小説の書き方は2タイプ|トップダウンとボトムアップ、あなたはどっち?

2019年6月18日

物語を書きたい。けれど、そもそもどうやって「書き始めれば」いいのかわからない。

テーマやプレミスは決まった。ネタ帳にアイデアも溜まっている。ストーリー構成の型も学んだ。――なのに、最初の一文字が出てこない。

その原因は「自分に合った作り方」を選んでいないからかもしれません。

物語の作り方には大きく分けて2つのアプローチがあります。「トップダウン型」と「ボトムアップ型」です。どちらが正解ということはありません。自分の思考パターンに合ったほうを選ぶ(あるいは混ぜる)ことで、執筆の歯車がぐっと噛み合います。

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トップダウン型――プロットを先に組む

トップダウン型は、オープニングからエンディングまでストーリーの筋(プロット)を先に決めてから書く方法です。英語圏では「プロッター(Plotter)」とも呼ばれます。

トップダウン型の進め方

1. ゴールを決める ── 物語の結末、達成すべきテーマを明確にする
2. 逆算する ── そのゴールに到達するために必要なイベントを洗い出す
3. 並べる ── イベントを起承転結や三幕構成に沿って配置する
4. 執筆する ── プロットに沿って一章ずつ書いていく

キーワードは「そのためにどんな展開が必要?(How)」と「なぜ、その展開は起こった?(Why)」です。

トップダウン型のメリットと注意点

メリット注意点
ゴールが明確なので迷走しにくいプロット通りに書くと「予定調和」になりがち
伏線を計画的に張れる途中でキャラが動きたがっても軌道修正しづらい
長編でも構造が崩れにくいプロット作成に時間がかかる

実例:『境界を超えろ!』1〜3巻

筆者の『境界を超えろ!』第1〜3巻は、トップダウン型で書きました。

「世界中から愛される最高の王を描く」というゴールを先に設定し、そのためにはどんなエピソードが必要かを逆算しています。

• 最高の王には最高の師匠が必要(ヴォルター・K・グイン)

• 最高の参謀が必要(ライロック・マディン)

• 最高の伴侶が必要(リングリット・ラインカーネーション)

このように、テーマ(=ゴール)が明確なら、そこに至るまでのピースを埋めるだけで本1冊分の分量になります。

ボトムアップ型――キャラクターを先に動かす

ボトムアップ型は、キャラクターの設定を先に詰め、冒頭のシチュエーションだけ決めて書き始める方法です。英語圏では「パンツァー(Pantser)」と呼ばれます。"Fly by the seat of your pants"(ぶっつけ本番でやる)が語源です。

ボトムアップ型の進め方

1. キャラクターを作り込む ── 性格・目的・弱点・口癖まで詳細に設定する
2. 対立関係を設定する ── 主人公の目的を邪魔するキャラクターを置く
3. 冒頭だけ決める ── 最初のシチュエーションを用意する
4. 衝突させる ── 「このキャラならどう動く?」を自問しながら書く

キーワードは「目的は?(To be)」「そのために何をする?(What to do)」「どうなる?(What will happen)」です。

ボトムアップ型のメリットと注意点

メリット注意点
キャラクターが生き生きと動くストーリーが迷走するリスクがある
想定外の展開が生まれて面白い伏線の回収が場当たり的になりやすい
書き始めのハードルが低い着地点が見えず「エタる」危険がある

実例:『ディバイド・エックス』

筆者は『ディバイド・エックス』でボトムアップ型を使いました。

まず5人のキャラクターを設定します。

クラリス・レイヤー(優柔不断な美しい偶像)── 主人公

タイナ・ミノウ(男尊女卑の陰陽術士)── 否定者

ファリス・レイリーン(ハキハキ喋る社長)── 協力者

エンドラル・パルス(英雄アインの影を追う青年)── 変化する者

ユン・ウェイ(元アイドルの親友)── 支持者

クラリスに「ルクシオンを蘇らせたい」という目的を与え、タイナを邪魔する存在として配置したら、あとは「タイナならどう妨害するか?」「クラリスならどう乗り越えるか?」と自問するだけで物語が動き出しました。

最終的にクラリスもタイナも変化・成長して着地できたので、ボトムアップ型でも美しく完結できる好例になったと思います。

第3のアプローチ――ハイブリッド型

実は多くの作家が、トップダウンとボトムアップを混ぜて使っています。英語圏では「プランツァー(Plantser)」と呼ばれることもあります。

ハイブリッド型のパターン例

パターンやり方
骨組み+自由演技大まかなプロット(3〜5行)だけ決めて、シーンごとはキャラに任せる
序盤ボトムアップ→中盤トップダウンキャラを走らせて方向性が見えたら、後半のプロットを組む
章単位で切り替え主人公パートはプロットで管理し、サブキャラパートはボトムアップで書く

2025年以降、AIとの壁打ちが普及したことで、ハイブリッド型はさらに身近になりました。

たとえばChatGPTやClaudeに「こんなキャラがこの状況に放り込まれたらどうなる?」と聞けば、ボトムアップ的な展開案が瞬時に10パターン返ってきます。その中からプロット的に整合性のあるルートを選べば、自然とハイブリッド型の執筆になります。

自分のタイプを見極める3つの質問

どのアプローチが合うか迷ったら、以下の質問で自分の傾向を探ってみてください。

質問トップダウン寄りボトムアップ寄り
旅行の計画は?事前にスケジュールを組む行き先だけ決めてあとは現地で
ゲームの遊び方は?攻略情報を調べてから進めるまず触って試行錯誤する
作文の書き方は?構成メモを作ってから書くとりあえず書いてから並べ替える

3つともトップダウン寄りなら、まずプロットを組むところから始めましょう。ボトムアップ寄りなら、キャラクター設定シートを書くのが先です。混在しているなら――おめでとうございます。ハイブリッド型の素質があります。

トップダウン型の参考フロー


ゴール(テーマ・結末)
 ↓ そのためにどんな展開が必要?(How)
クライマックス
 ↓ なぜその展開に至った?(Why)
中盤のイベント群
 ↓ 物語を始動させるきっかけは?
オープニング

ボトムアップ型の参考フロー


キャラクター設定(目的・性格・弱点)
 ↓ 目的は?(To be)
冒頭のシチュエーション
 ↓ そのために何をする?(What to do)
対立と衝突
 ↓ どうなる?(What will happen)
変化と結末

まとめ

物語の作り方には2つのアプローチがあります。

トップダウン型(プロッター) ── プロットを先に組み、計画的に書く

ボトムアップ型(パンツァー) ── キャラを作り込み、冒頭から走らせる

ハイブリッド型(プランツァー) ── 両方を混ぜる。AI壁打ちとも相性◎

どれが正解ということはありません。自分の思考パターンに合ったアプローチで、まず1作書いてみてください。書き上がったら、次の作品では別のアプローチを試してみるのも面白い実験になります。

構成の組み方をもっと深く知りたい方は「ストーリー構成の基本」へ、テーマの決め方が気になる方は「テーマとは何か」へどうぞ。

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