小説の設定に使える「軍隊の階級」を紹介!

 「軍隊の階級」は、ファンタジー作品において重要な要素になります。なぜなら、「軍隊の階級」をいい加減に設定してしまうと、「規律や命令の厳守」を旨とする軍隊の空気感を、リアルに再現できないからです。特に小説は、映画や漫画のように、「映像」での表現がほぼ存在しないため、より緻密に設定を考える必要があります。

 そこで本記事では、「軍隊の階級」について、「古代」と「現代」それぞれで情報をまとめました。各表に記載された情報を参考にしながら、魅力溢れるファンタジー小説を作りましょう!

古代ローマの軍隊の階級

 「古代ローマの軍隊の階級」について、「上級士官」「中級士官」「下級士官」に分類し、解説します。

上級士官

 「上級士官の階級」は以下の通りです。

階級役割説明
ドゥクス(Dux)大将総督または執政官。
レガトゥス・レギオニス(Legatus Legionis)中将主に3年以上の元老院議員が務める30歳前後の人物で占められる。現在の軍団長。
トリブヌス・ミリトゥム(Tribunus Militum)少将現在の師団長。中将を補佐する幕僚。1個軍団に6名配置。
トリブヌス・ラティクラウィウス(Tribunus Laticlavius)見習い将官新人元老院議員が務める。ほぼ名目のみの立場。ただし、非常時には指揮官の立場につく。
トリブヌス・アングスティクラウィウス(Tribunus Angusticlavius)大佐指揮官(見習い将官)の命令を軍団(准将)に伝える。主に騎士階級(上流階級)が務める。指揮官と軍団兵の中間管理を務める。
プラエフェクトゥス・カストロルム(Praefectus Castrorum)准将引退せず軍に残った筆頭百人隊長。ノンキャリアの最高位。位置づけ的に、現在の准将に近いが、階級上では大佐相当より下になる。野営業務に携わる。
プリムス・ピルス(Primus Pilus)中佐筆頭百人隊長。現在の大隊長。引退すると騎士階級になり、上流階級の一員として迎えられる。

中級士官

 「中級士官の階級」は以下の通りです。

階級役割説明
ピルス・プリオル(Pilus Prior)少佐上級中隊長。百人隊長らに命令を下す。
プリミ・オルディネス(Primi Ordines)大尉上級百人隊長。現在の中隊長に近い。ベテランの軍団兵が務める。
ケントゥリオン(Centurion)中尉~少尉百人隊長。現在の小隊長。軍団兵の軍隊生活の統括も担う。

下級士官

 「下級士官の階級」は以下の通りです。

階級対応役割説明
テッセラリウス(Tesserarius)曹長中級士官の命令を下士官(十人隊長)に伝える。「連絡士官」とも呼ばれる。
デクリオン(Decurion)軍曹~伍長十人隊長。8人部隊の隊長。

近代国家の軍隊の階級

 つづいて「近代国家の軍隊の階級」について解説します。階級を7つに大別し、位の高い順に表にまとめましたので、順に見ていきましょう!※日本軍隊の階級は(陸/空/海)の順に表記、諸外国の軍隊の階級は、上から順に「陸・空・海」の順に記載します。

将官

 「将官」は軍の司令官になります。陸・空軍では「将軍」、海軍では「提督」がこの階級です。ちなみに「元帥」は、多くの場合将官に含まれません。

日本アメリカ/イギリスドイツ説明
元帥General of the Army(陸)General of the Air Force(空)Fleet Admiral(海)GeneralfeldmarschallGeneralfeldmarschallGroßadmiral大将より上階級の将校。
大将(陸上/航空/海上幕僚長)GeneralGeneralAdmiralGeneralGeneralAdmiral軍のトップ。将官の最高位。
中将(陸/空/海将)Lieutenant GeneralLieutenant GeneralVice AdmiralGeneralleutnantGeneralleutnantVizeadmiral軍司令官(陸)、航空軍司令官(空)、艦隊司令官(海)など。
少将(陸/空/海将補)Major GeneralMajor GeneralRear AdmiralGeneralmajorGeneralmajorKonteradmiral師団長(陸)、航空団司令官(空)、艦隊司令官(海)など。
准将Brigadier GeneralBrigadier GeneralRear Admiral Lower HalfBrigadegeneralBrigadegeneralFlottillenadmiral旅団長(陸)、航空団司令(空)、群司令(海)など。

佐官

 「佐官」は、作戦単位の指揮官や参謀のことです。古い言い方を使うと、「軍師」に相当する階級になります。

日本アメリカ/イギリスドイツ説明
大佐(一等/陸佐・空佐・海佐)Colonel(陸)Colonel(空)Captain(海)OberstOberstKapitän zur See連隊長(陸)、群司令(空)、艦長(海)など。
中佐(二等/陸佐・空佐・海佐)Lieutenant ColonelLieutenant ColonelCommanderOberstleutnantOberstleutnantFregattenkapitän大隊長(陸)、飛行隊長(空)、艦長(海)など。
少佐(三等/陸佐・空佐・海佐)MajorMajorLieutenant CommanderMajorMajorKorvettenkapitän中隊長(陸)、熟練パイロット(空)、副艦長(海)など。
准佐  創作世界のみの階級。佐官と尉官に権限の差はなく、本来は不要。

尉官

 「尉官」は、下士官や兵を率いて、最前線で直接戦闘を行う指揮官です。かつての「武将」から、将軍や大将を除いたものがこれに相当します。

日本アメリカ/イギリスドイツ説明
大尉(一等/陸尉・空尉・海尉)Captain(陸)Captain(空)Lieutenant(海)StabshauptmannStabshauptmannStabskapitänleutnant中隊長(陸)、パイロット(空)、分隊長(海)など。
中尉(二等/陸尉・空尉・海尉)1st Lieutenant1st LieutenantLieutenant Junior GradeOberleutnantOberleutnantOberleutnant zur See小隊長(陸)、パイロット(空)、航海士(海)など。
少尉(三等/陸尉・空尉・海尉)2nd Lieutenant2nd LieutenantEnsignLeutnantLeutnantLeutnant zur See連隊付(陸)、パイロット(空)、航海長補佐(海)など。
見習士官(陸軍はなし)Acting Pilot OfficerMidshipman 「少尉心得」とも呼ばれる。士官学校の教育課程を修了したものが、少尉着前に就く階級。階級は曹長相当。待遇は少尉と同等。

准士官(士官相当官)

 「准士官(士官相当官)」は、「熟練下士官」と「新人士官の階級」の差別化を図るために設けられた階級です。この階級がないと、「熟練下士官」が「新人下士官」より階級が劣るという問題が発生します。

 つまり、優れた下士官が入りたての新人士官より階級が下では、軍隊をスムーズに機能させる上で、障壁になりかねません。ちなみにこの階級の准士官は、少尉と同等の権限を持ちます。

日本アメリカ/イギリスドイツ説明
准尉/准尉/兵曹長Chief Warrant Officer 5(陸)(空軍はなし)Chief Warrant Officer 5(海)役割は少尉と同じ。
准尉/准尉/兵曹長 Chief Warrant Officer 4(空軍はなし)Chief Warrant Officer 4
准尉/准尉/兵曹長 Chief Warrant Officer 3(空軍はなし)Chief Warrant Officer 3
准尉/准尉/兵曹長 Chief Warrant Officer 2(空軍はなし)Chief Warrant Officer 2
准尉/准尉/兵曹長 Warrant Officer 1(空軍はなし)(海軍はなし)

准士官(上級下士官)

 「准士官(上級下士官)」は、「准士官(士官相当官)」と基本的には同じです。ただし、あくまで「下士官の最上級」であり、「士官」とはみなされません。

日本アメリカ/イギリスドイツ説明
准陸尉Sergeant Major of the Army(陸)Oberstabsfeldwebel「特務曹長」とも呼ばれる。役割は「少尉」と同じ。
Command Sergeant Major(陸)
Sergeant Major(陸)
准空尉Chief Master Sergeant of the Air Force(空)Oberstabsfeldwebel
Command Chief Master Sergeant(空)
Chief Master Sergeant(空)
准海尉Master Chief Petty Officer of the Navy(海)Oberstabsbootsmann
Fleet Master Chief Petty Officer(海)
Command Master Chief Petty Officer(海)
Master Chief Petty Officer(海)
陸曹長1st SergeantStabsfeldwebel役割は「少尉」と同じ。
Master Sergeant
空曹長Senior Master SergeantStabsfeldwebel
海曹長Senior Chief Petty OfficerStabsbootsmann

下士官

 「下士官」は、士官の命令を受けて、現場で兵に指示を出す現場監督です。多くの場合、兵からの昇進者がこの地位に着きます。

日本アメリカ/イギリスドイツ説明
一等/陸曹・空曹・海曹 Sergeant 1st Class(陸)Master Sergeant(空)Chief Petty Officer(海)HauptfeldwebelHauptfeldwebelHauptbootsmann最上位の下士官。現場のトップ。
二等/陸曹・空曹・海曹Staff SergeantTechnical SergeantPetty Officer 1st ClassOberfeldwebelOberfeldwebelOberbootsmann教導官や分隊長の地位。兵卒のまとめ役であり、チームリーダーでもある。
三等/陸曹・空曹・海曹SergeantStaff SergeantPetty Officer 2nd ClassStabsunteroffizierStabsunteroffizierObermaat班長など。

兵卒

 「兵卒」は、部下を持たない最下級の兵士です。

日本アメリカ/イギリスドイツ説明
陸・空・海/士長Corporal(陸)Senior Airman(空)Petty Officer 3rd Class(海)OberstabsgefreiterOberstabsgefreiterOberstabsgefreiter下士官の不足を補うベテラン兵士。場合によっては伍長の役割を代行する。
一等/陸士・空士・海士Private 1st ClassAirman 1st ClassSeamanHauptgefreiterHauptgefreiterHauptgefreiter先輩兵士として、後輩の生活指導を担う。新人指導(教導官の補佐)にも当たる。
二等/陸士・空士・海士Private E-2AirmanSeaman ApprenticeGefreiterGefreiterGefreiterカリキュラムを終えた兵士。
自衛官候補生Private E-1Airman BasicSeaman RecruitSoldatSoldatMatrose教育中の新兵。
三等兵「新兵より下の位」であることを示す階級。創作上の階級。しかし、旧日本海軍には「三等兵・四等兵」という呼称は実在した。

まとめ

 今回は「軍隊の階級」ついて紹介しました。

 内容を簡単にまとめると以下の通りです。

  • 「古代ローマの軍隊の階級」は、「上級士官」「中級士官」「下級士官」の3つに分類できる
  • 「近代国家の軍隊の階級」は、「将官」「佐官」「尉官」「准士官(士官相当官)」「准士官(上級下士官)」「下士官」「兵卒」の7つに分類できる
  • 創作でのみ用いられる「軍隊の階級」がある

 本記事を通して「軍隊の階級」について詳しくなり、ファンタジー小説の世界観設定に活かしましょう!

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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