた。

 そんな展開でもオリジナリティのある「パワハラ幼馴染み」を描けそうです。あなたの物語にも「パワハラ幼馴染み」の要素を加えてみてはいかがでしょうか。

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