世界の分割法について詳しく解説！ファンタジー小説の設定に使おう！

2022年7月3日

　「世界の分類法」は、ファンタジー世界の世界観設定において重要な役割を果たします。特に仏教における「世界の分類法」は、時代によってかなり考え方に差がありますので、確かな知識を把握しておくことが大切です。

　そこで本記事では、「世界の分類法」について、「仏教」と「ギリシア神話」に重点を置き、解説します。本記事を読み、より魅力的なファンタジー小説を作りましょう！

Contents

1. 仏教における世界の分割法
2. ギリシア神話における世界の分割法（四元論）
3. まとめ

仏教における世界の分割法

　仏教には、世界を何個かの要素に分ける、いくつかの分類法があります。それぞれ、古い順に「三大」「四大」「五大」「六大」と分かれておりますので、順に見ていきましょう！

三大

　仏教における世界の分類法でもっとも古いのは、古代インド思想である「三大」です。「地・水・火」の三要素で、世界はできているという考え方になります。

四大

　つづいての分類法は「四大」です。三大の「地・水・火」に「風」を加えたもので、ギリシア神話の「四元論」と同じです。

五大

　次の分類法は「五大」です。四大の「地・水・火・風」に「空（虚空）」を加えたもので、宇宙（あらゆる世界）を構成しているとされる、「五つの要素」のことを指します。この「五大」を、密教では「五輪」と呼びます。

仏教の五大の並び	説明
空	「虚空」のこと。
風	「成長」「拡大」「自由」のこと。
火	「力強さ」「情熱」「何かをするための動機付け」「欲求」などのこと。
水	「流体」「一定の形を持たない物」「流動的性質」「変化に対して適応する性質」など。
地	「大地」「地球」を意味する。「固い物」や「動きや変化に対して抵抗する性質」のこと。

　「五大」は、上の表のように、「下に重いもの」が、「上に軽いもの」が並ぶように配置されます。そして、上に位置するものほど「上等」であり、下に位置するものほど「下等」という扱いです。

　般若心経に登場する有名な文「色即是空空即是色」でも、「色（この世の様々なものや現象）はすなわち空（実体がない）なり、また空はすなわち色なり」とあるように、五大の考え方に基づいています。つまり、「万物には実体がない。だからこそ、実体のない空がすべての中で最も重要で、基本的なものである」と言っているのです。

　ちなみに、「五輪塔」や「五重塔」と呼ばれる「仏塔（釈迦の骨を入れておく塔）」に「五階層の構造」が多いのも、「五大」の考え方に基づいているとされています。つまり下の階層から順に、「地・水・火・風・空」を表しているのです。ちなみに「五輪塔」では、下から「地輪・水輪・火輪・風輪・空輪」という名称になっています。

六大

　その後、「五大（地・水・火・風・空）」に「識（意識）」を加えて、「六大」にまで発展します。この「識」とは、「人間の意識」のことです。

ギリシア神話における世界の分割法（四元論）

　ギリシアにおける世界の分類法に「四元論」があります。これは仏教における「四大」と同じで、世界は「火・風・水・土（地）」の4つの元素で構成されているという概念です。

　四元素は古代ギリシア思想の大きなテーマでしたが、今の私たちの世界でも、このテーマが深く関わっている世界があります。

　それは、「タロット占い」や「西洋占術」の世界です。タロットの世界では、「火=情熱」「土（地）=物質」「水=感情」「風=思考」をあわらします。タロットをファンタジー世界に取り入れている作品も存在するので、ぜひ四元論と絡めて、下記の基本的な内容だけでも覚えておきましょう！

四大元素	エレメント（要素）	イメージ	カードの例
火	意思、エネルギッシュ、インスピレーション、理想、直観、情熱、始まり	衝動的、能動的	皇帝、運命の輪、太陽、節制、ワンドのスート
風	知性、コミュニケーション、制限、思考、言葉、スピード感、情報、直観	論理的、能動的	世界、魔術師、愚者、女帝、ソードのスート
水	調和、感情、情緒、愛、芸術、穏やかさと強さの共存、スピリチュアル性	情感的、受動的	女教皇、死神、審判、戦車、月、カップのスート
土（地）	思考、分析、理論、現実的、物質、お金、肉体、着実に進む力、落ち着いた心	現実的、受動的	法王、女帝、魔術師、悪魔、ペンタクルのスート