キリスト教の教派や教会の階級について徹底解説!ファンタジー小説の設定に使おう!
ファンタジー小説を書く際、キリスト教の知識は必須とも言っていいくらい重要な要素です。
世界最大の信者数を有するキリスト教は、国や歴史に深く根付いているため、特に外国を舞台にすることの多いファンタジー小説では欠かせません。
キリスト教の教派や教会の階級についてまとめましたので、ぜひ小説づくりの参考にしてくださいね。
キリスト教の教派とは?
キリスト教の教派は大きく3つに分かれます。それぞれの呼び名は「カトリック教会」「プロテスタント教会」「正教会」です。
キリスト教は元々、「イエス・キリスト」の教えを中心に1つでした。その後キリスト教は、パレスチナからギリシャへと広がり、そしてローマ帝国の国教に選ばれます。しかし、ローマ帝国が東西に分裂したことで、教会も東西に分かれてしまうのです。
すると、東西に分裂した教会は別々の教義を持つようになります。1054年には教会のトップ同士である教皇と総主教が相互破門をし、「東方教会」と「西方教会」という形で完全に決別してしまうのです。これを「大シスマ」と呼びます。「シスマ」とはラテン語で「分裂」という意味です。
ちなみに、この「東方教会」が現在の「正教会」を指します。一方の「西方教会」は、その後の宗教革命により「カトリック教会」と「プロテスタント教会」に分裂し、現在に形へと収まるのです。
キリスト教の教派ごとの特徴の違いは?
キリスト教の教派について、特徴の違いを解説します。
「正教会」と「西のキリスト教会」の違い
「正教会(東方教会)」と「西のキリスト教(カトリックとプロテスタント)」の違いについて解説します。
「正教会」は、「神の唯一性」と「三位一体」を信じる伝統的なキリスト教です。「西のキリスト教会」に比べ、「義よりも愛」「十字架よりも復活」「罪よりも救い」を重んじている教派と言われています。
また、「三位一体」の解釈の違いが、キリスト教を東西に分離する原因になったとも言われています。
「カトリック教会」と「プロテスタント教会」の違い
「カトリック教会」と「プロテスタント教会」の違いは、大きく分けると以下の8つです。
項目 | カトリック教会の特徴 | プロテスタント教会の特徴 |
聖職者の呼び方 | 神父、司祭 | 牧師 |
マリア像の有無(教会内) | 有 | 無し |
日曜日の式典の名称 | ミサ | 礼拝 |
罪人への考え方 | どんな罪人でも、善業(寄付やボランティア)によって救われるという考え方。 | どんな罪人でも、信仰によって救われるという考え方。 |
神を感じるor考える | カトリックは、かつて聖職者や教皇だけが神の教えを知っていた。そのため、信者は教会で神父の言葉を聞くか、美術や音楽で神を「感じる」しかなかった。 | プロテスタントは、自分たちで聖書を読むことができたため、神について主体性を持ち「考える」ことができた。 |
結婚観 | カトリックの神父は生涯独身。カトリックでは原則離婚は認められていない。 | プロテスタントの牧師は離婚が認められている。 |
教会の建築様式 | ステンドグラスやマリア像、サン・ピエトロ大聖堂など、豪華絢爛な作りが特徴。 | 簡素で装飾のない作りが特徴。「清貧がより望ましい」とするイエスの考えに従ったため。 |
国の経済状況 | 経済危機に陥ったギリシャや、財政問題を抱えるスペインなどは、カトリック教会。 | アメリカやイギリスなど、経済的にうまくいっている国々はプロテスタント教会に多い。 |
同じキリスト教の中でもこれだけ相違点があります。逆に言うと、これらの細かい情報を利用するだけでも、登場人物の行動や発言に自然なリアリティーを付与できるでしょう。
神の教会の階級について
教会の階級について紹介します。「プロテスタント教会」には階級がないため、「カトリック教会」と「正教会」について表にまとめました。
階級名 | 英語名 | 概要 |
教皇(きょうこう) | ポープ(Pope) | ローマに唯一人存在する、全カトリック教会の精神的指導者。正教会では、9人の総主教(Patriarch)がいて、儀礼上の序列を除けば全員対等であり、いずれも最高位聖職者にあたる。名誉上では、コンスタンチノーブルの全地総主教(Ecumenical Patriarch)が筆頭。 |
枢機卿(すうききょう) | カーディナル(Cardinal) | カトリックにおいて、教皇の最高顧問にあたる。日常的な職務で教皇を助ける。かつては、司教である枢機卿を司教枢機卿、司祭であれば司祭枢機卿司祭、助祭であれば助祭枢機卿助祭と呼んだ。 |
大司教 | アーチビショップ(Archbishop) | 大司教区における教会の代表者。正教会では「大主教(Archbishop)」と言う。また、「府主教(Metropolitan Bishop)」という地位もあり、大主教の下、主教の上の位階になる。 |
司教 | ビショップ(Bishop) | 複数の教会をまとめた司教区の代表者。あるいはそれに相当する者。正教会では「主教(Bishop)」と呼ばれる。 |
司祭 | プリースト(Priest) | 敬称として「神父」と呼ばれ、カトリックでは独身男性のみがなれる。司祭は、危篤状態となった信徒の元で祈りを捧げ、正しく神の元へ導く。また、信徒の悩みを聞く「懺悔聴聞」も重要な仕事の一つ。司祭は教会ごとに一人基本。ただし、複数の司祭がいる教会もある。その場合は、代表者は「主任司祭」と呼ばれる。 |
助祭 | ディーコン(Deacon) | 司祭に次ぐ教会職。妻帯者でもなれる。司祭叙階のための一過程。以前は祭式において司祭を助け、教会財政の管理を担当していた。正教会では「輔祭(Deacon)」という。 |
副助祭 | サブディーコン(Subdeacon) | 副助祭までは上級職位。 |
侍祭(じさい) | アコライト(Acolyte) | 下級職位の最高位。 |
祓魔師(ふつまし) | エクソシスト(Exocist) | 悪魔払いを行う。 |
続師 | レクター(Lector) | ミサのときなどに聖書を読む。 |
守門(しゅもん) | ポーター(Porter) | 教会の門を守る。 |
上記のように、カトリック教会の階級は細かく分かれています。階級が上になると人数が少なくなり、それに伴い権力が増すため、カトリック教会はピラミッド型の階級組織であることを覚えておきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回はキリスト教の教派や、教会の階級について紹介しました。
内容を簡単にまとめると以下の通りです。
- キリスト教の教派は、「カトリック教会」「プロテスタント教会」「正教会」の3つに分かれる
- キリスト教の教会は、教派によって特徴が大きく異なる
- 「カトリック教会」は、ピラミッド型の階級組織で成り立っている
キリスト教の知識を使った世界観設定は、日本のファンタジー小説においても王道の1つです。ぜひ小説づくりの参考にしましょう!
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コメント一覧
枢機卿(きょうきょう)枢機卿(すうききょう、
ありがとうございます!修正しました!