キャラクターの設定項目テンプレート4カテゴリで「動くキャラ」を作る
「キャラクターの設定、何を決めればいいかわからない」——これは創作初心者の方が最初にぶつかる壁ではないでしょうか。
容姿を決めた、名前もつけた。でも物語を書き始めると、キャラクターが動いてくれない。追い詰められた場面でどう行動するのか、想像がつかない。それは設定の「項目」が足りていないことが原因かもしれません。
この記事では、キャラクターの設定に必要な項目を 基本設定・家族構成・精神的特徴・肉体的特徴 の4カテゴリに整理し、すぐ使えるテンプレートとして提供します。記入例も載せていますので、手元に1枚テンプレートを用意して、一緒に埋めてみてください。
なぜ「4カテゴリ」なのか
キャラクター設定の項目は、探せばいくらでも増やせます。好きな食べ物、通っていた学校、靴のサイズ……。しかし項目が多すぎると「埋めること」自体が目的になり、肝心の物語が一行も進まないという事態に陥ります。
反対に項目が少なすぎると、キャラクターの行動に一貫性がなくなります。容姿と名前しか決めていないキャラクターは、判断を必要とする場面で黙ってしまうのです。
4カテゴリは、キャラクターが物語の中で自律的に動くための最小限にして十分な枠組みです。基本設定で「誰であるか」を決め、家族構成で「どこから来たか」を決め、精神的特徴で「何を大事にするか」を決め、肉体的特徴で「読者にどう見えるか」を決める。この4つが揃うと、「このキャラだったらこう動くだろう」という判断が自然に下せるようになります。
テンプレート:4カテゴリの設定項目
カテゴリ1:基本設定
基本設定は、キャラクターの「名刺」にあたる情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | フルネーム。読みやすさを意識する(主人公の名前は特に重要) |
| 性別 | 男性 / 女性 / その他 |
| 生年月日 | 作品内の暦に合わせて |
| 年齢 | 読者層に近い年齢が共感を呼びやすい |
| 趣味 | キャラの人間味を出す要素。1〜2個に絞る |
| 略歴 | 物語開始時点までの来歴を3〜5行で |
基本設定のポイントは 略歴 です。ここに「キャラクターがどんな経験を経て今の性格になったのか」を書いておくと、精神的特徴との整合性が取りやすくなります。略歴は読者に直接見せるものではありませんが、作者の頭の中に入っていることで物語のあらゆる場面に一貫性が生まれます。
カテゴリ2:家族構成
家族構成は、キャラクターの「根っこ」です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 父親 | 職業・性格・キャラとの関係性 |
| 母親 | 職業・性格・キャラとの関係性 |
| 兄弟姉妹 | 人数・年齢差・関係性 |
| 配偶者 | いる場合は馴れ初め・関係性 |
| 子供 | いる場合は人数・年齢 |
「家族構成なんて物語に出てこないのに、なぜ設定するのか」と思われるかもしれません。しかしキャラクターの価値観の大部分は家庭環境から作られます。
たとえば「厳格な軍人の父と、穏やかな母のもとで育った」と設定するだけで、規律を重んじながらも優しさを忘れないキャラクター像が浮かびます。「末っ子で、兄姉に守られて育った」なら、甘え上手だが決断が苦手——という行動パターンが自然に導かれます。
家族構成は物語の表に出なくても、キャラクターの行動原理を裏から支える土台です。
カテゴリ3:精神的特徴
精神的特徴は、キャラクターの「判断基準」です。4カテゴリの中で最も重要な項目であり、ここが空欄のままだとキャラクターは動きません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 思想 | 人生に対するスタンス。何を信じているか |
| 性格 | 2〜3語のキーワードで(例:慎重だが負けず嫌い) |
| 口癖・口調 | セリフの個性に直結する |
| 短所・弱点 | 物語を動かすエンジンになる |
| 好きな場所 | キャラの心が落ち着く場面描写に使える |
| 夢 | 物語のゴールに繋がることが多い |
| 好きなもの | 日常描写でキャラの人間味を出す |
| 嫌いなもの | 対立や葛藤の種になる |
| 座右の銘 | キャラの行動指針を一言で要約する言葉 |
| 学力 | 知的水準。問題解決能力に影響する |
特に重視してほしいのは 思想 と 短所・弱点 です。思想は「この世界でどう生きるか」というキャラの根本的な姿勢であり、物語を通じて試される価値観になります。短所・弱点は「キャラがどこで躓くか」を決めるものであり、物語に波乱を起こすエンジンです。
思想の例を挙げると、「学歴ヒエラルキーの頂点に立ちながら、人と同じことをしていては使い捨てられると気づいた」——これは後ほど紹介する記入例のヴォルター・K・グインの思想ですが、この一文だけで彼がどんな行動を取るか予測できますよね。
カテゴリ4:肉体的特徴
肉体的特徴は、キャラクターの「見え方」です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 容姿 | 全体的な印象(端整、険しいなど) |
| 身長・体重 | 他キャラとの対比に使える |
| 肌 | 色白、日焼けなど。世界観の手がかりにもなる |
| 健康状態 | 持病や体質。物語の制約になりうる |
| 利き手 | 戦闘シーンで地味に重要 |
| 髪型 | 読者がキャラを視覚的に区別する最大の要素 |
| 服装 | 所属や性格を暗示する |
| 所持品 | 武器、アクセサリー、愛用品など。キャラの象徴 |
肉体的特徴で注意したいのは 「全部を均等に書かない」 ことです。身長から握力まで網羅的に数値を決める必要はありません。読者が覚えられる特徴は1〜2個です。「銀髪で左利き」「やたら長身で猫背」のように、印象に残るポイントだけ尖らせるのがコツです。
記入例:ヴォルター・K・グイン
実際にテンプレートを使ってキャラクターを設定すると、以下のようになります。これは私の作品のキャラクターです。
• 名前:ヴォルター・K・グイン
• 性別:男
• 生年月日:西暦4209年3月22日
• 趣味:釣り
• 略歴:オースティア国エル・クリスタニアに生まれる。幼い頃から聡明でフォルクスコール、ギムナジウムを学力トップで走り抜ける。ギムナジウム卒業後、2年間の放浪の旅に出たのち、クリスタニアアカデミーに進学。最大派閥マルルト派に属し、マルルト・ストラトスの右腕として信頼を得ながら、独立のための布石を打ち続けてきた。
《家族構成》
• 父親:エル・クリスタニアで有名な建築家
• 母親:専業主婦。料理が上手
• 兄弟:4歳上の兄は建築家、3歳上の兄は税理士
• 配偶者:アカデミー時代のクラスメート。レコード輸入業を営みながら喫茶店を経営
• 子供:29歳のとき息子が生まれた。母親似
《精神的特徴》
• 思想:学歴ヒエラルキーの頂点に立つ人物。評価される方法を理解しているからこそ、人と同じことをしては使い捨てられると考えた
• 性格:破天荒
• 口癖:四字熟語を好んで使う
• 短所:タバコがやめられない
• 好きな場所:コーヒーとタバコの匂いが充満した喫茶店
• 夢:オースティアの人々に、現実と正面から向き合う勇気を与えること
• 座右の銘:「人に魚を与えれば一日生かすことができるが、人に魚釣りを教えれば一生養うことができる」
《肉体的特徴》(一部抜粋)
• 容姿:知性を感じさせる端正な顔立ち
• 身長:180cm
• 服装:スーツの上にロングコート
• 所持品:タバコ、コーヒーカップ
テンプレートを埋めてみると、このキャラクターの行動パターンが見えてきます。「破天荒だが知的」「家族を持ちながらも、社会を変えようとする野心がある」「釣りと喫茶店という安息の場を持っている」——文章の中で彼が何をするか、迷ったときにこのテンプレートを見返せば、一貫性のある判断が下せるのです。
テンプレートの埋め方のコツ
コツ1:略歴→家族→精神→肉体の順で埋める
テンプレートの4カテゴリには推奨する記入順序があります。
まず 略歴 を先に書きます。「このキャラはどんな人生を歩んできたか」——これが他のすべての項目の土台になるからです。次に 家族構成 を埋めると、略歴と家庭環境から精神的特徴が自然に導かれます。精神的特徴が決まれば、それを外見に反映した肉体的特徴を最後に設定する——この流れが最もスムーズです。
コツ2:「空欄」もデータになる
すべての項目を埋める必要はありません。「兄弟:なし」「配偶者:いない」も立派な設定です。むしろ空欄のまま放置するのが問題で、「決めていない」と「いない」は天と地の差があります。
コツ3:矛盾を見つけたら喜ぶ
テンプレートを埋めていると、設定同士の矛盾に気づくことがあります。「几帳面な性格なのに、部屋が散らかっている」「夢が大きいのに、行動が消極的」——こうした矛盾は削除するのではなく、キャラクターの二面性として活かすのが上策です。矛盾があるキャラクターのほうが、読者にとってはずっとリアルに感じられます。
AI壁打ちでテンプレートを埋める
2025年現在、ChatGPTやClaudeなどの生成AIを壁打ち相手にしてテンプレートを埋める方法も効果的です。
たとえば次のようなプロンプトを投げてみてください。
> 「16世紀フィレンツェを舞台にした物語の主人公を作りたい。女性、画家志望、貴族の娘。基本設定・家族構成・精神的特徴・肉体的特徴の4カテゴリで設定案を出してください」
AIは複数パターンで設定案を提示してくれます。そのまま使うのではなく、「この案のここが気に入った、こっちは変えたい」と対話を重ねることで、自分だけのキャラクターに近づけていくのがポイントです。
注意点がひとつ。AIが出す設定はどうしても「平均的な良いキャラクター」に寄ります。尖った個性、読者の予想を裏切る設定は、最終的に作者であるあなた自身が注入する必要があります。AIはアシスタントであり、創作の主導権は常にあなたの手の中にあります。
キャラ管理ツールの活用
テンプレートを紙やメモ帳に書くだけでも十分ですが、キャラクターが増えてくると管理が大変になります。以下のようなツールも活用してみてください。
• Nola:小説家向けの創作管理ツール。キャラクターカードの登録機能があり、テンプレートの項目をそのまま入力できます
• Notion / Googleスプレッドシート:カスタマイズの自由度が高い。複数キャラの設定を横断比較するのに向いています
• メモ帳・手書きノート:デジタルツールが苦手な方は、A4用紙1枚に1キャラクターで手書きするのも効果的です。手を動かすことで記憶に残りやすくなります
テンプレートの「次のステップ」
テンプレートを埋めることは、キャラクター設定のスタートラインです。設定を埋めただけでは、まだキャラクターは「データ」に過ぎません。
ここから先は、個性の注入(テンプレートの上に「行動原理」を置くこと)が必要です。同じ「慎重な性格」でも、「母を失った過去があるから慎重なのか」「完璧主義だから慎重なのか」で、物語における動き方はまったく変わります。
個性とは設定の奇抜さではなく、行動原理の一貫性です。この先は「自分らしいキャラクターの作り方」の記事で詳しく解説しています。
さらに深く学ぶなら
• 個性的なキャラクターの作り方を知りたい → 「自分らしいキャラクター」の作り方
• 主人公・ヒロイン・敵キャラの役割の違いを知りたい → 3大キャラ類型を理解する
• キャラの内面をさらに深掘りしたい → キャラクターの価値観ランキングを作ろう
• なぜ設定だけではキャラが動かないのかを理解したい → キャラ創作の本質は「超意図」にある
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