創作ネタを最速収集!倍速視聴のススメ|映像作品が多すぎる時代のインプット術
「最近はオタクになりたい若者が増えている」──そんな話を聞くようになりました。
「オタク」は今や陰湿な属性を指す言葉ではありません。「何かのエキスパートになりたい」と考える人の憧れを含む言葉に変わりました。小説家を目指す上でも、映画やアニメのエキスパートであることは大きな武器です。物語の構造を数多く知っている人は、自分の物語の引き出しが多い。
ただし、2026年の世の中には作品が多すぎます。
「全部見る」が不可能な時代
一言で言えば、これが倍速視聴をおすすめする理由です。
現代は映像作品の爆発的生産が起きています。アニメだけでも毎クール50本以上が放送され、配信オリジナルを含めれば年間300本を超えます。それに加えて映画、ドラマ、YouTubeのオリジナルコンテンツ。
たとえばガンダムの話をしましょう。初代、Z、ZZ、0080、0083、逆襲のシャアと宇宙世紀のメインストーリーだけを追えばよかった時代なら、「逆襲のシャア」にハマった視聴者がさかのぼって全作品を見ることも現実的でした。
でも2026年現在、ガンダムの映像作品は数十タイトルに増えています。「閃光のハサウェイ」を見た新規ファンが過去作をすべて等速で見るには、何百時間もかかります。
この時代において、倍速視聴はジャンルを網羅的に知るための現実的な手段です。
「倍速で見るなんて文化の衰退だ」への反論
「映画を早送りで見る人たちが出現した。このままでは文化が衰退する」──そんな記事がインターネットで話題になったことがあります。
私はそうは思いません。むしろ倍速で作品を見る人は大事にすべきだと考えます。
なぜなら「最速でこのジャンルを理解したい」という熱意を持った人を門前払いしたら、そのジャンルは新規ファンが入ってこなくなるからです。古参が幅を利かせて「ちゃんと等速で見ろ」と言い続けたらどうなるか。新しい人が入ってこなくなり、ジャンルは衰退します。
映像を倍速で見たっていいじゃないですか。そのジャンルのオタクになりたいという気持ちを尊重してあげないと。
もちろん、「この作品は絶対に等速で見るべきだ」という作品はあります。でもそれは、倍速で一通り見た後に「この1本はもう一度等速で見直そう」と自分で選ぶものです。最初から全部等速を強制するのは、ジャンルのハードルを無意味に上げているだけです。
倍速視聴のメリット
倍速で映像を見るメリットは3つあります。
1. 時間効率がいい
2時間の映画を1.5倍速で見れば約80分。2倍速なら60分。3本分の映画を、等速2本分の時間で消化できます。
2. 学習効率がいい
脳トレで知られる東北大学の川島教授らの共同研究によると、倍速・速聴によって前頭葉の活性化が確認されています。聞き逃さないように集中するため、漫然と見るより頭が働きます。
3. 視野が広がる
多くの物語を知ることで、自分の物語を書くときの選択肢が増えます。「追放もの」しか知らない人と、「追放もの」「復讐もの」「スローライフもの」「悪役令嬢もの」を横断的に知っている人では、プロットの幅がまるで違います。
小説家にとっての倍速視聴
ここからは小説家としての活用法に絞ります。
映像作品は小説家にとって「物語の構造」を学ぶ最高の教材です。なぜなら映像は小説より短時間で構造全体を把握できるからです。
小説1冊を読むには6〜8時間かかりますが、映画1本なら2時間(倍速なら1時間)。同じ2時間で、小説なら1冊の構造しか学べませんが、映画なら2本の構造を比較できます。
たとえば「師弟もの」の構造を学びたいなら──「ベスト・キッド」と「スター・ウォーズ エピソード4」を倍速で見比べる。どちらも「未熟な主人公が師匠に出会い、試練を経て成長する」構造ですが、師匠の退場タイミング、主人公の覚醒のきっかけ、敵対者との関係性が異なります。この差分が、自分で師弟ものを書くときの設計図になるのです。
2026年のおすすめ環境
倍速視聴を始めるなら、以下の環境がおすすめです。
配信サービス
Amazonプライム・ビデオ、Netflix、Disney+など主要サービスにはアプリ内で再生速度変更機能があります。1.25倍、1.5倍、2倍が選べるものがほとんどです。
ブラウザ拡張(PC向け)
PCのGoogle Chromeを使っている場合、Video Speed Controllerという拡張機能が便利です。
導入手順:
1. Chromeウェブストアで「Video Speed Controller」を検索
2. 「Chromeに追加」をクリック
3. 拡張機能が追加されたら、動画再生中にDキーで速度アップ、Sキーで速度ダウン
デフォルトでは0.1倍速刻みで動きますが、設定画面から0.5倍速刻みに変更することもできます。キーボード一つで細かく速度を調整できるので、「台詞はゆっくり、アクションシーンは高速」という柔軟な視聴が可能です。
倍速視聴のコツ
• 初見は1.5倍速が最適解。2倍速だと聞き取れないシーンが出てきます
• 2回目以降の視聴は2倍速でOK。構造を確認するだけなら十分です
• 字幕をONにすると、倍速でも台詞を見逃しにくくなります
等速で2回見るより、倍速で5本見る
最後に、小説家志望者への具体的な提案をします。
週に1本の映画を等速で見ている人は、月4本。年間48本。倍速2倍なら月8本、年間96本。その差は歴然です。
96本分の物語構造を頭に入れた人は、プロットを立てるとき「あの映画のあの展開」を無意識に参照できるようになります。それは模倣ではなく、引き出しの多さです。
時間がないと嘆く前に、倍速のボタンを押してみてください。映像の海は、小説家にとってネタの宝庫です。
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