【執筆速度1日1万字問題】あなたは自信を失う必要ないですよ

2019年10月22日

こんにちは。
杞優橙佳です。

1日1万字問題が小説家クラスタで話題になりました。

毎日、1万文字を半年間にわたって書き続けるとプロになれる、
というこのツイートが発端ですね。

1日1万字を積み重ねて
100万字書けばプロになれるという
わかりやすい目標設定が受けたのかも知れません。

このツイートを発端として

質より量
量より質

という2つの意見が対立して盛り上がっていました。

果ては西尾維新さんが
1日3万字を書くという話が広まり、
そりゃさすがに嘘だろう、無理ですと
意見が飛び交いました。

こういったやり取りを見て、
作家は1日1万字、1日3万字を書いている
という話を素直に聞き、
「私はそんなに書けないな……」と自信をなくし、
「自分は小説家に向いてないのかな」と
考えてしまいませんか?

その解決法をご享受します。
簡単な方法です。

5分でどれくらい書けるのかを計測する

これ、結構手軽なのでぜひやってみてください。ストップウォッチを5分に設定して、5分間で何文字書けるかを計測するだけです。

※消した文字はカウントせず、最終的に残った文字だけをカウントしてください。

文字数カウントには下記のサイトがおすすめです。

改行を除いた文字数が概ねカクヨムの文字数と一致します。

https://phonypianist.sakura.ne.jp/convenienttool/strcount.html

もしよければ

・漠然とこういう物語が書きたいという状態(プロットなし)で5分
・プロットが完全にできあがった状態で5分
・書き写し(好きな歌の歌詞とかで構いません)で5分

それぞれ試してみてください。

ポイントは漠然とした不安を具体的な数字に直すこと

ポイントは「自分には1日1万字、1日3万字は書けないな」という漠然とした不安を、具体的な数字に変えて検証することです。

例えば私の場合、先程の3パターンでこれだけの文字数が書けました。

・漠然とこういう物語が書きたいという状態(プロットなし)で5分
91文字(ブログのエントリを書こうとして5分でこの文字数)

・プロットが完全にできあがった状態で5分
150文字(一次創作作品のクライマックス、道筋は見えていて、あとはグッと来る言葉を選定するだけという場面)

・書き写し(好きな歌の歌詞とかで構いません)で5分
500文字(↓の映画の影響で最近ハマっている『空の青さを知る人よ』の歌詞書き写し)

ということは、1日1万文字書くために必要な時間は下記です。

・漠然とこういう物語が書きたいという状態(プロットなし)で5分
10000÷91文字=110×5分=550分(9時間10分)

・プロットが完全にできあがった状態で5分
10000÷150文字=67×5分=335分(5時間35分)

・書き写し(好きな歌の歌詞とかで構いません)で5分
10000÷500文字=20×5分=100分(1時間40分)

こう具体的な数字が見えると、
実現可否や、何をしたらよいかがわかります。

実現可否で言うと、
・漠然とこういう物語が書きたいという状態(プロットなし)で9時間10分
・プロットが完全にできあがった状態で5時間35分
かかるので、
仕事をしている時はまず無理です。

プロットができていればある程度スピードが出せるので「平日はプロットをひたすら練り、休日に1日1万字を目指すか。それでも土日を使えば月に10万字くらいは書けるな」と具体的なプランが浮かぶわけですね。

もちろん根本解決として、書ける速度をあげるという解決策に走るのもありです。例えば沢山の本を呼んで表現のストックを増やせば、スラスラと書けるスピードが上がるかも知れません。

自分なんて……と凹むより、
自分にできることを確認して
その範囲で最大限努力をするのが
建設的だと思います。

そもそも執筆速度という1つの指標で話をするのは良くない

執筆速度という1つの指標で話をすると、
マウントの取り合いになってしまって
一番最速で物語を書けるひとりだけが神格化され、
その他大勢の人たちが絶望を感じがちです。

今回でいうと西尾維新さんが神で、
それ以外は有象無象ということになっちゃいます。

1日1万文字書ける人はそれを自負して、自分より書けない人をいじめるかもしれませんが、書けないと思ってる人だって歌詞の書き写しだったら1日5万文字書けるかもしれません。

その瞬間上下関係ひっくり返るのでしょうか?無意味では?

これに限らず、何かひとつの指標で人をランク付けしようとする企みには、疑ってかかるのが幸せになれるコツですね。最後にひとつ、執筆速度だけが作家のステータスではないという意見をご紹介します。

「具体的なことを書く」のは、そこそこ考えたり調べたりしないと難しいので時間も手間もかかるはずです。書く文字数の速度を重視してたら挑戦しにくいとは思います。でも、具体的な設定・描写・セリフで作品を固めた方が読者=他人には刺さります。量より質ではないですが、やはりそこも意識しないと。

皆さまの物語ライフがより良いものになりますように!

  • Web小説の適切な長さについて考察した記事はこちら
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