Web小説、何万字書けばいい?|適切な長さを形式別に比較
「小説って、何万字くらい書けばいいんですか?」
これは初心者からもっとも多い質問のひとつです。短すぎると読みごたえがない。長すぎると読者が離脱する。ちょうどいいラインはどこにあるのか。
この記事では、絵本・童話から一般文芸まで各形式の文字数を一覧で比較し、Web小説における「適切な長さ」を具体的な数字で示します。
いろんな物語形態の文字数一覧
まず、物語と呼ばれるものの文字数を幅広く見渡してみましょう。自分がどの規模感で書こうとしているのかを把握するためです。
絵本の文字数
| 文字数 | 特徴 |
|---|---|
| 1〜500字 | 軽い文章で読みやすい。詩的な作品も |
| 501〜1,000字 | 内容がしっかりしている。絵本の花形 |
| 1,001〜1,500字 | かなりしっかり。読み聞かせるなら長め |
| 1,501〜2,000字 | 小さい子には厳しい長さ |
| 2,001字〜 | 大人向け絵本、演劇台本の領域 |
参考:西野亮廣『えんとつ町のプペル』は改行を除いた文字数が約6,385字。絵本としてはかなり長い部類です。
童話の文字数
| 作品 | おおよその文字数 |
|---|---|
| 『桃太郎』 | 約3,000字 |
| 『赤ずきん』 | 約2,500字 |
| 『人魚姫』(アンデルセン) | 約12,000字 |
| 『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治) | 約30,000字 |
童話は短いものなら3,000字、長いものなら30,000字。振れ幅が大きいジャンルです。
小説の文字数目安
| カテゴリ | 文字数の目安 |
|---|---|
| ショートショート | 〜4,000字 |
| 短編小説 | 4,000〜30,000字 |
| 中編小説 | 30,000〜80,000字 |
| 長編小説 | 80,000字〜 |
| ライトノベル1巻 | 80,000〜120,000字 |
| 一般文芸(単行本1冊) | 100,000〜150,000字 |
Web小説の「1作品あたり」の適切な長さ
Web小説は紙の本と違い、読者がスマホで隙間時間に読むことが前提です。ここが最大の違いです。
社会人が平日に読める量を計算する
読書速度の平均は、1分間に400〜600字と言われています。仮に通勤時間の片道30分と昼休みの30分、合計60分を読書に充てるとしましょう。
• 読書速度400字/分 × 60分 = 24,000字/日
• 読書速度600字/分 × 60分 = 36,000字/日
つまり社会人が1日に読める量は、ざっくり24,000〜36,000字です。
もちろんこれは「ずっと本を開いている」前提なので実際はもっと少ない。現実的には1日10,000〜20,000字程度が限界でしょう。
じゃあ、何万字で話をまとめればいい?
ここから逆算すると、36,000〜72,000字(社会人が1〜2日で読める量)で物語がひと区切りつくと、読者にとってはありがたい。
もちろん10万字超の大作を書くことを否定するわけではありません。ただし投稿サイトで「野良読者」を掴むには、最初の36,000字で「この作品は面白い」と判断される必要がある。この意識はWeb小説ならではのものです。
2025年のなろうランキングから見る傾向
小説家になろうの日間メインランキング上位100作品を分析すると、完結済み作品の総文字数の中央値は50,000〜80,000字帯に集中しています(連載中作品を含めると100万字超もザラですが、物語の最初の山場は30,000〜50,000字以内に来ていることが多い)。
カクヨムの短編コンテストは上限10,000字のものが多く、短編で実力を試したい人の練習の場にもなっています。
Web小説「1話あたり」の適切な文字数
Web小説は連載形式が前提なので、「1話あたり何字にするか」も重要です。
人間の集中力は15分がひと区切り
心理学的に集中力がピークをキープできる時間は約15分と言われています。
読書速度400〜600字/分で15分読むと:
• 400字 × 15分 = 6,000字
• 600字 × 15分 = 9,000字
つまり1話の上限は6,000〜9,000字ですが、一次創作は馴染みのない情報の連続です。ニュースや既知の作品を読むのとは違い、読者は世界設定・キャラ名・固有名詞をゼロから頭に入れなければなりません。読書速度は確実に落ちます。
そこで、大衆向けに発表するなら読むのが遅い人に合わせるのが親切です。6,000〜9,000字の半分くらい、3,000〜4,500字で1話を区切るのが最適解と考えます。
なろうランキングの平均文字数データ
小説家になろう日間連載中ランキングBEST100のデータ(調査時点)を見てみましょう。
| 順位帯 | 1話あたりの平均文字数 |
|---|---|
| 1位〜10位 | 約2,867字 |
| 11位〜25位 | 約3,181字 |
| 26位〜50位 | 約3,249字 |
| 51位〜100位 | 約4,649字 |
| 全体平均 | 3,921字 |
| 全体中央値 | 3,321字 |
上位ほど文字数が少なく、中央値3,321字という結果になっています。3,000〜4,500字の推奨値と見事に一致しています。
2025年のトレンド:さらに短くなる傾向
2025年現在、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する読者が増え、1話あたりの文字数はさらに短くなる傾向にあります。
• TikTokやSNS経由で流入する若い読者は「1話2〜3分で読めるもの」を好む
• カクヨムの人気作品では1話2,000〜3,000字帯がボリュームゾーン
• ただし、ハイファンタジーや重厚な世界観の作品では4,000〜6,000字が許容される
ジャンルと読者層に応じて調整しましょう。ラブコメなら短め(2,000〜3,000字)、異世界ファンタジーなら中くらい(3,000〜5,000字)、本格ミステリーなら長め(4,000〜6,000字)が目安です。
文字数の積み上げ方——「10話でひと山」を意識する
1話3,000〜4,500字で書くとして、10話で30,000〜45,000字。ちょうど「野良読者が面白いかどうか判断する」ラインと重なります。
つまり、最初の10話(=第1章)で物語のファーストインプレッションが決まるということ。
| 話数 | 累計文字数(3,500字/話) | 読者体験 |
|---|---|---|
| 1〜3話 | 〜10,000字 | 世界観・主人公の提示。ここで離脱されないことが最重要 |
| 4〜7話 | 〜25,000字 | 最初のコンフリクト。「続きが気になる」を作る |
| 8〜10話 | 〜35,000字 | 第1章クライマックス。ブックマーク登録の判断ライン |
この「10話でひと山」を繰り返して、36,000〜72,000字で物語全体がひと区切りつくのが理想形です。
文字数にこだわりすぎないための心がけ
最後に、数字に縛られすぎないための補足を。
• 文字数は「目安」であって「制限」ではない。 伝えたいことが1,500字で済むなら1,500字の1話でいい
• 長い=面白いとは限らない。 10万字の冗長な作品より、3万字の濃密な作品のほうが読者に刺さる
• 投稿サイトのコンテスト条件を確認する。 新人賞やコンテストには明確な文字数制限がある。応募先の条件に合わせるのは当然のこと
まとめ
| 項目 | 推奨値 |
|---|---|
| Web小説1話あたり | 3,000〜4,500字(中央値3,321字) |
| 物語のファーストインプレッション | 30,000〜45,000字(=10話) |
| 読者がサクッと読み切れる作品量 | 36,000〜72,000字 |
| ラノベ1巻相当 | 80,000〜120,000字 |
文字数の目安がわかったら、次は「登場人物は何人が適正か」を確認して、物語のスケール感を合わせていきましょう。




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