自分の「書きたいもの」を見つける方法|白い部屋の思考実験

2019年10月6日

「何か書きたいんだけど、何を書けばいいかわからない」

この悩みを持つ創作者は、驚くほど多いです。執筆ツールは揃った。投稿サイトも決めた。でも——自分が書きたいものがわからない

安心してください。今回の記事は、そんなあなたのための「自分掘り」ワークです。

先日「物語を書くときに大切にしているものはなんですか?」という記事で、表現したいもの=大切にしているもの(願望)だと書きました。

でも、「大切にしているもの」がそもそもわからないという方のために、ここでは具体的なワークを通じて、あなたの中に眠る「書きたいもの」を引き出していきます。

kosiboro.work ― 腰ボロSEの創作ノウハウ550記事超|小説の書き方ガイド

ワーク① 白い部屋の思考実験

ここで思考実験をします。

> あなたは白い部屋に一生閉じ込められるとしたら、何を持っていきますか?

持っていけるのは小説、漫画、アニメ、映画、音楽、ゲーム——娯楽作品に限ります。再生環境は完備されていると思ってください。

ただし、持っていけるのは1作品だけ。

一度選んだら、今後一生その作品しか触れることはできません。

さて、あなたの答えは決まりましたか?

その作品が、あなたの「好き」のすべてを教えてくれる

あなたが選んだ作品は、あなたの一番好きなものを含んでいる大事なパートナーです。

心揺さぶられ、終わった後に喪失感を覚え、しばらく立ち直れなかった——そんな作品を選べましたか?

作品を選べたら、次のステップです。

> その作品の「一番好きな要素」を言語化してください。

「熱い展開」「切ない別れ」「どん底からの逆転」「静かな余韻」——どんな言葉でも構いません。

それこそが、あなたが書きたいものです。

私の場合——ふしぎの海のナディア

例えば私は中学校の頃、『ふしぎの海のナディア』(制作GAINAX、監督庵野秀明)をビデオで見ていました。

全39話の最後、後日談とEDアニメーションがつながるシーンに、たまらなく感動したんです。

毎話見てきた、セピア色の画面で主人公たちが飛行機を追いかけて走っているEDアニメ。それだけでも十分成り立っていた映像が、物語とつながって——

> 「ああ、私が見てきた39話分の物語は、彼らにとってセピア色のかけがえのない思い出だったんだ」

と気づかされました。物語を終えた主人公たちは今も前に進んでいるんだと感じられて、1週間は喪失感でいっぱいだったことを覚えています。

だとすると私は、セピア色のかけがえのない思い出と思える作品を創りたいのか。

それは、奇跡の軌跡を歩く最高の主人公との別れじゃないか? しかもそれを、主人公に助けられた少年が振り返ったら、セピア色の思い出のすばらしさを感じることができるんじゃないか——。

そう考えて物語を執筆してきたことを、この思考実験で改めて思い出します。

ワーク② 3つの年齢を振り返る

心理学の教授から聞いたことがあります。

> 「小学5年生」「中学2年生」「高校2年生」の時にハマったジャンルは、一度熱が冷めても再燃しやすい。

この3つの時期は、感受性が強く、自我が形成される重要なタイミング。この時期に触れた作品には、あなたの「好き」の原型が詰まっています。

ワークとして、次の表を埋めてみてください。

時期ハマった作品一番好きだった要素
小学5年生
中学2年生
高校2年生

3つの回答に共通するキーワードが見えてきたら、それがあなたの創作の核です。

私の場合、中学2年生で出会ったナディアの「セピア色の余韻」が、今も変わらず創作の原点になっています。

ワーク③ AIに自分を分析してもらう(2026年版)

2025-2026年、創作者の自己分析にAIが使えるようになりました。これは「AIに書いてもらう」のではなく、AIを鏡にして自分を映す使い方です。

やり方

1. 好きな作品を10個リストアップする
2. ChatGPT・Claude・GeminiなどのAIに、以下のプロンプトを投げる


以下は私が好きな作品リストです。
これらの共通点を分析して、私が物語に求めている要素を
5つのキーワードで表してください。

1. (作品名)
2. (作品名)
...

3. AIが返す5つのキーワードを見て、「これは違う」「これはまさに」と仕分ける

AIの分析が100%正しいわけではありません。でも、「違う」と感じた瞬間にこそ自己理解が深まります。「これは自分じゃない」と言語化できることが、自分を知ることです。

MBTI診断を補助ツールとして

MBTI(16タイプ性格診断)も創作の自己分析に使えます。あなたのタイプによって、好む物語のパターンが異なります。

NF型(理想主義者):テーマ重視、内面の葛藤を描きたがる

NT型(合理主義者):世界観設計、論理的な伏線を好む

SF型(現実主義者):日常描写、キャラクターの関係性に力が入る

ST型(実践主義者):プロット重視、テンポの良い展開を好む

あくまで参考ですが、「自分はこういう傾向があるんだな」と知っておくと、執筆で迷ったときの判断材料になります。

表現したいことが万人に受け入れられるかは別の話

ここで一つ、冷静な話もしておきます。

自分の「書きたいもの」が見つかったとしても、万人に受け入れられるかどうかは別です。

例えば、世界の真理に言及する作品を書いたとして、東大生にしかわからない理論で説明されたら、それは偏差値70以上(全人口の約2.28%)にしか届きません。

あなたの心を震わせる作品を、買って応援している人がどれくらいいるか——DVDやBD、書籍の売上で概ね想像できるはずです。

でも、覚えておいてほしいのは次の2つ。

全員に受け入れられる物語なんて存在しない

狭い範囲で強烈に支持される作品は、誰にでも作れる

戦略的に売れ線を狙うのもアリです。でも私としては、作者が自分の心を震わせながら書いている物語が読みたい。

まとめ——自分の心が震えるものを書こう

ワークやること見つかるもの
① 白い部屋の思考実験一生に1作品だけ選ぶ → 好きな要素を言語化書きたいものの核
② 3つの年齢を振り返る小5・中2・高2にハマった作品の共通点創作の原型
③ AIに自分を分析してもらう好きな作品10個をAIに分析させる無意識の傾向

自分の心すら震わせられない人間が、他の人の心を震わせることはできるでしょうか?

ぜひあなたのエモーションを表現してください。それがあなたの作品の最高の強みになります。

その先に、きっと同じ趣向を持つ仲間が待っています。

> 関連記事
> – 物語を書くとき「大切にしているもの」はなんですか? ── 創作の原点を見つめ直す
> – テーマとは何か|物語に「核」を与える技術 ── テーマの定義から学ぶ
> – プレミスの作り方入門|テーマを一文に凝縮する技術 ── テーマを具体化する方法

この記事が参考になったら、ブックマーク or シェアしていただけると励みになります。

腰ボロ作家について
創作の「設定資料」と「物語の書き方」を中心に、550記事以上を公開中。
サイトトップX(Twitter)

よく読まれている記事

小説の書き方本をもっと読むなら → Kindle Unlimited