創作ネタ | 表現者として目を離せなかった欅坂46

2020年7月22日

7月17日に、欅坂46が10月のライブ公演を最後に活動を休止するとの発表がありました。

人気アイドルグループ「欅坂46」は17日までに10月に開催予定のライブ公演を最後に活動を休止すると公式サイトで発表した。新しいグループ名で再出発するという。詳細は後日発表するとしている。

欅坂46は、AKB48などを手掛けた秋元康さんがプロデュースし、2016年発売のシングル「サイレントマジョリティー」でデビュー。NHK紅白歌合戦にも4回出場したが、今年1月、センターとして活躍した平手友梨奈さんが脱退した。〔共同〕

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61625700X10C20A7CE0000/

私が欅坂46を聞き始めたのはほんの8ヶ月前くらいからです。

それまでは、よくある48、46シリーズの1アイドルグループなんでしょ?くらいの認識でした。

ですが初めて聞いた『サイレントマジョリティー』によって、認識は180度変わりました。

どのバンドよりもロックで、芸術的なバンドだと。そしてこの度の活動休止で、このバンドは伝説になったと感じました。

欅坂46は、乃木坂46に憧れてオーディションに受けたメンバーで構成されたそうです。

乃木坂46といえばキュンやドレミファソラシドといった可愛い、まさにアイドルという楽曲を歌うグループですね。

そんな乃木坂46に憧れたメンバーが、大人への反抗をテーマにした『サイレントマジョリティ』というイントロを聞いただけで鳥肌が立つようなカッコいい楽曲でデビューしました。

それも平手友梨奈という表現力の天才を携えて。

平手友梨奈という天才を中心に、10代の5年間を閉じ込めた小箱

ほんの8ヶ月しか触れていませんが、欅坂46は平手友梨奈という天才を中心に、10代の5年間を閉じ込めた小箱だったのではないかと感じます。ですので平手友梨奈が20歳になる前のこのタイミングで休止せざるを得なかったのではないかと。

その点、他のアイドルグループとは全く違いますよね。

他のアイドルグループはAKBや乃木坂という透明な箱があって、箱の中のメンバーを入れ替えて、新鮮な濁りのない水で満たして、透明な箱を永続させることができます。

ですが欅坂46は透明な箱にならなかった。平手友梨奈を中心に、彼女を支えるメンバーが、10代の青春を閉じ込めた箱でした。

アイドルとはもともと偶像という意味を持ちます。偶像は信仰の対象で、ファンが求めるのは永遠に変わらない少女ではないでしょうか。

ですが欅坂46は変わり続けたと思います。

自分らしく生きればいいという言葉からの開放

『サイレントマジョリティー』で君は君らしく生きていいとマイノリティに勇気を与え、人気がでてきた中で、『世界には愛しかない』『二人セゾン』で穏やかな恋の歌を歌い……。
『不協和音』で自分の意志をつらぬくと表明し、スラックス姿を披露する『風に吹かれても』『ガラスを割れ!』と続く、カッコよさの追求とバンド内の葛藤(平手友梨奈が常にセンターという異色の采配に、反発もあったのでしょうか。『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』は見てみたいですね)。

そして『黒い羊』で僕だけがいなくなればいいんだと、10代の悩みの終着点のような言葉を生み出せば、『角を曲がる』でらしさは押し付けられるものではないと終着しました。

『サイレントマジョリティー』では秋元康という大人から提供された言葉であり、楽曲だったものが、『角を曲がる』で自分たちの言葉になったように感じます。

 自分らしく生きればいいという言葉からの開放……それこそが真の自分らしさだと、欅坂46は教えてくれたのかもしれません。

欅坂46楽曲ランキング

活動休止を聞いてから、改めてシングル曲を時系列順に聞きなおしました。
個人的なおすすめ度を★で表しています。

『サイレントマジョリティー』★★★★★

君は君らしく生きていく自由があるんだ
大人たちに支配されるな
夢を見ることは時には孤独にもなるよ
誰もいない道を進むんだ
この世界は群れていても始まらない

『世界には愛しかない』★★★

世界には愛しかない
信じるのはそれだけだ
今すぐ僕は君を探しに行こう

『二人セゾン』★★

想像しなきゃ夢は見られない
心の窓

『不協和音』★★

不協和音を僕は恐れたりしない
嫌われたって僕には僕の正義があるんだ

『風に吹かれても』★★★

風に吹かれても何も始まらない
ただどこか運ばれるだけ

『ガラスを割れ!』★★★

想像のガラスを割れ!
思い込んでいるだけ
やる前からあきらめるなよ
おまえはもっとおまえらしく 生きろ

『アンビバレント』★★

他人に何を思われても
何を言われても聞く耳持たない
干渉なんかされたくない興味がない
孤独なまま生きて行きたい
だけど1人じゃ生きられない

『黒い羊』★★★★

そうだ僕だけがいなくなればいいんだ
そうすれば止まっていた時計が動き出すのだろう

『角を曲がる』★★★★★

らしさって一体何?
あなたらしく生きればいいなんて
人生がわかったかのように
上から何を教えてくれるの?

まとめ

 欅坂46の活動休止はショックでしたが、休止するならば平手友梨奈が20歳になる前のこのタイミングしかないと感じます。

 彼女たちの楽曲には、『自分らしく生きる』という一貫したテーマがありました。彼女らの軌跡はテーマだけがあった、筋書きのないドラマだったように思います。

 5年間をかけてテーマを追い求め、『自分らしく』という言葉からの開放こそが『自分らしく生きる』ことだとたどり着いたのではないでしょうか。

 まるで柳生石舟斎(日本の剣豪。剣術流派『柳生新陰流』の開祖)が、剣を極めた結果、強まるだけ強まったらそもそも戦わないから戦うための武器など不要だと気づいたような痛快さを覚えます。

 最初から最後までプロットのある物語では、とても味わえない、奇跡のような着地点。

 アイドルを超えた表現者である彼女たちの楽曲とストーリーは、伝説でした。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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