「表現が定まってきてしまう」問題……「言葉が思いつかない」を解決する
書き物を続けていると、「表現が定まってきてしまう」不安を覚えませんか?
例えば泣いている様子を書き表す時に、「彼は目を真っ赤にした」ばかりつかっていては、なんとなく滑稽です(同じ言葉を何回も続けるギャグがありますよね)。
このように普段から同じ「表現」をつかってしまったり、あるいはどのような「表現」を用いるべきかに悩んで詰まってしまったり……。
表現のバリエーションが貧しいというのは、問題です。
表現のバリエーション=目新しさ=読者を惹きつける
「同じ表現」・「同じ技法」ばかり。
それがなぜ問題なのかというと、読者を飽きさせるためです。
なぜなら、表現のバリエーションは、目新しさであり、目新しさは読者を惹きつける要素だからです。同じ表現を繰り返すと、読者がマンネリを感じ、いつしか離れてしまうでしょう。
例えばここまでの文章は、「ですます調」を用いた「丁寧語」を使っています。ここで末尾が毎回「です。」で終わっていたらどうでしょうか。
表現のバリエーションは目新しさです。目新しさは読者を惹きつける要因です。同じ表現を続けると、飽きてくるのが読者です。末尾の表現を変えて読者に与える印象を変えることが大事です。この文章は「ですます調」を用いた「丁寧語」です。末尾は毎回「です。」です。
です。の過剰摂取ではないでしょうか。
他人の表現を学ぶ方法
この現象を打開するための一案としては、とにかく「他人の表現」を学ぶことです。
有名なところを見ていきましょう。
「I Love You」というフレーズをご存知ですね? 言わずと知れた「愛しています」という意味合いを持つ単語です。この「I Love You」にちなんだ「逸話」をご存じでしょうか。「I Love You」という単語から、「月が綺麗ですね」という訳を生み出したのが、文豪、夏目漱石でした。
同じく「I Love You」という「死んでもいい」と訳したのは、二葉亭四迷。語源は全く同じ言葉が、二人の人間によって随分と異なった「表現」を帯びました。この翻訳にまつわる逸話は、書き手や芸術家の数だけ、それぞれの「表現」が存在するという核心を伝えてくれるものではないでしょうか。
恋愛小説での「表現」に煮詰まったなら、「他者の恋愛小説」がどのように同じ文言を描写するのか、「ファンタジー小説」であっても同じです。まずは自分の中に選択肢としての表現技法をどんどんインプットすることから始めてみましょう。「表現の引き出し」を出来るだけ作るとも言い換えられるかもしれません。
「同じ文言」の「言い回しだけ」を変える
先程書いた「月が綺麗ですね」と「死んでもいい」ではそもそも「I Love You」の受け取り方や解釈そのものが違っていました。
ですが「あなたを愛しています」と伝えたいときに、「あなたのことを愛してるよ」と書くのか、「あなたとずっと一緒にいたい」と書くのか。この「言い回し」の部分に着目してみるという視点です。
同じ意味合いの言葉であっても漢字の用い方ひとつで違ってくる「日本語」の面白味を活かせる解決法とも言えるのではないでしょうか。ここでヒントとして使えるのが、「類語辞典」です。
例えば愛しているを引くと下記のような類語がでてきます。
相手を掛け替えのないものと思い大事にする
大切に思う
守りたいと思う
といった類語をみると、「君を守る」や「掛け替えなんて、あるものか」といったセリフで愛を表現してみようと思いつきますね。このように「セリフ」や「言い回し」に悩んだときは、自分が普段から使っている表現を「辞書」で引き当ててみてください。
そこには参考語句や類語の表記と共に、同じ意味合いの文言の別の言い回しや意味合いの似た単語や文言などが記載されています。こういったものを上手に使用することで、あなたの「書き手」としての「表現の幅」はぐんと広がります。
ぜひ、参考にしてみてください。
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