Web小説、何万字書けばいい?|適切な長さを形式別に比較

2025年10月24日

「小説って、何万字くらい書けばいいんですか?」

これは初心者からもっとも多い質問のひとつです。短すぎると読みごたえがない。長すぎると読者が離脱する。ちょうどいいラインはどこにあるのか。

この記事では、絵本・童話から一般文芸まで各形式の文字数を一覧で比較し、Web小説における「適切な長さ」を具体的な数字で示します。

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いろんな物語形態の文字数一覧

まず、物語と呼ばれるものの文字数を幅広く見渡してみましょう。自分がどの規模感で書こうとしているのかを把握するためです。

絵本の文字数

文字数特徴
1〜500字軽い文章で読みやすい。詩的な作品も
501〜1,000字内容がしっかりしている。絵本の花形
1,001〜1,500字かなりしっかり。読み聞かせるなら長め
1,501〜2,000字小さい子には厳しい長さ
2,001字〜大人向け絵本、演劇台本の領域

参考:西野亮廣『えんとつ町のプペル』は改行を除いた文字数が約6,385字。絵本としてはかなり長い部類です。

童話の文字数

作品おおよその文字数
『桃太郎』約3,000字
『赤ずきん』約2,500字
『人魚姫』(アンデルセン)約12,000字
『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治)約30,000字

童話は短いものなら3,000字、長いものなら30,000字。振れ幅が大きいジャンルです。

小説の文字数目安

カテゴリ文字数の目安
ショートショート〜4,000字
短編小説4,000〜30,000字
中編小説30,000〜80,000字
長編小説80,000字〜
ライトノベル1巻80,000〜120,000字
一般文芸(単行本1冊)100,000〜150,000字

Web小説の「1作品あたり」の適切な長さ

Web小説は紙の本と違い、読者がスマホで隙間時間に読むことが前提です。ここが最大の違いです。

社会人が平日に読める量を計算する

読書速度の平均は、1分間に400〜600字と言われています。仮に通勤時間の片道30分と昼休みの30分、合計60分を読書に充てるとしましょう。

読書速度400字/分 × 60分 = 24,000字/日

読書速度600字/分 × 60分 = 36,000字/日

つまり社会人が1日に読める量は、ざっくり24,000〜36,000字です。

もちろんこれは「ずっと本を開いている」前提なので実際はもっと少ない。現実的には1日10,000〜20,000字程度が限界でしょう。

じゃあ、何万字で話をまとめればいい?

ここから逆算すると、36,000〜72,000字(社会人が1〜2日で読める量)で物語がひと区切りつくと、読者にとってはありがたい。

もちろん10万字超の大作を書くことを否定するわけではありません。ただし投稿サイトで「野良読者」を掴むには、最初の36,000字で「この作品は面白い」と判断される必要がある。この意識はWeb小説ならではのものです。

2025年のなろうランキングから見る傾向

小説家になろうの日間メインランキング上位100作品を分析すると、完結済み作品の総文字数の中央値は50,000〜80,000字帯に集中しています(連載中作品を含めると100万字超もザラですが、物語の最初の山場は30,000〜50,000字以内に来ていることが多い)。

カクヨムの短編コンテストは上限10,000字のものが多く、短編で実力を試したい人の練習の場にもなっています。

Web小説「1話あたり」の適切な文字数

Web小説は連載形式が前提なので、「1話あたり何字にするか」も重要です。

人間の集中力は15分がひと区切り

心理学的に集中力がピークをキープできる時間は約15分と言われています。
読書速度400〜600字/分で15分読むと:

400字 × 15分 = 6,000字

600字 × 15分 = 9,000字

つまり1話の上限は6,000〜9,000字ですが、一次創作は馴染みのない情報の連続です。ニュースや既知の作品を読むのとは違い、読者は世界設定・キャラ名・固有名詞をゼロから頭に入れなければなりません。読書速度は確実に落ちます。

そこで、大衆向けに発表するなら読むのが遅い人に合わせるのが親切です。6,000〜9,000字の半分くらい、3,000〜4,500字で1話を区切るのが最適解と考えます。

なろうランキングの平均文字数データ

小説家になろう日間連載中ランキングBEST100のデータ(調査時点)を見てみましょう。

順位帯1話あたりの平均文字数
1位〜10位約2,867字
11位〜25位約3,181字
26位〜50位約3,249字
51位〜100位約4,649字
全体平均3,921字
全体中央値3,321字

上位ほど文字数が少なく、中央値3,321字という結果になっています。3,000〜4,500字の推奨値と見事に一致しています。

2025年のトレンド:さらに短くなる傾向

2025年現在、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する読者が増え、1話あたりの文字数はさらに短くなる傾向にあります。

• TikTokやSNS経由で流入する若い読者は「1話2〜3分で読めるもの」を好む

• カクヨムの人気作品では1話2,000〜3,000字帯がボリュームゾーン

• ただし、ハイファンタジーや重厚な世界観の作品では4,000〜6,000字が許容される

ジャンルと読者層に応じて調整しましょう。ラブコメなら短め(2,000〜3,000字)、異世界ファンタジーなら中くらい(3,000〜5,000字)、本格ミステリーなら長め(4,000〜6,000字)が目安です。

文字数の積み上げ方——「10話でひと山」を意識する

1話3,000〜4,500字で書くとして、10話で30,000〜45,000字。ちょうど「野良読者が面白いかどうか判断する」ラインと重なります。

つまり、最初の10話(=第1章)で物語のファーストインプレッションが決まるということ。

話数累計文字数(3,500字/話)読者体験
1〜3話〜10,000字世界観・主人公の提示。ここで離脱されないことが最重要
4〜7話〜25,000字最初のコンフリクト。「続きが気になる」を作る
8〜10話〜35,000字第1章クライマックス。ブックマーク登録の判断ライン

この「10話でひと山」を繰り返して、36,000〜72,000字で物語全体がひと区切りつくのが理想形です。

文字数にこだわりすぎないための心がけ

最後に、数字に縛られすぎないための補足を。

文字数は「目安」であって「制限」ではない。 伝えたいことが1,500字で済むなら1,500字の1話でいい

長い=面白いとは限らない。 10万字の冗長な作品より、3万字の濃密な作品のほうが読者に刺さる

投稿サイトのコンテスト条件を確認する。 新人賞やコンテストには明確な文字数制限がある。応募先の条件に合わせるのは当然のこと

まとめ

項目推奨値
Web小説1話あたり3,000〜4,500字(中央値3,321字)
物語のファーストインプレッション30,000〜45,000字(=10話)
読者がサクッと読み切れる作品量36,000〜72,000字
ラノベ1巻相当80,000〜120,000字

文字数の目安がわかったら、次は「登場人物は何人が適正か」を確認して、物語のスケール感を合わせていきましょう。

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