旅物語の書き方テンプレート|7タイプの登場人物と展開の型

2019年6月27日

「旅をする物語」は、人類最古の物語形式の一つです。

『オデュッセイア』から『ロード・オブ・ザ・リング』まで、『西遊記』から『ゆるキャン△』まで──時代もジャンルも超えて、旅の物語は読者を惹きつけ続けています。

なぜ旅の物語は面白いのか? そしてどう書けばいいのか?

この記事では、旅物語に登場する7タイプのキャラクターと、3つの展開テンプレートを解説します。


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なぜ旅の物語は面白いのか

旅の物語が持つ構造的な強みは3つあります。

強み1:移動が物語を動かす

旅には「場所の変化」が伴います。新しい場所に着くたびに新しい出会い、事件、発見がある──場所を変えるだけで物語が自動的に動き出すのが旅の最大の強みです。

強み2:終わりが明確

旅には「目的地」があります。目的地に着くことが物語のゴールになるため、読者は「あとどのくらいで終わるか」を直感的に把握できます。この見通しの良さが安心感を与えます。

強み3:変化を描きやすい

旅の前と後で登場人物が変わる──これは物語の本質そのものです。旅を通じた成長・変化を自然に描けるため、テーマが作品に有機的に組み込まれます。


旅物語の7タイプ登場人物

旅の物語には、繰り返し登場する「役割」があります。神話学者ジョセフ・キャンベルの「英雄の旅」理論とVladimir Proppの「昔話の形態学」を参考に、7つのタイプに整理しました。

1. 旅人(主人公)

物語の中心人物。旅を通じて変化する存在です。

旅人に必要なのは「旅に出る理由」と「帰ってきたときの変化」。この2点が明確なら、旅物語は成立します。

2. 導き手

旅人を正しい方向に導く存在。師匠、老賢者、地図をくれる人物──設定はさまざまですが、役割は「旅人に知識や道具を与える」ことです。

注意点として、導き手が旅の困難を代わりに解決してはいけません。あくまで「ヒントを与えるが、行動するのは旅人自身」という距離感が大切です。

3. 相棒

旅人と一緒に旅をする存在。対話の相手であり、旅人の感情を映す鏡です。

相棒の設計で大事なのは「主人公と性格が違う」こと。同じ性格のキャラが2人旅をしても、対話に変化が生まれません。

『葬送のフリーレン』のフリーレンとフェルンは好例です。感情を表に出さないフリーレンと、素直に感情を出すフェルン。この対比が旅のシーンに深みを与えています。

4. 門番

旅の途中で行く手を阻む存在です。物理的な障壁(山、川、要塞)を守る者であったり、心理的な壁(恐怖、迷い、過去のトラウマ)の象徴であったり。

門番の役割は「旅人に試練を与え、乗り越えさせること」。つまり成長のきっかけです。

5. 欺く者

旅人を騙す存在。味方のフリをした敵、嘘の情報を流す者、甘い誘惑で旅を止めさせようとする者──。

欺く者は「旅人の判断力を試す」役割を果たします。騙された経験が、旅人を慎重に、そして成熟させます。

6. 影(対となる存在)

主人公の「もう一つの可能性」を体現する存在です。

「この旅をしなかった自分」「別の道を選んだ自分」──影は旅人に「自分がなぜこの旅をしているのか」を突きつけます。

7. 帰還を待つ者

旅の出発点で帰りを待っている存在です。家族、恋人、故郷の人々──。

帰還を待つ者がいることで、旅には「帰る場所」が生まれます。そして「帰ったときに自分がどう変わっているか」が物語のクライマックスになります。


旅物語の3つの展開テンプレート

テンプレート1:英雄の旅(ヒーローズ・ジャーニー)

ジョセフ・キャンベルが提唱した物語構造です。

1. 日常世界:旅人の普通の生活
2. 冒険への誘い:旅に出るきっかけ
3. 拒絶:最初は断る(または臆する)
4. 導き手との出会い:旅の準備が整う
5. 境界の突破:日常世界を離れる
6. 試練・仲間・敵:旅の本編
7. 最大の危機:もっとも困難な試練
8. 宝の獲得:目的の達成
9. 帰還:日常世界に戻る
10. 変化した日常:旅を経て世界の見え方が変わる

『スター・ウォーズ』『千と千尋の神隠し』『鬼滅の刃』──多くの名作がこの構造に沿っています。

テンプレート2:ロードムービー型

明確な「使命」があるのではなく、旅そのものが目的のパターンです。

特徴は「各地での出会いと別れ」が連作短編のように展開すること。『キノの旅』『蟲師』『夏目友人帳』がこの型です。

ロードムービー型の強みは「序盤で読者を掴めなくても、途中の話で掴める」こと。各エピソードが独立しているため、1話完結の満足感があります。

テンプレート3:巡礼型

「聖地を巡る」「失った記憶を辿る」「故人の足跡をなぞる」──明確な巡回ルートがあるパターンです。

巡礼型の強みは「目的地が複数あり、かつ順序が決まっている」ため、読者に進行の見通しを与えやすいこと。『葬送のフリーレン』の「勇者の旅路を辿り直す」構造は巡礼型の変形といえます。


旅物語を書くときのチェックリスト

1. 旅人に「出発の理由」と「帰還の変化」があるか?
2. 7タイプの登場人物を意識して配置しているか?(全員必須ではないが、3タイプ以上は欲しい)
3. 旅路に「段階的な試練」が設計されているか?
4. 各場所に「そこでしか起きない出来事」があるか?
5. 旅の終わりに、始まりとの対比があるか?


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