ドラゴンと竜の違いとは?ドラゴンや竜が登場する作品についても紹介!

2022年3月10日

 ファンタジー小説において、ドラゴンと竜の違いについて意識している読者は意外と少ないものです。

 ただ、実際に小説を書く場合、あるいはより深く物語を楽しみたいなら、ぜひとも把握しておきたい知識と言えるでしょう。

 本記事では、ドラゴンと竜の違いを解説するとともに、実際にドラゴンや竜が登場している有名な作品についても紹介します。

ドラゴンと竜の違いとは?

 西洋のドラゴンと東洋の竜の一番の違いは、ドラゴンは「悪魔」であるのに対し、竜が「神」である点にあります。

 つまり、「邪悪な存在」であるドラゴンは、退治することに理由は必要ありませんが、「神聖な存在」である竜を退治するには、正当な理由が必要です。

 そんなドラゴンと竜の違いを、「外見」と「宗教」の2つの視点から比べてみましょう。

ドラゴンと竜の外見の違い

 ドラゴンと竜の外見の違いで一番大きいのは、翼と足の成り立ちにあります。

 具体的には、「翼があり、2本の後ろ足で立って、恐竜のような形をしている」のがドラゴンで、「翼がなく、蛇のような形をしている」が竜です。

 細かな外見の違いをまとめると以下のようになります。

身体的部位ドラゴン
角(つの)なし鹿みたいな角が2本
牙(きば)ありなし
髭(ひげ)なしあり
鱗(うろこ)爬虫類の鱗あり魚類の鱗あり

 ただ、上記の違いはあくまで一般論。中には「翼を持たないドラゴン」も存在しますし、逆に「翼を持つ竜」も存在します。

宗教から見るドラゴンと竜の違い

 ドラゴンと竜は宗教によっても特徴が異なります。ここでは西洋の「キリスト教」と東洋の「仏教」を例に出し、比較してみましょう。

 もともとドラゴンと竜は「自然の豊穣神」でした。しかし西洋では、キリスト教の教えにより、キリスト教の神以外を全て「悪魔か怪物」として区別しています。つまり自然神であった「ドラゴン」もキリスト教では「悪魔」なのです。

 特に有名なのが「ヨハネの黙示録」に登場する「サタン」です。サタンは「七つの頭と十本の角を持つ赤いドラゴン」として登場し、天使と戦います。つまり、「サタン=悪魔=ドラゴン」と言うことになります。

 つづいて仏教における「竜」についてです。仏教における竜とは、もともとインドから伝わったもので、「天竜八部衆」と言い、「仏法の守護神」とされています。

 「竜」と聞くと中国のイメージが強いかもしれません。でも実際は、インドの仏教における「ナーガ(竜)」が、中国に伝わり「竜」と翻訳され、最後に日本に渡来しているのです。

 ちなみに仏教の竜は、キリスト教のドラゴンと違い「自然の豊穣神」のまま。そのため、竜は「神聖な存在」として残り続けています。

ドラゴンと竜の種類について

 ドラゴンや竜には、たくさんの種類が存在します。

 具体的な名称を取り上げ、それぞれの特徴の違いを見ていきましょう。

ドラゴンの種類

 ドラゴンはもともと、神話の中で「蛇の化け物」として描かれることが多かった伝説上の生物です。その後、恐竜に近い姿に変化していき、足が四本になり、翼が生えて、代表的なドラゴンの形に落ち着きます。

 そのため、ドラゴンは変化する過程で様々な種類が生まれました。一般的には、4本足で翼のあるドラゴンが「最強」で、翼がなかったり、足の本数が少ないドラゴンは、「低ランク」とされています。

 一方の竜のランクは、「爪の数」が重要です。特に爪を五本持つものを「五爪の竜」と呼び、古代中国では皇帝のみが、「五爪の竜」を「象徴」として用いることができたと言われています。

 それでは世界のドラゴンや竜について、代表的なものを紹介します。

項目翼なし翼あり
0本(足)ヒドラ(ギリシア神話)、ラドン(ギリシア神話)、イルルヤンカシュ(ヒッタイト神話)、ヤマタノオロチ(日本神話)ニーズヘグ(古エッダ、北欧神話)、ケツアルコアトル(アステカ神話)
2本(足)ナーガ(インド神話)、ティアマト(エヌマ・エリシュ、世界創造叙事詩)ワイヴァーン(英国の紋章・印章・旗章の図像の一つ)
4本(足)竜(中国神話・日本神話)、イツァムナー(マヤ神話)、ファヴニル(ヴォルスンガ・サガ、北欧の伝説)赤いドラゴン(ヨハネ黙示録)、ドラゴン(ベーオウルフ、英国の英雄叙事詩)、ジラント(スラヴ神話)、ジャヴァウォック(鏡の国のアリス)
6本(足)タラスク(黄金伝説、聖人伝) 

 上記以外にもドラゴンや竜は多く存在しますので、宗教や文学を通して、その変化の推移を辿るのも楽しいかもしれません。

ドラゴンや竜が登場する現代の有名作品

 それではドラゴンや竜が登場する現代の有名作品を5つ紹介します。

 実際に映像化されたドラゴンや竜を見ると特徴の違いが分かりやすいので、ぜひチェックしてみてください。

ハリーポッター(映画、小説)

 「ハリーポッター」は魔法使いの物語として有名な作品です。

 演じる子役たちの成長も楽しめる作品で、シリーズ中に何度も登場するドラゴンの様々な姿を観察できます。作中に出てくるドラゴンは、下記の種名で呼ばれています。

1:ノルウェー・リッジバック種 (登場作品『ハリー・ポッターと賢者の石』)
2:ハンガリー・ホーンテール種 (登場作品『ハリーポッターと炎のゴブレット』)
3:ウェールズ・グリーン種 (登場作品『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』)
4:チャイニーズ・ファイヤーボール種 (登場作品『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』)
5:スウェーデン・ショート・スナウト種 (登場作品『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』)
6:ウクライナ・アイアンベリー種 (登場作品『ハリー・ポッターと死の秘宝PART2』)

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ホビット 竜に奪われた王国(映画、小説)

 「ホビット 竜に奪われた王国」は、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの前章になる物語で、「ホビット」三部作の二作目にあたる映画です。

 奪われた国を取り戻すため、ホビット族のビルボ・バギンズが仲間と共に旅に出て、邪悪な竜「スマウグ」に立ち向かう物語になります。

ドラゴンボール(アニメ)

 「ドラゴンボール」は今だに連載が続く人気アニメです。世界中に散らばる「ドラゴンボール」を集め、「神龍(シェンロン)」と呼ばれる「ドラゴン」にお願いをすれば、どのような願い事も叶えてくれます。

 基本的には、正義のヒーローが強い悪を倒すと言う物語で、「神龍」は物語を補佐するようなポジションで登場します。

神撃のバハムート(アニメ)

 「神撃のバハムート」は、「人」「神」「魔」あらゆる種族が共存する世界・ミスタルシアを舞台に繰り広げられる物語です。

 「バハムート」と呼ばれる「ドラゴン」が、世界を滅亡に追いやる存在として登場します。

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千と千尋の神隠し(アニメ)

 「千と千尋の神隠し」は宮崎駿が監督をした有名なジブリ作品です。

 主人公の千尋が両親と共に不思議な世界に迷い込んでしまう物語で、主人公の千尋と共に、「白い竜」の姿に変身できる少年ハクが、とても重要な役回りで登場します。

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まとめ

 いかがでしたか?

 今回の記事の内容を簡単にまとめると以下のようになります。

  • ドラゴンと竜はよく似た外見だが、存在理由が「悪」と「神」で正反対
  • ドラゴンと竜は、外見や宗教の違いである程度区別できるが、例外も多く存在する
  • ドラゴンと竜は神話だけでなく、現代作品にも多く登場している

 ドラゴンや竜は伝説上の生物ですが、元をたどれば「蛇」や「恐竜」と言った現実の生物がモチーフに描かれています。実際にファンタジー小説を書く際にも、ドラゴンや竜の違いや現代のモデルにたどり着く経緯を知っておけば、作品にリアリティーや臨場感を付与しやすいでしょう。参考にしてみてくださいね。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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