RTした人の小説を読みにいくを実際にやってみた|55作品を読んで見えたこと
こんにちは。腰ボロSEです。
Twitterの小説クラスタで2019年頃からブームになったハッシュタグがあります。それが 「#RTした人の小説を読みにいく」 というタグです。
リツイートしてくれた人の作品を読んで感想を書く——この企画を、実際に本気でやってみました。合計55作品を読み、すべてに感想を書きました。想像以上にリツイートとコメントが集まり、多くの方が日々創作を楽しんでいるのだと実感する企画でした。
今回は、この経験から見えた「小説クラスタの相互交流の実態」と「本気で他人の作品を読むことで得られるもの」を整理します。創作活動のインプットとアウトプットの両方を一気に鍛えた經験でもありました。
企画の概要と実態
まず、「#RTした人の小説を読みにいく」タグの構造を整理します。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 発信者の行動 | タグをつけてツイート。RTした人の作品を読みにいく宣言 |
| 参加者の行動 | RTとともに読んでほしい作品のURLをリプライ |
| よくある条件 | フォロー必須、自作品も読んでね、感想は5つまで等 |
| 頻繁にやる人 | 実際には読んでいない可能性が高い。フォロワー増が目的 |
正直に言えば、 この企画を本気でやるのはめちゃくちゃキツい です。55作品を読んで感想を書くのにかかった時間は膨大でした。一つの作品に最低でも30分、長編であれば数時間をかけて読みました。
それでもやり切った理由は、 「宣言した以上、やらない選択肢はない」 と思ったからです。この覚悟が重要です。中途半端にやると、「読んでもらえなかった人」を生み、信頼を失います。この企画は「全員に対して誠実に向き合う」か「最初からやらない」かの二択であるべきです。
55作品を読んで感じた3つのこと
発見1:作品のレベルは想像以上に高い
正直に言えば、「素人の作品だからレベルは低いだろう」という先入観がありました。ですが実際は違いました。 商業作品と遜色ないレベルの作品が複数ありました 。
文章力が高い人、構成力が圧倒的な人、キャラクターの魅力で引き込む人——タイプは違えど、「この人がプロでない理由がわからない」と思わせる作品に何度も出会いました。
これは 「埋もれている才能」がいかに多いか を実感した瞬間でもありました。商業出版の世界では、才能だけでは日の目を見ないことがあります。運、タイミング、マーケティング——才能以外の要素が成功を左右することを、この企画で痛感しました。だからこそ、 互いの作品を読み合う文化 が大切なのです。読まれなければ存在しないのと同じ。その「存在しない」を防ぐ最初の一歩が、この企画なのです。
| 傾向 | 多かったもの | 少なかったもの |
|---|---|---|
| ジャンル | 異世界ファンタジー、現代ドラマ | SF、ホラー |
| 文体 | 三人称が多い | 一人称の実験的文体 |
| 長さ | 短編〜中編が主流 | 長編を全部読んでほしいという依頼もあった |
| 完成度 | 冒頭は磨かれている | 中盤以降の構成に課題があるケースが目立つ |
発見2:冒頭の力で差がつく
55作品を連続で読む中で、 最初の3段落で「読み進めたい」と思えるかどうか が決定的な差を生むことがわかりました。
冒頭で引き込まれる作品の共通点は3つあります。
• 具体的な状況がすぐ見える :抽象的な独白から始まる作品は読み進めにくい
• 主人公の欲求が明示されている :何を求めて動いているのかが早い段階でわかる
• 読者への問いかけがある :読者が「この先どうなるの?」と自然に思える仕掛け
これは自分の作品にも直結する学びでした。 55作品分の冒頭を比較検討できる機会 は、そうそうありません。
逆に「冒頭が弱い作品」の共通点も見えてきました。「朝起きた。気だるかった」というタイプの書き出し、世界観の説明が長すぎる導入、キャラが多すぎて誰に注目すればいいかわからないオープニング——これらは「自分の作品でもやっていないか」と挙前を突かれる教訓でした。特に 「最初の3行〜5行で具体的な状況を提示する」 という原則は、55作品の比較から導き出された最も確かな法則です。
発見3:感想を書く力が圧倒的に鍛えられる
55作品に感想を書くということは、55回「この作品の良いところは何か」を言語化するということです。
最初は自分の感想の表現パターンが少なく、同じような感想を繰り返してしまいました。しかし10作品、20作品と読み進めるうちに、 作品ごとに異なる角度から良さを言語化する力 が身についていきました。
| 感想のレベル | 具体例 | いつ頃到達したか |
|---|---|---|
| レベル1 | 「面白かったです」 | 最初の5作品 |
| レベル2 | 「主人公の○○な性格が魅力的でした」 | 10作品目あたり |
| レベル3 | 「冒頭の○○が伏線になっていて構成が見事です」 | 20作品目あたり |
| レベル4 | 「この作品のテーマは○○だと感じました。それが○○のシーンで結実していて感動しました」 | 40作品目以降 |
感想を書く力は、そのまま 自分の作品を客観的に分析する力 に直結します。他者の作品の良さを言語化できる人は、自分の作品の弱点も言語化できます。これは55作品を読み切った最大の収穫でした。
もう一つ、予想外の収穫がありました。それは 「自分の感想のクセ」が見えるようになる ことです。私の場合、「楽しかったです」から入る感想が異常に多かった。それに気づいてからは、意識的に「特に印象的だったのは」「このシーンの○○が」という書き出しに変えました。 感想のバリエーションを広げる「筋トレ」 になったのです。
「読み合い企画」の光と影
この企画には素晴らしい面と、注意すべき面があります。
光の部分 は明確です。普段出会わない作者の作品に触れることで、自分の創作の幅が広がります。また、感想をもらった作者が喜んでくれる姿を見ると、 読むこと・感想を書くことの価値 を実感できます。中には「初めてもらった感想です」と涻を流しながらお礼をくださった方もいました。感想一つが、誰かの創作人生を変えるかもしれない。そう思うと、言葉の重みを感じます。
一方で 影の部分 も存在します。
| リスク | 内容 | 対処法 |
|---|---|---|
| 時間の消費 | 本気で読むと膨大な時間がかかる | 1回の企画で上限を決める(5〜10作品) |
| フォロワー稼ぎへの利用 | 読む気がないのにタグを使う人がいる | 実際にやるつもりがないなら使わない |
| 感想の負担 | 合わない作品にも感想を書く必要がある | 「良いところ」にフォーカスする |
| 相互期待の発生 | 読んでもらったら読み返す義務感が生まれる | 義務ではないと最初に明示する |
大切なのは、 「本気でやるなら覚悟を持つ」 ことです。本気で55作品を読んで感想を書くのは、冗談抜きで一つの修行です。しかしその修行を乗り越えた先には、確実に成長した自分がいます。
「読み合い」を継続するためのコツ
一度きりの企画で終わらせないためのコツもあります。
| コツ | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 読んだ作品を記録する | タイトル・URL・感想をスプレッドシートにまとめる | 次回の企画で重複を避けたり、成長を可視化できる |
| 上限を先に決める | 「今回は10作品まで」と宣言する | 燃え尽きを防ぎ、継続可能な綒機にできる |
| 月一回の習慣にする | 毎月最終土曜日にタグを投稿 | 継続的な交流が生まれる |
| 感想のテンプレを作る | 「良かった点・印象的なシーン・次への期待」の3点セット | 感想執筆の負担が減り、質が安定する |
55作品を一気に読む必要はありません 。月に5作品でも、半年で30作品、一年では60作品です。継続的に他者の作品を読み続けることで、あなたの創作力は着実に底上げされていきます。
この経験から得た最大の教訓
55作品を読んで得た最大の教訓は、 「他の人は、こんなにも多様な物語を書いている」 ということでした。
自分だけの殻に閉じこもって書いていると、世界が狭くなります。異世界ものばかり読んでいれば異世界ものしか書けなくなり、恋愛ものばかり読んでいれば恋愛ものしか思いつかなくなります。ですが55作品を横断的に読むと、 ジャンルの壁を超えた普遍的な物語の力 に気づくことができます。
もしあなたが創作のマンネリを感じているなら、一度「#RTした人の小説を読みにいく」を本気でやってみることをおすすめします。5作品でも10作品でも構いません。他者の物語に真剣に向き合うことは、あなた自身の物語を豊かにする最高のインプットになります。
最後に、この企画を通じて榛がった作者さんたちとは、その後も絁がつながっています。中には商業出版を果たした方もいます。 たった一度の読み合いが、人生を変えるつながりになることもある のです。だからこそ、本気でやる価値があるのです。
どうですか、書ける気がしてきましたか? さあ、今日も物語を書きましょう。あなたの傑作を待っています。
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