キャラクターにカッコいい服を着させるためのヒント
読者をドキドキさせる恋愛小説を書きたい!と思っても、登場人物の着ている服がダサいと興ざめしてしまいますね。けれどもいざ、キャラクターに可愛い服を着せたい!と思っても、いつも似たような服ばかりになってしまう……もっと服装の幅を広げたい、そう思っている作者さんもいるのではないでしょうか。
本エントリーではファッションについて、わかりやすい切り口でまとめています。というのも私自身がファッションについて調べていて〇〇系の違いを勉強していたときに「エッジの効いたアイテムを取り入れたコーディネートが特徴」「甘さを足した系統」などと言われてもよくわからなかったので。。わかりやすい記事が必要だと感じました。
衣・食・住と言われるようにファッションは生活の三大要素のひとつです。この記事を読むことで作者さんは作品の中だけでなく、実際にもああファッションってこういうことねとぼんやり理解してもらうことができ、服屋さん言ってみようと思えるはず。食わず嫌いしているのはもったいないです。
ファッションを4つに分類してみる
ファッションについて調べていると〇〇系という言葉を多数見ます。カジュアル、ストリート、モード、きれいめ、フェミニン、ガーリー、コンサバ、ナチュラル……無限に出てきます。
どんなジャンルでもそうですが、はじめは大きく分類されていたものが、差異を目立たせるために徐々に細かく分類されていきます。例えばファンタジー小説がローファンタジーとハイファンタジーに別れたりとか。異世界転生だけが別ジャンルとして切り分けられたりとか。
ですのでファッションを覚えるときの考え方としては、縦横の2軸でざっくり4種類にわけてみるのが良いと感じます。
私は縦軸を先鋭的〜保守的、横軸をカオス(何でもあり)〜シンプルでファッションを4分類してみました。それが以下の図です。

カジュアル、きれいめ、ストリート、モードの4種類をおさえておくことで、ファッションの会話の入り口には立てるはずです。
もちろん上記の4種類以外にもファッションの分類は多数あり、例えばコンサバは上品で知的なオフィススタイルの服だとか、フェミニンは全体的な色合いが淡くて優しい服だといった細かい差異はあるでしょう。けれどもコンサバもフェミニンもシンプルなので「きれいめ」に近いジャンルなのねと考えればわかりやすいです。また、リボンやフリルのついた少女っぽさを前面に押し出すガーリーファッションは、何でもありのカジュアルコーデの派生と理解すれば良いですね。
よくわからなかったら、店員さんに聞くのも良いです。上記の4軸さえ理解していればこれはカジュアル寄りだと思うのですが、どういったジャンルの服なんですか?と聞くことができますね。それでは4つ分類それぞれの特徴を見ていきます。
ファッションごとの特徴
カジュアル
カジュアル系ファッションとは、リラックス感のあるファッションのことです。「casual」という「くだけた」や「何気ない」などの意味を持つ英語が語源で、フォーマルではない、格式張っていないという特徴があります。
・特徴的なアイテム
Tシャツ
ニット
デニムパンツ、デニムスカート
(厚手のコットン糸×綾織り=デニム生地をつかった服、
ジーンズもデニムパンツのひとつ)
チノパン、チノスカート
(細い綿×綾織り=チノクロスをつかった服)
ジョガーパンツ
(ジョギング用パンツ、スウェット生地やジャージー素材を利用、
ベルトではなくゴムなどでお腹周りを締める)
スニーカー
(裏にゴムの付いた靴全般
ナイキやコンバースの靴のイメージ)
きれいめ
きれいめ系ファッションとは、シャツとスカートにパンプスを合わせるなど、オフィスでも使えるようなきれいにまとまったファッションのことです。 過度なデザインのものではなく、定番のアイテムを組み合わせることが特徴です。
・特徴的なアイテム
シャツ、ブラウス
(襟付きシャツ)
ジャケット
カーディガン
ノーカラーシャツ
(襟なしボタンありシャツ)
センタープレスパンツ
(センタープレスという折り目のついたパンツ、スラックスとも)
プリーツスカート
ストリート
ストリート系ファッションとは、ファッション業界が生み出す流行のスタイルに囚われず、街中に集まる若者たちから自然発生的に生まれるファッションのことです。ルーズでラフな感じが特徴です。ストリートファッションは時代時代の社会情勢や、音楽、映画の流行などのカルチャーに色濃く影響され、発展してきました。
・特徴的なアイテム
キャップ
パーカー
柄シャツ
スタジャン
(スタジアムジャンパー)
カーゴパンツ
(両脚側面に大型のポケットがついたパンツ、作業用パンツが原点)
大きめのトップスに大きめのパンツ
大きめのトップスにスキニーパンツ
モード
モード系ファッションとは、流行を取り入れた前衛的なファッションです。パリコレなどで発表されるような最新のファッションで、独創的で前衛的で、ひとつのスタイルにとどまることなく進化し続けることが特徴です。モード系はかつての細身のシルエットにモノトーンカラーを合わせるイメージでしたが、2020年代はゆったり系のシルエットのコーディネートに変化しています。
・特徴的なアイテム
アシンメトリー
ハイブランド
モノトーンのアイテム
4つに分類するのはいいけど、どうやってキャラクター作成に使うの?
4つに分類するのはいいけど、どうやってキャラクター作成に使うの?という疑問を持たれる方もいるかもしれません。
例えばライトノベルでもよく登場する派手で露出が高めのギャル系ファッションは、先鋭的でストリートの一種と考えて、周囲のキャラクターはストリート系のファッションに統一してみると世界観が生まれます。
また、カジュアルな服のキャラ、きれいめの服のキャラ、ストリート系の服のキャラ、モード系の服のキャラと服装だけを変えた4人の登場人物を出すと、それだけでキャラクターが立ち、それぞれを識別できます。例えばストリート系のキャラクターはキャップをかぶっている、モード系のキャラクターは黒尽くめのコートを着ている等。小説において、簡単にキャラクターを識別できるメリットは計り知れないですよね。
他にも特筆すべきファッション
この記事ではファッションの入門として、カジュアル、きれいめ、ストリート、モードの4種類を取り上げました。しかし小説家を目指すあなたは、もっと特徴的な服装を取り入れてみたいはず。そこで新たな2軸で、さらに4種類のファッションをご紹介します。縦軸に伝統的〜現代的、横軸に機能的〜観念的(抽象的な世界観を重視する)という軸で分類してみました。

ここからは他にも特筆すべきファッションとして、アウトドア、パンク、ミリタリー、ゴスロリの4種類の特徴をご紹介しますね。
アウトドア
アウトドア系ファッションとは、キャンプや山登りといったアウトドアで着られるアイテムを取り入れたファッションです。 防寒・防水などの機能面で優れていることはもちろん、無駄のないデザインはシンプルで、アウトドアでも見つけやすいようカラフルな色彩はおしゃれです。
・特徴的なアイテム
リュック
マウンテンパーカー
(フード付きのアウター)
クライミングパンツ
レギンス
(腰から足首までを覆うボトムス)
トレッキングシューズ
(軽登山靴)
パンク
パンク系ファッションとは、パンク系バンドが着ている服をモチーフとした、世の中への怒りや、権力への反発を表したファッションです。パンクバンド黎明期の70年代はシンプルで落ち着いた印象でしたが、80年代以降モヒカンやドクロなどの攻撃的な髪型や服装が好まれるようになりました。近年はサイバーパンク系としてマスク、ガスマスク、スカウター、ヘッドフォン、光るアクセサリーなどを取り入れる姿もみられます。
・特徴的なアイテム
髑髏
チェーン
安ピン
ダメージ加工
シルバーアクセ
サイドラインパンツ
メッセージ性を持ったアイテム
(社会や政治に対する反抗的なメッセージが書かれたTシャツなど)
ミリタリー
ミリタリー系ファッションとは、陸軍の軍服のデザインをインスピレーションにしたファッションです。厚手の生地や、周りの風景に擬態できる迷彩、肩章、金属のボタン、フラップポケットなど、機能的なディテールと武骨で男らしい面持ちが特徴です。現代の服の多くはミリタリーをもとに作られており(例えばトレンチコートがイギリス軍の防水コートを起源にしているなど)、全てのファッションの原点とも言えます。
・特徴的なアイテム
ミリタリーブーツ
ミリタリージャケット
(カーキ色)
カーゴパンツ・カーゴスカート
ゴスロリ
ゴスロリ系ファッションとは、黒や紺などの暗めな色を基調としたゴシック要素とフリルやレースなどを使って少女的要素が含まれたロリータが融合したファッションです。肌の露出を抑えた黒をベースとしたコーディネートが特徴で、レースやフリルがついたドレッシーなアイテムが多く使われます。
ゴスロリは精神性も大事にしており、見た目がゴスロリでも言葉遣いや立ち振る舞いが雑だったり、汚かったりすれば本当のゴスロリにはなれません。まさに世界観を大事にするファッションです。
・特徴的なアイテム
コルセット
編み上げビスチェ
黒ワンピース
ロングドレス
サルエルパンツ
ロングブーツ、ショートブーツ
薔薇、十字架、蜘蛛のアクセ
まとめ
カジュアル、きれいめ、ストリート、モードの4種類と、アウトドア、パンク、ミリタリー、ゴスロリの4種類、あわせて8種類のファッションをご紹介しました。どれも特徴的ですから、物語の登場人物ひとりひとりに各ファッションを着せることで、キャラクターがぐっと引き立つでしょう。
また、今回ご紹介したのはファッションのほんの一部でしかありません(ギャル系ファッションもアイドル系ファッションも、オタク系ファッションもないですね)。ファッション雑誌を読めば、いまもどこかで新しいファッションが生まれていることと思います。時間のあるときに街に出て、まわりの人のファッションを見てみるのも面白いですよ。
人は見た目が9割という本もありましたが、アニメやライトノベルはキャラクターの見た目が非常に大事です。こういうキャラクターだからこういうファッションを着させようと、理屈をもってキャラクター作りができるといいですね。
この記事があなたのお役に立てれば嬉しいです。
※もうミスらない 脱オタクファッションバイブルは実践的で良い本でした。