【論理派向け】読点を打つ4パターンをご紹介。これであなたも読点マスター

こんにちは。
杞優橙佳です。

突然ですが、問題です。

《問題》以下の文章は原文から読点を除いたものである。必要だと思われるところすべてに読点を打ちなさい。

 多少は手をいれて住みやすくした日当たりのいい離れに伯父夫婦が住み母たちはずっと使っていなかった暗い母屋の座敷を借りていた。母たちにとっては気苦労の多いつらい毎日だったに違いないのだけれど土間になった台所に井戸から引いた水がなみなみと入った私たちの背丈ほどもある大がめがあったり昼間でも蚊が唸りをたてて渦まいている暗い玄関の長押にはほこりをかぶった槍や薙刀が何本もかかっていたりなかでも畳敷きの控えの間があるひとびろとした電灯のつかない厠などなにもかもが不思議で目新しく私はすごいすごいと言いつづけてみなをしらけさせた。小野が日常になってしまった母たちとは違ってときたまそれもほんの数時間長くても一晩しかいなかった私にとって孟宗とか淡竹とか季節によって種類の違う筍が出る竹藪もかみしめると甘さが口にひろがる青い穂の出た大麦の畑もそして奴部屋とか供待ち部屋とかふだんは閉めてある耳なれない部屋の名までがめずらしくて松葉牡丹が白い地面に照りつける太陽を受けてあざやかな友禅もようをひろげている敷地のなかをなにかすばらしい発見はないかとうろついていてもういいかげんにして家に上がっていらっしゃいと母に呼び込まれることもあった。

(須賀敦子「夏の終り」『ヴェネツィアの宿』文集文庫より)

私の実施した結果は下記です。

 多少は手をいれて住みやすくした日当たりのいい離れに伯父夫婦が住み、母たちはずっと使っていなかった暗い母屋の座敷を借りていた。母たちにとっては気苦労の多いつらい毎日だったに違いないのだけれど、土間になった台所に井戸から引いた水がなみなみと入った私たちの背丈ほどもある大がめがあったり、昼間でも蚊が唸りをたてて渦まいている暗い玄関の長押にはほこりをかぶった槍や薙刀が何本もかかっていたり、なかでも畳敷きの控えの間があるひとびろとした電灯のつかない厠など、なにもかもが不思議で目新しく、私はすごいすごいと言いつづけてみなをしらけさせた。小野が日常になってしまった母たちとは違って、ときたまそれもほんの数時間、長くても一晩しかいなかった私にとって、孟宗とか淡竹とか季節によって種類の違う筍が出る竹藪も、かみしめると甘さが口にひろがる青い穂の出た大麦の畑も、そして奴部屋とか、供待ち部屋とか、ふだんは閉めてある耳なれない部屋の名までがめずらしくて、松葉牡丹が白い地面に照りつける太陽を受けて、あざやかな友禅もようをひろげている敷地のなかを、なにかすばらしい発見はないかとうろついていて、もういいかげんにして家に上がっていらっしゃいと母に呼び込まれることもあった。

打った読点の数は17個でした。
281名の作業結果によると、平均は約18個(17.95)ということです。

私も平均的な結果でした。
※原文は20個あるそうです。それよりは若干読点少なかったです。

私は下記の基準で読点を打ちました。

・文の中で主語が変わる。
・時間をあらわす副詞がある。
・否定の言葉がある(~けれど)。
・並列助詞がある(~たり、~も)。
・主語に対する動詞を分断する(松葉牡丹が白い地面に照りつける太陽を受けて、あざやかな友禅もようをひろげている)。

みなさんもぜひやってみてください。

読点を打つ4パターン

なぜこんな話をしたかについてです。

皆さんは句読点、当然ご存知ですよね。句点は文章の終わりに打つ点ということで明白ですが、読点……こちらを打つ基準って曖昧じゃないですか?

それで文章表現の技術という本から抜粋させていただき、上の問題を出させていただきました。

この本によれば、読点を打つ基準としては、大きく4種類にわかれるそうです。

それは「長さ派」「意味派」「分かち書き派」「構造派」の4つです。

ある人は必ず「長さ派」というわけではなく、ここで読点が欲しいなと思ったときに、上の4つのいずれかの基準で読点を打っているという意味です。

それぞれの内容を見ていきます。

「長さ派」

一文の長さを考えながら読点を打つタイプです。

例えば下記の文字列なんて、長すぎて読点打ちたくなりますよね。

パブロディエーゴホセフランシスコデパウラホアンネポムセーノマリーアデロスレメディオスクリスピーンクリスピアーノデラサンティシマトリニダードルイスイピカソ

ただ、意味もわからないし、この文字列に読点を打つとしたら「長さ派」の感覚でしか打てないわけです(博識な方は上がピカソのフルネームと気づかれ、適切なところに読点を打てたかもしれません)。

「意味派」

意味を知っている人が齟齬を防ぐために読点を打つパターンです。あまり実際の文章で出てくることはないですし、出てくるような文章は不親切ですね。

例えば

 杞優橙佳は血まみれになって逃げ出した泥棒を追いかけた。

血まみれになったのが杞優橙佳なのか、泥棒なのかは書いている人でないとわかりません。

「分かち書き派」

漢字と熟語が二つ続いていたり、ひらがなの単語が続いて読みづらいところをわかりやすくするものです。

例えば

 わたしみんなのことだーいすき

を「わたし、みんなのこと、だーいすき」とするイメージです。

けれども読点が増えることで意味がわかりにくくなったり、テンポが悪くなったりするケースが有ります。
(例えば「ボクらは夢を目指したいつもそうだろう?」を「ボクらは夢を目指した、いつも、そうだろう?」とすると読点がしつこい気がします)

適切に漢字を使ったり、単語の並びを変えたりして、できるだけ読みやすい文章を書いてあげるのが読者のためになります。(ふと、ああああという単語を思い出しました)

「構造派」

文を文法的に、論理的に考えて読点を打つタイプです。

代表的な考え方としては、主語のあとに読点を打つ、副詞節(形容詞や動詞などを修飾する単語が、文章になったもの)=連用修飾節のあとに読点を打つというものです。

主語のあとに読点を打つというのは、

 私は、就職活動で多くの企業の面接を受けてお祈りされながらも結果を出した。

このような文章で、特徴としては主語に対応する述語が文章の最後に来るという点です(上の例なら、私は結果をだした。)。これを、かかりうけと言います。

いわば、この主語と、次の文章の最後の述語が対応していますよーのマークだとも言えます(かかりうけ明示の読点)。

では副詞節=連用修飾節とはなんでしょうか……?

冒頭で問題として出させていただいた文章でいうと、

【松葉牡丹が白い地面に照りつける太陽を受けて、】あざやかな友禅もようをひろげている敷地のなか

【】内は『あざやかな友禅もようをひろげている敷地』をより詳しく、明確にするために加える(=修飾する)節ですよね。これが副詞節=連用修飾節です。

ちなみに【あざやかな友禅もようをひろげている】も、『敷地』の副詞節=連用修飾節です。

日本語は副詞節=連用修飾節の集まりでできているんですね。

連用修飾節をつくりがちなキーワードとしては、「~するとき(時の表現)」「~すれば(条件の表現)」「~するから(理由の表現)」「~するし(並列の表現)」があります。

それから、副詞節=連用修飾節に関しては、「長い修飾語が二つ以上あるとき、その境界に読点を打つ」というポリシーを持たれている方もいます。わかりやすいですね。

まとめ

読点を打つパターン4パターンを、論理派向けにご紹介させていただきました。

感覚でいいんだよ!って方も、すこし論理を知っておくことで、読みやすい読点を打てる時があるかもしれません。

余談ですが、文章表現の技術という本では、読点の打ち方のルールを重視するのは学者、感覚を重視するのは小説家との記載がありました。
じゃあこのブログを読んでいる方は……感覚派が大多数では……?
……このエントリは参考程度にしていただき、どこかで何かのときに役立てば幸いです。

なお、感覚を重視するのは小説家との記載はありましたが、小説家の面白い感覚の例として「符号というのはあくまでも補助的なものだから、究極的に重大なのは、たとえ句読点をすべて取り払ってもなおかつ一人立ちしている頑丈な文章を書くことなのである。そしてこのことは、難事ではあるけれども不可能ごとではない」(丸谷才一)という、覚悟を持っている小説家が紹介されていました。

私も端くれとして、読点をいっさい打たない文を考えてみました。
ぜひ皆さんも考えてみてください。

私が昨日コンビニでポップコーンを買って食べていたらコーヒーを持った少年が私の靴につまずいて近くにいたおじいさんの持っているアイスクリームにかかってチョコレートが溶けてしまい少年がこっぴどく怒られているのを見て私は心からすまぬと天を仰いだ。

文章って面白いですね

 この記事へのコメント

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