これは役立つ!『現代レトリック辞典』(大修館書店)の魅力を解説
2022年11月28日に発売された『現代レトリック辞典』が注目されています。
小説家を目指すなど文章に携わる人をはじめ、ビジネスシーンでの会議や資料作成などさまざまなコミュニケーションの場面において、レトリックの重要性が周知されるようになったからです。
しかし「レトリックとは?」何となくわかってはいるけれどイマイチ詳しくは……という方も多いのではないでしょうか。
こちらでは『現代レトリック辞典』のレトリックの意味をご紹介とともに、なぜ注目されているのかを紐解いていきます。
↓内容は、とてつもなく充実しています。
レトリック研究の成果を集大成し、日本語の可能性を広げる事典。
本事典の特色
◆「意味の《あや》」「形式の《あや》」「思考の《あや》」の3部構成
◆古典や現代文学、ノンフィクション、漫画などバラエティに富んだ実例
◆図解約90点、イラスト・写真など約90点を収録
<目次>
はじめに
凡例
◆ギリシア以来の歴史と対話のレトリック
大河の流れ、レトリック2500年
対話のレトリック
◆レトリック技法解説 レトリックがいっぱい レトリック五部門/ことばのあや分布図
●意味のあや
シミリー シミリーとメタファーを比較する
メタファー 時間のメタファー
メトニミー メトニミーの生活と意見
シネクドキ カテゴリーはどうして必要なの?
擬人法 無生物主語構文
擬物法 「物」に見たててほめる
婉曲法 日本語のトイレ事情
くびき法 ひとひねりしたくびき
共感覚法 共感覚表現のすべて
撞着法 日常のなかの撞着効果
トートロジー 準トートロジー
誇張法 おもしろく、わかりやすく
緩叙法 ミニチュアの世界
曲言法 「ない」の力
類語法 身のまわりの類語法
掛詞 落語の地口オチ
造語法 造語といえば新語・流行語大賞
ルビ法 大活躍するルビ
二詞一意
▶読み物 村上春樹の比喩の秘密
▶読み物 擬態とメタファー
▶読み物 調理とことば
▶読み物 落語のレトリック――上方落語篇
●形式のあや
押韻法 いろんなところにマザーグース
類音法 キャッチコピーの音のくふう
音象徴 音象徴あれこれ
オノマトペ オノマトペの真価
強意法 漫画の強意法
反復法 三の魔力①──同じ表現を三回繰りかえす
列挙法 個物とカテゴリーのあいだをさまよう
追加法 その一言はいらない
省略法 語句レベルの省略
文末省略法 文末バリエーションの作り方
黙説法 沈黙と音のはざま
接続語法 接続語を操る
倒置法 倒置法のナイス連携
置換法 置換な言い間違い
形容転置法 「感情表現+の」の魅力
並行法 絵画のパラレリズム
対比法 絵画にみる光と闇
対句法 対句からみた漱石の漢詩
焦点化法 サスペンスと焦点化法
連鎖法 名前のバトンリレー
集約法 ひとくくりにしてつぎへ
句読法 言文一致の瞬間を見る
▶読み物 絵画に見るレトリックの姿
▶読み物 童謡・唱歌のレトリック
▶読み物 アメリカ大統領のレトリック
▶読み物 落語のレトリック――江戸落語篇
●思考のあや
三例法 三の魔力②──三つで仕上げる
挿入法 日常のなかの「挿入」いろいろ
クライマックス 二種のクライマックスを組みあわせる
急転法 急転法をコミュニケーションに活かす
引用法 語り手と人称
引喩 本歌取りのレトリック
ためらい法 会話のなかのためらい百態
迂言法 迂言を効果的に使う!
冗語法
含意法 「言外の意味」アラカルト
否定表現法 ソシュールと否定の夢
逆言法 「ない」は「ある」?
逆説法 おもしろパラドックス
感嘆法 対話のなかの感嘆
頓呼法 呼びかけ語の使い分け
修辞疑問法 修辞疑問法から詰問法へ
対話法 対話的思考へ
活写法 活写法と視点
縁語法 テクストの結束性を高める
諷喩 諷喩のもと
寓喩 寓話としての『動物農場』
アイロニー 人を動かすアイロニー
ジョーク ジョークをユーモア仕立てで
ユーモア ユーモアと擬人法
パロディー 『伊勢物語』のパロディー
パスティーシュ パスティーシュの練習
破調法 破調の美
破格法 破格法の自由と規律
奇先法 奇先法と文章展開のコツ
自虐法 謙譲表現のレトリック
毒舌法 毒舌家にならう毒舌ノウハウ
▶読み物 議論法のレトリック
▶読み物 サミュエル・ジョンソンとレトリック
▶読み物 落語のレトリック――笑いの東西比較
参考文献
引用文献
あとがき
日英用語対照表
英日用語対照表
索引
図版・歌詞引用等出典 編著者紹介
●カラー口絵
絵画のなかのレトリック/身近に広がるレトリック
レトリックとは
レトリックの日本語訳は『修辞法』です。修辞学、美辞学ともいわれ、言葉を巧みに用いて効果的かつ美しく相手に伝わるように表現する技法(テクニック)を指します。
レトリックは、ギリシア語のレトリケに由来している言葉で、情報を発信する側が受け取る側を納得及び説得するためのテクニックを指しているのです。
作家を目指す人のバイブル
レトリックを顧慮しないで書いた文章には読む人を引き付ける魅力に欠けていることが多々あります。
渾身を込めて書いた作品を最後まで読者に離脱させないため、読み手へアピールするテクニックは必要不可欠ですね!
そのためにも『現代レトリック辞典』は言葉・文章に関わる人の必読書と言っても過言ではないでしょうか?
『現代レトリック辞典』の魅力は?
「意味のあや」「形式のあや」「思考のあや」に大きく分けて、言語表現法を図解説明するなど丁寧でわかりやすい解説です。
また、読者にアピールし説得するときに働くレトリックのメカニズムを、実例豊富に多彩な言語表現の紹介もされています。
読みやすく分かりやすいように概説し、日本語と英語の用例や豆知識をまとめ、さらにレトリックの文化や歴史についても網羅され、まとめられた一冊です。
用例の範囲
小説、シナリオから漫画、短文・広告(キャッチコピーやタイトル)そして、学生や専門職に役立つ論文や資料まで、すべての言葉・文章に関することに役立つように、具体例を挙げて理解しやすく解説してあり、大変わかりやすいです。
具体例の紹介
レポートなどに用いられることが多い比喩やエッセイ、漫画などで用いられる毒舌など固いイメージの文章からユーモアのある言葉や文章に至るまで、随所に例文で解説してあり、とても分かりやすくなっています。
《例》ミステリー小説などに用いる焦点化法
「サスペンスがいつの時代にも人気があるのは、原因が徐々に解明されその工程が読者にハラハラ・ドキドキをもたらし、最後に結果がわかる」という仕掛けの語りなどに用います。
《例》小説、俳句、短歌などに用いられる倒置法
感情に訴える表現や印象に残る文章を作成するときに用います。
「私は、あなたに会いたかった=私は会いたかった、あなたに」などに利用します。
《例》漫画などに用いる強意法
「吹き出しのギザギザなどで感情を表現する技法を用いて読者に伝わりやすくする」などです。
上記はほんの一例で『現代レトリック辞典』は全72のレトリック(比喩・反語・倒置・誇張など)例を用いて説明されています。小説家を目指すなど文章に携わる人にとって、大変魅力的な本ではないでしょうか。
『現代レトリック辞典』(大修館書店) まとめ
2022年11月に発売された『現代レトリック辞典』は言葉や文章に関わる人、作家、ライター、学生は勿論社会人(会社員)など多くの人にとって必須なのではないかと思える内容となっています。
ソーシャルメディア(Twitter・Instagramなど)YouTubeのシナリオもレトリックを考慮した文章・言葉が不可欠なのではないでしょうか。
こう考えますと『現代レトリック辞典』は現代人にとってもはやバイブルと言ってもいいのではないかと思われます。
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