「どんでん返し」こそ最初に設計せよ|物語を面白くする「転」の作り方

2021年10月15日

起承転結の中で、最も面白い部分はどこか。

「転」です。

「転」が面白ければ、読者は「起」から「承」まで物語に付き合ってくれます。そして「転」で衝撃を受け、「結」に感動する。

つまり、「転」の設計が物語全体の面白さを決める。であれば——「転」を最初に決めてから、逆算して「起」「承」を組み立てるのが合理的です。

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なぜ「転」を先に決めるのか

多くの書き手は「起」から順番に考えます。世界観を作り、主人公を設定し、冒険に出発させ……そしてクライマックスで行き詰まる。これは「手前の楽しい部分から手をつけて、難しい部分を後回しにする」という人間の自然な傾向によるものですが、物語づくりではこれが裏目に出ます。

「転」を後回しにすると、以下の問題が起きます。

• 盛り上がりに欠けるクライマックスになる

• 無理やりな展開で辻褄が合わなくなる

• 結局「転」がないまま終わる(最も多いパターン)

逆に、「転」を先に決めると:

• 「この衝撃に向かって伏線を仕込めばいい」と構成が明確になる

• 「起」と「承」が無駄なく設計できる

• 物語全体にテンション(張力)が生まれる

「型を知って型を破る」

モーツァルトの言葉とされる「まず型を身につけろ。型を破るのはそれからだ」は、どんでん返しの設計にも当てはまります。

どんでん返しとは、読者が「こうなるだろう」と思っている型を、意図的に裏切ること。型を知らなければ、何を裏切ればいいかもわかりません。

たとえば「ミステリーでは犬神家の主人が犯人のことが多い」という「型」を知っていれば、「じゃあ今回は犬神家の主人が犯人に見えるけど実は被害者だった、という形にしたら面白い」と考えられる。「型破り」は「型知り」の上位技術なのです。

ジャンルの定番展開を100作品分読み込んで初めて、「ここを変えたら面白い」が見えてくる。

どんでん返しの2大パターン

どんでん返しは無限にあるように見えますが、大きく2つの型に分類できます。

パターン①:「目的」に仕掛けるどんでん返し

主人公が追い求めていた目的が、想像と違う形で達成される

花咲か爺さんの例:

おじいさんが愛犬ポチを失う(喪失)。ポチの墓に植えた木で臼を作り、餅をつくと宝が出る。隣の意地悪爺さんが真似して失敗。怒って臼を燃やす。

おじいさんが灰をまくと——桜の花が満開に咲く

「ポチは死んだ」……しかし「ポチの命は桜として蘇った」。

目的(ポチと再会する)は文字通りには達成されない。しかし形を変えて達成される。これが「目的に仕掛けるどんでん返し」です。

設計手順:
1. 主人公の目的を設定する
2. その目的を文字通りには達成できない状況を作る
3. 目的を別の形で実現する手段を用意する

パターン②:「敵」に仕掛けるどんでん返し

真の敵が、読者(と主人公)が想定していた人物ではない

最も強力なのは、真の敵が主人公自身だったというパターン。

二重人格のミステリーが典型例です。主人公が犯人を追い続け、最終的にたどり着いた真犯人は——自分のもう一つの人格だった。

設計手順:
1. 明確な「悪役」を序盤で提示する
2. 読者がその悪役を真の敵だと確信する展開を積む
3. 真の敵は別にいたことを「転」で明かす

このパターンの注意点は、真の敵を早い段階から伏線として登場させておくこと。「転」で急に新キャラが出てきて「こいつが黒幕でした」では読者は白けます。伏線として「そういえばあのとき……」と読者が振り返れる描写を、「起」や「承」の段階で仕込んでおくことが不可欠です。

いちばん強力な伏線は「読者がその時点では気づかないが、ネタバレ後に読み返すと『確かに』と思える」描写です。1回目では気づかないが、2回目では明らかに見える——このバランスが取れているかどうかが、プロとアマチュアの分かれ目です。

AIで「転」の選択肢を量産する

「転」は一発で決める必要はありません。複数の候補を出して、最も効果的なものを選ぶのがプロのやり方です。

AIに以下のプロンプトを投げてみてください。

> 以下の物語設定で、「どんでん返し」の候補を5つ提案してください。
> それぞれ「目的に仕掛けるパターン」と「敵に仕掛けるパターン」のどちらに該当するかも明記してください。
>
> 設定:「〇〇な主人公が△△する物語」

5つの候補があれば、そこから組み合わせたり変形したりできます。AIの提案をそのまま使うのではなく、発想の種として活用してください。

「転」の設計チェックリスト

どんでん返しを思いついたら、以下の5項目をチェックしましょう。

チェック項目NG例
① 伏線がちゃんと「起」「承」に仕込めるか衝撃だけで辻褄が合わない
② 読者が「そうだったのか!」と思えるか「は? 意味がわからない」になる
③ 主人公の成長や変化に直結するかどんでん返しが物語と無関係
④ ジャンルの暗黙の契約を破っていないか純愛ものでヒロイン死亡
⑤ 「転」の後に収束できるか広がるだけで回収できない

5項目すべてクリアしていれば、そのどんでん返しは機能します。

まとめ

「転」を最初に決める → 起承が自動的に整理される

型を知ることが「型を破る」前提条件

2パターン → ①目的に仕掛ける / ②敵に仕掛ける

• AIで複数候補を出し、チェックリストで選別する

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