ファンタジーの世界設定に役立つ、中世の都市




 ファンタジー小説の舞台といえば中世の都市ですよね。このエントリーでは、中世の都市について紹介します。

 中世は都市のかたちがどんどん発展していった時代です。つまり封建領主から自治権を与えられるように変化していったのです。自治権とはいわば独立を意味する権利なので、統治者の人柄次第に様々な都市がうまれていきます。
 王のいうとおりに統治しなければいけなかった時代と比べると、多様性に溢れた魅力的な時代ですね。都市同士もそれぞれの利害が一致すると同盟を結ぶようになったり、力のある都市はどんどん勢力をのばしていき、場合によっては王と戦うこともありました。

 しかし統治者に自由が与えられた一方、市民は不自由でした。このエントリーでは中世都市の種類や特徴について詳しく紹介していきます。

都市にはいくつかの種類がある

 都市には大きく分けて3つの都市があります。

ローマ帝国からキリスト教徒の司教たちから引き継いだ都市(司教座都市)

 ローマ帝国の時代、都市のことをキヴィタス(ラテン語で「都市」「国家」)と呼びました。
 ローマ帝国はキリスト教を国教にしましたから、キヴィタスには多くのキリスト教会が設置されていきました。そのなかでも特にキリスト教の大司教や司教のおかれた都市を司教座都市と呼びます。
 司教座都市はキリスト教界隈の中心的存在であり、宗教的・政治的に重要な地位を占めていました。司教座都市には周辺の荘園から人と物資が集まり、反映します。
 そしてローマ帝国が消滅していくと、教会の司教たちが行政能力と引き継いでいくようになっていき、中世の都市となりました。

 

貿易港を中心とした都市交易中継地点や、問業者組合が支配力を増す都市

 中世になると海を利用した貿易が盛んになります。例えばフランドルや北フランス産の羊毛製品が、シャンパーニュ大市を経てジェノヴァの商人に渡り、東方に輸出されるようなケースがでてきます。
 このような東方貿易や、北海・バルト海沿岸での貿易の中心は貿易港でした。
 また複数の道が交わる交易中継地点も貨幣経済が盛り上がりました。交易中継地点は都市同士を結ぶ物流の中心ですから、政治的にも重要な拠点です。そのため領主が保護や援助をしていたため、より発展が進んだという理由もありました。

 中世はこういった貿易が盛んとなり、貨幣経済が盛り上がった時代です。すると商業圏の発展につれ、多くの商人や職人は領主の支配を逃れて、自分たちで都市運営をしたいと考えるようになります。

 領主は絶対的な権力があるために、最初は領主の支配下にありましたが、商人や職人は自分たちの発言力を高めるために組合を結成し、活動を行います。こういった市民の運動をコミューン運動といいます。

 そしてコミューン運動の結果、王や領主、皇帝から独立をしても良いという特許状を与えられて自治権を与えられた自治都市が各地で誕生していきました。

 

皇帝直属の都市から市民の力が大きくなった都市

 冒頭で紹介したとおり、中世の都市というのは封建領主から自治権(独立する権利)を与えられ、統治者ごとに自由な都市運営ができるようになります。

 中世ヨーロッパにおいては先ほど紹介したコミューン運動が活発でしたから、皇帝や領主は都市法というものを制定しました。例えば都市に1年と1日住むだけで、その都市の身分を得られますといった法律です。

 すると面白いことが起こります。領主直属の都市に住む農奴たちが、自由な都市の噂を聞きつけて引っ越していくケースが頻繁に見られました。そこで1年と1日過ごしてしまえば、自由な都市の住人になれるのです。
 都市法により自治権を得た自由都市に対しては、領主が手を出せません。まさに皇帝や領主が自分たちの作ったルールに敗北した結果です。しかしこうして都市法により守られた自由な市民が集っていくことで、中世都市は活発化しました。

 中世は、領主支配を脱却した市民の時代でもあるのです。

 

中世都市の特徴とは?

 中世都市は封建領主から特許状を取得することで自治権を獲得します。特許状があれば独立したのと同じことになります。

 イタリアでは独立した都市をコムーネ、ドイツでは帝国都市や自由都市という呼び方をし、双方の利害が一致する都市同士で同盟を結び結束していくという動きも生まれました。

 北イタリアではロンバルディア同盟やハンザ同盟があり、軍事同盟を結ぶことさえありました。軍事同盟を結ぶことで王と闘争に発展することも場合によっては起こっていました。

 

自治権を与えられた都市の政治

 イタリアやフランスでは市民から選ばれた執政官や議会が政治を仕切り、ドイツでは選ばれた参事会と市長とが取り仕切っていました。

 しかし王や皇帝など支配の強い都市では、皇帝直属の警察や兵が駐留することもありました。つまり市民による政治は許すけれど、国家の利益に反する動きがあれば抑圧するというスタイルです。

 

特許状は領主の資金源でもあった

 領主から独立することが、中世都市に多様性をもたらしました。独立を認めるための特許状や都市法により、市民の自由が確保される流れもありました。皇帝や王にとっては想定外だったはずです。

 では、それほどの権限をもつ特許状をなぜ配布したのでしょうか。実は都市の商人や職人が特許状を高値で購入したのです。
 皇帝や王は一時的に多額の資金を徴収することができましたが、最終的には領主の力を封じ込められる流れが出来てしまったように感じます。経済に敏感な商人が、経済に疎い皇帝や王を欺いて、うまく事を運んだといえるでしょう。

 ただし当時は王や皇帝は絶対的な力があった時代です。王や皇帝が自治権を許可したといっても、王や皇帝の利益にならないことは許されませんでした。王や皇帝と商人がともに繁栄することはあっても、市民が平等や平和になっていくのは時間がかかりました。

 

都市の人々

 特許状がお金でやり取りされていたところからも分かる通り、資金のある組織や人が統治者となれる時代です。
 統治者は自治権を得ましたが、結局のところ目的は利益を出すことであり、力のあるものが支配するスタンスは変わりません。そのため自由な都市が生まれていっても、都市で生活している人達は厳しい身分制度にしばられていました。隣接都市との勢力争いも頻発しており、平和と自由は約束されていないということがこの時代背景の特徴だといえます。

 ただし、この抑えられた思いが爆発し始めるのも中世です。人々は自由をもとめて紛争を起こします。これが後の革命につながるわけですね。

 

まとめ

 中世の特徴として、独立していく都市が増えていく中でやはり限られた人達だけが政治に関わることができるという点があります。

 そのため自治都市がいくつ誕生しても、市民みんなが平等という訳にはいきませんでした。結果として抵抗勢力なるものが浮上し、政治に参加させるような運動が発生していきます。

 つまるところ、中世とは時代を変えるための運動が起こりやすい背景があるのですね。誕生した都市においても、利益だけを得ようとする動きがあるため、戦争はやみませんでした。

 ファンタジーを作り上げていく上で領主の地位や立場の設定の仕方によっては物語の展開が広がるという印象を持ちました。ぜひ参考にしていただければと思います。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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