小説家を目指すあなたが出会う3つの敵|夢を阻む人間関係の正体

2021年9月7日

今まで本を読むだけだったけど、自分の物語を書いてみたい——そう思ったあなたに、まず知っておいてほしいことがあります。

人生は何をやったっていい、たった100年の時間です。小説を書くと決めたなら、それは素晴らしい選択です。ですが、夢に向かって歩き始めた瞬間から、 3つの敵 があなたの前に立ちはだかります。

今回は、小説家を目指す人が必ず遭遇する3つの敵の正体と、その倒し方を解説します。これを知っているだけで、無駄にエネルギーを奪われることが格段に減るはずです。

創作ノウハウ200超|小説の書き方ガイド

敵その1:味方のフリをした敵

あなたが「小説家になる!」と宣言したとき、2種類の反応が返ってきます。

Aさん 「でも小説家って稼げないんでしょ? 恋愛とかできるのかな?」

Bさん 「小説家は稼ぎが少ないらしいね。もし生活に困ったときのために、読者に寄り添った文章を書けるスキルも磨いておくといいかもしれない」

どちらが敵かわかりますか。 Aさん です。

Aさん(敵)Bさん(味方)
前提夢を諦めさせたいプロジェクト成功を前提にしている
提供するものネガティブ情報だけ問題と対処法をセットで伝える
本音変化する相手が怖い、心配する自分に酔っているあなたの成功を本気で考えている
見分け方心配を全身で表現する冷静で、感情を表に出さない

ここで厄介なのは、 Aさんの方が「心配してくれている人」に見えてしまう ことです。全身で心配を表現してくれる人は温かく感じます。涙を流して「やめたほうがいい」と言ってくれる人さえいるかもしれません。一方のBさんは冷めた人、他人事みたいだと感じてしまうかもしれない。

しかし敵味方を見抜くポイントは明確です。 プロジェクトを進める前提で心配しているのか、辞めさせる前提で心配しているのか 。この違いを知っているだけで、エネルギーを奪われる人間関係を避けることができます。

補足すると、Aさんに悪意があるとは限りません。多くの場合、Aさん自身は本当にあなたを心配しています。ですが「心配」と「応援」は別物です。心配は現状維持を促し、応援は前進を後押しします。 善意の足枷ほど外すのが難しいもの はありません。だからこそ、見極める力が必要なのです。

もう一つ厄介なのは、Aさんのような存在は往々にして家族や親友という 最も近い関係の人 だということです。距離を取りにくい相手だからこそ、対処法を知っておく必要があります。完全に縁を切る必要はありません。ただ、 創作に関する話題をその人とは共有しないと決めるだけ で、エネルギーの消耗は大幅に減ります。夢の話は、夢を応援してくれる人とだけすればいいのです。

敵その2:なかなか動かない敵

夢に向かって歩き始めると、応援してくれる人が現れます。「今月中に読むよ!」「次の機会にあなたの本を買うよ!」——そう言ってくれる人はとても有り難いですよね。

ですが、 読むよ・買うよと言いながら、なかなか行動してくれない人 がいます。2週間経っても音沙汰なし。感想を書くと言ったのに2ヶ月経っても連絡がない。

正直に白状すると、私自身もこの「なかなか動かない」側になったことがあります。だからこそ、その心理がよくわかります。

「なかなか動かない」人の内面実情
嫉妬しているあなたが「書き上げた」ことが眩しくて、どう向き合っていいかわからない
称賛したいが言語化できない素敵な作品への感想の言葉が見つからず、手が止まっている
自分の時間を差し出せない読みたい気持ちはあるが、忙しさに負けてしまう
悪意はない心の中ではあなたに感謝し、称賛している

しかし、あなたにはそれが伝わりません。「読んでくれないのか」「興味がなかったのか」「やっぱり面白くなかったのか」と不安になるだけです。

この敵への対処法はシンプルです。 感想が来ないことに思い悩む時間をゼロにすること 。その時間は次の作品を書くために使ってください。

覚えておいてほしいのは、 作品を公開した時点で、あなたはもう勝っている ということです。読者が100人いても感想を書いてくれるのは1~2人が相場です。これはあなたの作品の質の問題ではなく、「感想を書く」という行為のハードルの高さの問題です。感想がないのは普通のことであり、沈黙は否定ではありません。

実際にデータで見てみましょう。Web小説サイトのPVとブックマーク数の比率は平均で100:1程度、さらにブックマーク数と感想数の比率は50:1程度と言われています。つまり 5000PVあっても感想は1件来るかどうか という世界です。この数字を頭に入れておくだけで、感想が来ないことへの不安は軽減されるはずです。

敵その3:本気じゃない仲間

夢に向かって走り始めると、同じ志を持つ人に出会います。「自分も小説書いてるんですよ、一緒に頑張りましょう!」——そう声をかけてくれる人がいます。

ですが実際は1年以上新作を書いていない。ずっとSNSで創作論を語ったり、小説投稿サイトの愚痴を言っているだけ。執筆していた頃の情熱は完全に消えている。

あなた(本気)本気じゃない仲間
毎日あるいは定期的に執筆している1年以上新作を書いていない
完成させることを第一目標にしている「いつか書く」が口癖
建設的な意見交換を求めている愚痴と批評だけで満足している
自分の作品に責任を持っている他人の作品を論評する立場に安住している

いまは敵ではないかもしれません。ですが、 「自分は本気でやっているのに、相手は本気じゃない」というギャップ は、時間とともにイライラとフラストレーションに変わっていきます。

これは人間関係の良し悪しの問題ではなく、 フェーズの違い です。あなたが「書くフェーズ」にいるとき、「語るフェーズ」にいる人とは噛み合わない。どちらが上でも下でもなく、ただ今の居場所が違うだけです。

結局のところ、クリエイターは孤高です。目的が同じで歩むスピードが同じ時期だけ並走し、スピードが変わったら自然に離れる。でもそれでいいのです。一緒に歩いた日々を噛み締めて、また前に進めばいい。

藤本タツキ先生の『ルックバック』でも、 かつての仲間との別離と、それでも描き続ける意志 が描かれていました。あの物語こそ、創作者の人間関係の真実だと感じます。創る仲間がいる喜びも、離れていく寂しさも、すべて含めて「創作者の人生」なのです。

ただし一つだけ補足しておきます。 「本気じゃない」と判断するのは慎重に してほしいのです。人にはそれぞれの事情があります。書けない期間が1年続いても、その間にインプットを蓄えて復帰する人もいます。大切なのは相手を「敵」と断じることではなく、 相手のペースに自分のペースを合わせないこと です。あなたはあなたのスピードで進めばいい。それだけのことです。

3つの敵を倒す共通の武器

3つの敵に共通する対処法は、たった1つです。

書き続けること。

味方のフリをした敵に心を折られても、感想が来なくて不安になっても、仲間との温度差に苦しんでも——筆を折らなければ、あなたの勝ちです。

逆に言えば、 3つの敵に共通する最大の目的は「あなたの筆を止めさせること」 です。Aさんの心配はあなたを書くこと自体から遠ざけようとする。感想のない沈黙はモチベーションを削る。本気じゃない仲間はあなたのペースを落とそうとする。意図しているかどうかに関わらず、結果として筆が止まるなら、それは「敵」と呼ぶに値します。

だからこそ、あなたが身につけるべき最強の武器は「書く習慣」です。何が起きても机に向かう。たとえ100字しか書けない日でも、ゼロの日を作らない。 習慣は意志よりも強い のです。意志は日によって揺らぎますが、習慣は自動で動きます。3つの敵に対抗する最も確実な戦略は、書くことを歯磨きと同じレベルの習慣にしてしまうことです。

正体武器
味方のフリをした敵善意の足枷「辞めさせたい人」からは距離を取る
なかなか動かない敵行動のハードル感想を待たず、次を書く
本気じゃない仲間フェーズの違い依存せず、自分のペースで走る

人生は何をやったっていい、たった100年です。その中であなたが「物語を書く」と決めたなら、その選択を守れるのもあなた自身だけです。敵に惑わされず、あなた自身の物語を紡いでください。そして覚えておいてほしいのは、 これらの敵と出会うこと自体が、あなたが本気で歩き始めた証拠 だということです。敵のいない道は、誰も歩いていない行き止まりかもしれません。

どうですか、書ける気がしてきましたか? さあ、今日も物語を書きましょう。あなたの傑作を待っています。


関連記事

「書けない」を分解する|スランプの正体と対処法

エンタメとしての文章とは|恥ずかしさを削ぎ落とすか、受け入れるか

凡人がライトノベル中級者に上がるための心構え

物語を書くとき「大切にしているもの」はなんですか?

この記事が参考になったら、ブックマーク or シェアしていただけると励みになります。

腰ボロ作家について
創作の「設定資料」と「物語の書き方」を中心に、550記事以上を公開中。
サイトトップX(Twitter)

よく読まれている記事

小説の書き方本をもっと読むなら → Kindle Unlimited