「ネタ切れ…」を解消!『ストーリー作家のネタ帳 イベント編』で物語力アップ|60の王道プロットを手元に置く意味
ライトノベルを書いてみたい。でもいざキーボードの前に座ると、「何を書けばいいか……」と固まってしまう。
この経験、創作者なら一度はあるのではないでしょうか。私もあります。というか、今でもあります。
ネタ切れの正体は「アイデアがない」ことではなく、「アイデアの引き出し方を知らない」ことだと考えています。引き出しの中にはたくさんの要素が入っているのに、どの引き出しを開ければいいか分からない。
そんなときに役立つのが、引き出しに名札をつけてくれるツール──「ストーリー作家のネタ帳 イベント編」シリーズです。
本の概要:全4巻・60の王道プロットを凝縮
中村あやえもん氏(あやえも研究所)による「ストーリー作家のネタ帳 イベント編」は、2015年~2016年にかけて以下の構成で刊行されました。
| 巻 | テーマ | 発売時期 |
|---|---|---|
| イベント編1 | キャラクターの王道プロット15種 | 2015年7月 |
| イベント編2 | 世界観・状況の王道プロット15種 | 2015年8月 |
| イベント編3 | 人間ドラマ・人間関係の王道プロット15種 | 2015年10月 |
| イベント編4 | 緊迫・駆け引き・ミステリーの王道プロット15種 | 2016年2月 |
各巻15種類、計60パターンのイベントが「王道」と呼ばれる構造を抽出し、キャラや世界観に依存しない汎用的な形式でまとめられています。Kindle版で各260ページ前後、価格は800円~1,100円台。Prime Reading対象になっていることもあり、手軽に入手できます。
なぜこのシリーズが使えるのか
創作の指南書は世の中に無数にあります。その中でこのシリーズが特に使えると感じるのは、3つの理由からです。
1. 分類が実践的
各イベントが「メイン/サブ」「コメディ/シリアス」などの用途別に整理されています。「今書いているシーンにはどんなイベントが使えるか」が明確なので、迷子になりにくい。
たとえばキャラ系なら「ヒーローvsライバル」「裏切り恋人」など、実際の起承転結でどう展開させるかが具体的に解説されています。
2. 「構造」と「使いどころ」がセット
単なるアイデアの羅列ではありません。イベントごとに「構造」「使いどころ」「バリエーション」が記載されています。
これは料理のレシピに似ています。「カレー」というアイデアだけ渡されても作れないけれど、「材料、手順、アレンジ方法」まで付いていれば誰でも作れる。このシリーズはまさにプロットのレシピ集です。
3. そのまま練習素材になる
60パターンのイベントは、プロット練習のお題としてそのまま使えます。ランダムに1つ引いて30分でプロットの骨組みを作る。これを繰り返すだけで、構成力が鍛えられます。
映画や小説を読み込むよりも短い時間で「書くための訓練」ができるのは、このシリーズの大きな強みです。
具体的な活用法3選
ネタ3つ引きプロットゲーム
キャラ系(1巻)、状況系(2巻)、人間ドラマ系(3巻)から各1つずつランダムに選びます。たとえば「裏切り恋人」×「閉鎖空間」×「世代間の確執」の3枚が引けたとする。
この3つを30分で1つのプロットに組み上げる。制限時間があるからこそ、「完璧を目指す前にまず形にする」訓練になります。スピード力と構成力が同時に鍛えられるゲームです。
冒頭1ページ練習
4巻(緊迫・ミステリー系)から「物語の始まり方」に使えそうなイベントを1つ引いて、そこから冒頭1ページだけを書く練習です。
「第1話が書けない」という悩みは初心者に多いですが、その正体は「何から始めればいいか分からない」です。イベントカードが「ここから始めろ」と指定してくれるので、書き出しへの心理的ハードルがぐっと下がります。
キャラ深掘りワーク
1巻のキャラ系イベントには「嘘をつけない姫騎士」「電波を乱す少年」のような個性的な設定が含まれています。ここから1つ引いて、そのキャラの口癖、過去、行動原理を30分で書き出す。
キャラクターシートを白紙から埋めるのは苦痛ですが、きっかけが1つあるだけで驚くほど筆が進みます。
「型に頼るのは恥ずかしい」への回答
このシリーズを知って、最初に感じる抵抗感があるかもしれません。「テンプレートに頼って書くのは、オリジナリティがないのでは?」と。
その気持ちは分かります。でも考えてみてください。
音楽の世界で、コード進行のパターンを知らずに作曲する人はいません。料理の世界で、基本のレシピを知らずにオリジナル料理を作れる人もいません。
物語も同じです。60パターンの「型」を知っていることは、60個の武器を持っていることと同じです。型を知った上で「自分ならこう崩す」「自分ならこの要素を入れ替える」と考えるところにオリジナリティが生まれる。
型を知らずに「自由に書く」のは、地図なしで航海するようなものです。たまたま宝島にたどり着く人もいるかもしれませんが、大半は遭難します。
利用者の感想では「構造化されたテンプレートが使いやすい」「コメディやミステリーなど派生の幅も網羅されている」と高評価されています。一方で「分類が細かすぎて頭に入りにくい」という声もあります。ただ、慣れてくると60パターンの組み合わせが自由自在に扱えるようになるとのこと。最初から全部覚えようとせず、必要なときに引くリファレンスとして使うのがコツです。
まずは1冊、手元に置いてみる
「ネタ切れ」は創作者にとって避けられない壁です。でもその壁を越えるのに、天才的な発想力は必要ありません。必要なのは「型の引き出し」と「型を組み合わせる練習」です。
このシリーズはその両方を提供してくれます。まずは電子書籍で1巻を手に取って、ネタ帳として使ってみてください。テンプレートに頼りつつ、自分ならではの味を乗せていく。その繰り返しの中で、「書き進める楽しさ」を取り戻せるはずです。
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