【題材とテーマ】STAND BY ME ドラえもん2は賛否両論?何が悪い?評価や評判から考える。

 STAND BY ME ドラえもん2に、痛烈な批評があったと話題になりました。

宇多丸、『STAND BY ME ドラえもん2』を語る!【映画評書き起こし】

 この批評、読むだけでもとても面白くて。2014年の一作目を認めたくはないけども、しずかちゃんとの結婚を翌日に控えた青年のび太が、少年のび太からドラえもんと会うか?と聞かれたときに、「ドラえもんは、君の……僕の子供の頃の友達だから」と返す場面を、ドラえもんから自立していると評価したりと、相手の作品をよく観た上で批評しているのが、良いですね。

 

続編の弊害

 STAND BY ME ドラえもん2が賛否両論なのは、続編の弊害だと思います。

 ある層は、「ドラえもんとは、のび太がドラえもんにとひみつ道具に助けられながらも学び、しずかちゃんと結婚できるような大人に成長するストーリー」だと考えます。
 ドラえもんは小学生の読む雑誌に連載されていました。教育的な要素が含まれているべきだと考える層は、一定数いるでしょう。(でなければ子供に見せたくないですね)

 ですがそういった成長物語は、実のところSTAND BY ME ドラえもん1で完結しています。ここが、続編の弊害ですね。

 STAND BY ME ドラえもん2は、しずかちゃんと結婚したいという目標を叶えた後の、のび太のストーリーです。監督の出した結論は、のび太は「そのままでいい」。のび太が幸せになれば、しずかちゃんも幸せになるという価値観のもとでストーリーは進みます。さらに、その後ろには、結婚相手をみてみたいというおばあちゃんの夢を叶えたいという、のび太の目標があります。

 続編であることを理解した観客からは、「前作でドラえもんから自立したのに巻き戻ってるじゃないか」と言われるかもしれません。けれど続編を作るということは……そういうものです。何かキャラクターに課題を与える必要があります。

 アナと雪の女王2だって、蛇足だと言われたことがあります。1でアナに感情移入していた人は、2を受け付けない……そんな作品でした。(2はエルサの課題を解決する話でしたからね)《映画感想》アナと雪の女王2 キャラクターを増やさず続編をつくった好例

 以上から、STAND BY ME ドラえもん2に対する批判の2つは、①続編であることを理解していない人からの的外れの批判、または②続編なのに前作の成長を台無しにしている……という批判でしょう。

 

親世代と現役世代の価値観の総意もある

 ややこしいのは、STAND BY ME ドラえもん2でおばあちゃんがフォーカスされたこと。

 おばあちゃんがのび太のお嫁さんが見てみたいと願った点が、物語の核となっていて。そのために大人のび太が、未来に戻ったと思えました。

 けれど、のび太の幸せって、家族の夢(おばあちゃんの夢)を叶えること? 家族の夢じゃなくて自分の夢を叶えるストーリーが見たいね?と感じる層がいること。(親世代の理想を子供世代に押し付けないで、という人が一定数いるはず)

 また、しずかちゃんが、のび太のダメなところを全部受け入れるって……しずかの人権無視してない?女性はダメ男の奴隷じゃないよ?と感じる層がいることです。

 この層は、そもそもSTAND BY ME ドラえもん2のターゲットから外れています。STAND BY ME ドラえもん2は、保守的な家族観を持つ方々に、感動をおすそ分けする作品だからです。だけど、自分向けの作品じゃないとしても、映画を見に行ったら、違和感をレビューやTwitterに書きたくなりますね。だから賛否両論がネットにあふれてしまいます。

 以上から、STAND BY ME ドラえもん2に対する批判の3つ目は、③保守的な価値観を受け付けない人からの批判です。

 

STAND BY ME ドラえもん2はどうすれば良かったのか?

①続編であることを理解していない人からの的外れの批判
②続編なのに前作の成長を台無しにしているという批判
③保守的な価値観を受け付けない人からの批判

 大きな3つの批判があると書きました。①は前作を見るよう促せなかったマーケティングの失敗。②はストーリーづくりの無理と受け入れてもらうしか無い……ですが、問題は③です。

 ドラえもんは、日本の普遍的な作品です。誰もが自分でも楽しめると思って、自分に向けて作られた作品だと思って、映画を見に行くでしょう。ですが……表現されたのは保守的なテーマでした。

 その点で、監督が表現したかったであろう(保守的な)価値観を描くには、ドラえもんは不適切だったと言えます。※サザエさんでやれば、きっとよかった。

 また、宇多丸さんの批評でも書かれていますが、監督は「要は、そもそもその作り手としての志が、二次創作っぽい人っていうか。で、よく言えば原作とかモチーフに対して、その山崎貴流の解釈というのを毎回している、とも言える」。

 題材を上手くくみあわせて、自分の表現したいものを表現する監督なのでしょう。ですがそれでは、原作を好きな人へ向けた作品にはなりません。あくまでも、監督の思想に共感する人向けの作品となります。

 

流行りの題材から、自分のテーマで創作する際の注意

 ここまで、STAND BY ME ドラえもん2の話をしました。

 ですが、「題材を流用して、自分の価値観で二次創作的に創作する」ケースは、私たちでも起きえます。例えば追放系の題材を利用して、自分の価値観で保守的な(家族が大事、長男が家を継ぐ、男性が女性を守るなどの)テーマを描くとしましょう。

 このとき、題材は追放系……で流行に乗っていますが、読者に届くのはテーマです。
 そのテーマが読者の望むものでなければ、STAND BY ME ドラえもん2のように賛否両論が巻き起こります。

 つまり、小説家になろうの流行を追う際には、題材だけでなくそこに込められたテーマも学ぶ必要があります。焼き畑的に題材を取り入れて物語を書いても……テーマが流行を追っていなければ、読者に受け入れられません。

 大事なのはテーマです。題材をつかって、どんなテーマが描かれているかです。現代の読者に共感されるテーマを心に抱くこと……これがウケる小説を書くポイントです。

 STAND BY ME ドラえもん2はいい反面教師でした。私たち小説家も、要注意ですね。

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