記憶を定着させる方法|2週間で200ページを頭に焼き付けた私のサイクル

2020年1月6日

記憶力に自信はありますか?

私はまったくありません。人の名前を覚えられない。昨日の昼ご飯を覚えていない。本を読んでも3日後にはストーリーの細部が蒸発している。

そんな私が、2週間で200ページの資格参考書を頭に焼き付けて、試験に合格しました。

「地頭が良いんでしょ」と言われるかもしれません。違います。方法が良かっただけです。ここに書いたサイクルは、才能ではなく仕組みの話です。だから誰でも再現できます。

そしてこのサイクルは、小説の技術を身につけるのにもそのまま応用できます。


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記憶の敵は「忘れること」ではなく「復習しないこと」

人間は忘れる生き物です。これは脳の仕様であって、あなたの欠陥ではありません。

エビングハウスの忘却曲線によれば、学習した内容のおよそ56%は1日後に忘却されます。何もしなければ、1週間後には77%が消えます。

ここで重要なのは、「忘れる前に復習すれば記憶は定着する」という事実です。復習のたびに忘却のスピードは遅くなり、ある閾値を超えると長期記憶に入る。

つまり記憶の鍵は「何回読んだか」ではなく「いつ復習したか」。復習のタイミングが全てです。


私が使った記憶サイクル

具体的に、私が資格試験で使ったサイクルを公開します。

基本ルール

1日に向き合う量を決める。私の場合は「参考書40ページ」としました。

そしてこの40ページを、以下のタイミングで復習します。

タイミング前回からの間隔やること
Day 1理解する+復習1回目
Day 21日後復習2回目
Day 42日後復習3回目
Day 84日後復習4回目
Day 124日後復習5回目(最終確認)

ポイントは、最初は復習の間隔を短く、徐々に長くしていくことです。

初日は理解だけで必死です。翌日の復習は「あれ、もう忘れてる」と焦ります。でもDay 4の復習では「ああ、これ覚えてる」が増えている。Day 8では「もう見なくても分かる」項目が出てくる。Day 12には8割方頭に入っています。


実際の2週間スケジュール

「40ページの復習サイクルは分かったけど、200ページ全体はどうするの?」

並行して走らせます。新しい40ページの「理解」と、過去の40ページの「復習」を同じ日にやる。これが少しだけ頭を使うところです。

Day理解(新規)復習
11〜40p 理解+復習
241〜80p 理解+復習1〜40p 復習
381〜120p 理解+復習41〜80p 復習
4121〜160p 理解+復習1〜40p 復習 / 81〜120p 復習
5161〜200p 理解+復習41〜80p 復習 / 121〜160p 復習
681〜120p 復習 / 161〜200p 復習
7121〜160p 復習
81〜40p 復習 / 161〜200p 復習
941〜80p 復習
1081〜120p 復習
11121〜160p 復習
12161〜200p 復習 / 1〜80p 総復習 / 81〜160p 総復習

見て分かる通り、最初の5日間(理解フェーズ)が一番キツいです。新しい内容のインプットと過去の復習が重なるので、1日の勉強量が多い。

でも6日目以降は復習だけです。しかも復習するたびに速くなる。Day 12の総復習は全200ページで3時間ほどでした。初日は40ページに4時間かかったのに。


このサイクルを小説の技術習得に応用する

資格試験用のサイクルと聞くと、「暗記の話でしょ? 創作とは関係ないのでは」と思うかもしれません。

でも考えてみてください。小説の技法も、最終的には「知識として身体に入っているかどうか」で使えるか使えないかが決まります。

三幕構成を「知っている」のと、三幕構成が「書くときに自動的に出てくる」のは、天と地ほどの差があります。

応用例1:文章表現を身につける

好きな小説を1日40ページ、この記憶サイクルで読む。ポイントは「復習」のとき、ストーリーを追うのではなく「表現」に注目して読み返すことです。

• この比喩、どんな感覚を呼び起こすか

• この台詞、語尾はどうなっているか

• この地の文の視点はどこに置かれているか

同じ40ページを復習として4〜5回読むと、文体のリズムが身体に染み込みます。何百ページも速読するより、40ページを繰り返すほうが表現力は上がります。

応用例2:構成パターンを身につける

名作と言われる小説やアニメの構成を、メモとして書き出す。1日1作品でいい。

• 第1話:主人公の日常と欠落の提示

• 第3話:転機となる事件

• 第7話:中間地点の反転

• 最終話:テーマの回答

この「構成メモ」を、Day 2、Day 4、Day 8に見返す。すると10作品分のメモが頭に入ったとき、自分がプロットを立てるときに「あの作品はここで反転させていた」と自然に参照できるようになります。

応用例3:文章技法の理論を身につける

このブログの記事でも、創作の教本でも、「読んだだけ」では技法は身につきません。読んで、翌日に要点を復習して、3日後にもう一度復習して、初めて「使える知識」になる。

私は早く先が読みたくて、1日に200ページ、300ページ読んでしまう癖がありました。話の流れは覚えている。でも細かな表現は覚えていない。1年後には「そんな内容だったっけ?」。

ゆっくり読んで、繰り返し復習するほうが、はるかに多くのものが残ります。


記憶力は才能ではなく仕組み

最後に、もう一度言います。

私は記憶力に自信がありません。今でも人の名前を覚えるのは苦手です。

でも、このサイクルを使えば、200ページの内容を2週間で頭に入れられることは実証しました。それは記憶力の問題ではなく、復習タイミングの設計の問題だった。

小説の技術も同じです。才能がある人が自然に身につけるものを、才能がない私たちは仕組みで身につける。それでいいんです。

忘れることを恐れないでください。忘れる前に復習すればいい。そのサイクルを回し続ければ、いつか「意識しなくても使える」レベルに到達します。


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