10のインプットで1のアウトプットを出す『取捨選択』方法

2020年7月25日

 こんにちは。
 杞優橙佳です。 

 「受け手」にスムーズに伝わる文章を書く。

 小説家として必要なこの技術、どうやって身につけたらいいものか。日々奮闘中です。

 そして最近、感情や事実の描写については、微に入り細を穿つ必要はないと気づきましたので、シェアさせていただきます。

人間の複雑な感情を、複雑なまま書く必要はない

 例えば家族(おじいちゃん)が脳卒中で倒れたときの描写をするとしましょう。

 私の実際の経験を踏まえて、感情のゆらぎを書いてみます。

 私はおじいちゃんに駆け寄った。
『おじいちゃん!あ、頭に衝撃与えないようにしないと。左手でそっと持ち上げて、畳に寝かせて。だから冷奴にあんなに醤油かけるのやめてっていったんだよ、どうして私のいう事聞いてくれないの……もう……蚊がブーンって飛んでるのが気になるな、妹の真面目な顔初めてみた……おじいちゃんとあんまり仲良くなかったから他人事だと思ったのに。だめだ、なんだか頭が冷静になっちゃった。今は悲しまないと』

 おじいちゃんが倒れても冷静に対応している主人公が書きたいのか、蚊の鬱陶しさを書きたいのか、妹とおじいちゃんの関係を書きたいのか……わちゃわちゃしすぎですよね。

 複雑な感情を全て羅列するのが小説ではありません。

 なお、私に妹はいません……すみません捏造しました。

事実を事細かに書く必要はない

 例えば彼女との関係がギクシャクしてきたときに、彼女から呼び出された思い出をノンフィクションとして書くとしましょう。

「お願い、いますぐ来て」

 彼女の声は悲痛な色を帯びていた。僕は彼女と会うため品川駅に入り、山の手線のホームへ走った。しかし電車を一本逃したため、次の電車が来るまでの3分間、落ち着かないままスマホをいじり、喉の乾きを感じたので自販機に向かい、いろはすの購入ボタンを押してSUICAで支払ったタイミングで電車が来てペットボトルを取り忘れた。くそっと舌打ちしながら電車に乗り、入口付近の手すりにもたれかかって渋谷方面に二駅。大崎駅の南改札口へ走った。

 クセが強い。

「お願い、いますぐ来て」
 彼女に会うため、僕は大崎駅の南改札口へ走った。

でいいじゃん。ペットボトルを取り忘れたくだりは事実かもしれませんが、絶対いらないですよね。

第三者が受け止めやすいよう情報を選別する

 伝えたいことを絞ることが大事です。

 10の情報をインプットして、1をアウトプットするイメージ。90%の事実は捨てて、10%に集中するんだ!という意気込みです。

 作家さんであれば、本編でつかっていない膨大な裏設定資料を持っているはずです。

 緋宮閑流の溶けたやつさんが興味深いことを書かれていました。

 もったいないからと設定を全部詰め込むのではなく、選別が必要ですね。

※社会人の方ですと、会社で1のインプットで10のアウトプットを求められるかもしれません。ですが、1のインプットで10のアウトプットを出そうと思ったら、他に99のインプットがどこかであるはずです。それが研修だったり、これまでの経験だったりします。

技術を磨く練習方法

 10の情報をインプットして、1をアウトプットという方針が決まりました。では、その方針でどうやって技術を磨いていくのか。

 これには短編がいいでしょう。

 まずは「自分が何を書きたいのか」を明確にすること。プロットを作成する際、各シーンで伝えたい感情を書き出してみるのもいいですね。

 一本の話をオチまで作るという作業は、文章力や表現力を上げるために絶対に必要な経験です。
 まずは「自分が何を書きたいのか」を、最後までブレずにキープして、物語を完成させること。読者からのコメントや、自身での推敲を経て改善点が出てきたら、また別の話を作りながら技術を磨いていくこと。

 この作業が一番の修行になるのではないでしょうか。

 まずは2000文字くらいの短編からでもいいと思います(短編といえども、わかりやすく書くことは、わかりにくく書くことよりはるかに難しいです)。伏線の付け方や、オチのつけ方など、学びになることは多いです。

 まだ一度も物語を締めたことがない書き手の方は、是非試してみてください。

杞優の練習中短編集

https://kakuyomu.jp/users/prorevo128