ナイトは貴族?騎士団から見る貴族階級の裏側と読み方
騎士(ナイト)は中世ヨーロッパの花形ですが、しばしば「騎士は貴族なのか?」という疑問が生じます。結論から言えば、騎士は厳密には貴族(ピア)ではありません。公爵や伯爵といった「本当の貴族」と異なり、騎士の称号自体は基本的に一代限りの名誉職で、領地や爵位を子孫に世襲できない存在でした。
言わば「準貴族」のような立ち位置で、領地を世襲できる上級貴族とは区別されていたのです。しかし、後の時代になると功績ある騎士が領地を与えられて世襲の貴族化(例えば準男爵への叙任)するケースもあり、騎士と貴族の境界は徐々に曖昧になっていきました。
騎士団の裏側
騎士は中世社会の戦闘階級であり、領主である貴族に仕える立場でした。戦場では華やかな甲冑を纏った騎士が勇名を馳せますが、その実態は貴族の下で汚れ仕事を担う戦士でもありました。多くの騎士は大貴族の次男・三男や、地元の有力平民から叙任され、独自の領地を持たず主君のために戦いました。騎士団はそうした騎士たちの集団で、領主の軍事力の中核を成す存在です。
例えば、領主が戦争に赴く際、自らも鎧をまとい先陣に立つこともありましたが、その背後には数多くの従士(騎士)が控えて主君を支えました。つまり、騎士団は貴族社会を下支えする実働部隊であり、貴族階級の裏側にある武力そのものだったのです。
ナイトの読み方と役割
日本語では「騎士」は「きし」と読みますが、ファンタジー作品などではカタカナで「ナイト」と表記されることも多いです。そのほうが「ナイト(Knight)」という称号の響きを演出できるためでしょう。騎士号は男性に対する称号で、叙任されると名前の前に「Sir(サー)」を付けて呼ばれます(女性の場合は「デイム(Dame)」号があります)。歴史的に騎士に叙せられるのは軍事や政治で功績を挙げた人物で、現代でもイギリスで著名人がナイトに叙勲され「Sir」の称号を得る例があります。このようにナイト(騎士)は名誉ある称号ですが、貴族(貴族院に席を持つ世襲貴族)とは区別される点に注意が必要です。
まとめ:騎士は貴族とどう違う?
騎士は中世ヨーロッパの社会において貴族と平民の中間に位置する独特の存在でした。格式としては五等爵(公侯伯子男)の外側にある準貴族であり、貴族の家柄に生まれなくとも功績次第で叙任される開かれた称号でもありました。騎士団の活躍を見ると、貴族の権力の裏には常に騎士という実力部隊が控えていたことが分かります。輝かしい「ナイト」の称号の陰には、主君に忠誠を尽くし戦場で命を懸ける裏方としての騎士の姿があったのです。そうした騎士たちの奮闘があってこそ、貴族階級の繁栄と秩序が支えられていたとも言えるでしょう。
ファンタジー小説に役立つ、騎士の歴史と騎士階級については以下の記事も参考にしてみてくださいね。
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