アイデアは作るもの|知識×知識の掛け合わせで生み出す3つのコツ

2021年10月23日

「アイデアが降ってこない」

そう悩んでいる人に、最初に伝えたいことがあります。アイデアは降ってきません。著名な作家にも、天からアイデアが次々降ってくるなんて嬉しい状況はまず起きません。

アイデアは「作る」ものです。そしてその材料は、あなたがすでに持っています。


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アイデアとは知識×知識の掛け合わせである

ベストセラー『アイデアのつくり方』(ジェームズ・W・ヤング著)に、こう書かれています。

「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」

この一文は、創作者が暗記すべき言葉です。ゼロから新しいものを発明する必要はない。すでにあるものを、誰もやっていない組み合わせで掛け合わせれば、それが新しいアイデアになる。

具体例を出します。

「桃太郎」の構造を分解すると、「特殊な出自の少年が仲間を集めて悪者を倒す」。ここから「桃・桃太郎」と「鬼」を取り除くと、「少年が悪者をやっつける話」になる。個性が消失する。

ここに別の知識──「天才的な推理力」「難事件」──を掛け合わせると何が生まれるか。「少年が天才的な推理力で難事件を解決する」──そう、『名探偵コナン』です。

桃太郎の構造 × 推理ものの要素 = 名探偵コナン

冗談のように聞こえるかもしれませんが、アイデアの生成原理はまさにこれです。


元ネタは「恥ずかしいもの」ではない

「元ネタを使う」と聞くと抵抗感を覚える人がいます。「それって二番煎じでは?」「パクリにならないか?」

断言します。すべての創作には元ネタがあります。

宮崎駿の作品にはヨーロッパの児童文学が色濃く反映されています。尾田栄一郎は『ドラゴンボール』の影響を公言しています。『鬼滅の刃』の呼吸システムには『ジョジョの奇妙な冒険』の波紋法の遺伝子が見えます。

重要なのは、元ネタをそのまま使うのではなく、「掛け合わせ」によって変化させること。桃太郎がそのまま出てきたらそれは桃太郎です。でも桃太郎の構造に推理要素を掛けたら、それは名探偵コナンという新しい作品になる。

自分が過去に書いた未熟な作品、ノートの隅に書き殴ったアイデアメモ、学生時代に考えた設定──これらはすべて「元ネタの宝庫」です。捨てないでください。


アイデアが枯渇する理由はただ一つ

アイデアが出なくなる原因は、才能の欠如ではありません。インプット不足です。

知識A × 知識B = アイデア、という方程式において、知識のストックが少なければ掛け合わせのパターンが限られます。10個の知識しかなければ、組み合わせは45通り。100個の知識があれば、4,950通り。1,000個なら約50万通り。

インプットの量が、アイデアの可能性を指数関数的に増やします。

ただし、ここに重要な条件があります。「ただ触れているだけ」ではインプットされません。

スマホでSNSを何時間スクロールしても、記憶に残るのはほんのわずか。なぜか。好奇心が伴っていないからです。「これはどうなっているんだろう?」「なぜこの展開で感動したのだろう?」──こうした疑問を持ちながら触れて初めて、情報はインプットとして定着します。

好奇心を持って生活するだけで、手に入るアイデアの素材は桁違いに増えます。特にリアルの体験──旅行、会話、失敗、感動──から得たインプットは、創作に直結しやすいと感じています。


元ネタを使ってアイデアを出す3つのコツ

ここからは実践的な方法を3つ紹介します。

コツ1:別ジャンルの元ネタ同士を掛け合わせる

恋愛小説を書くなら、恋愛小説を元ネタにしないでください。同ジャンルから引っ張ると、既視感のある作品になります。

代わりに、全く違うジャンル──SFや歴史やスポーツ──から要素を持ってくる。「恋愛小説 × SF設定」なら『君の名は。』のような作品が生まれる余地がある。「恋愛小説 × 料理」なら食を通じて距離が縮まるラブコメが描ける。

ジャンル間の距離が遠いほど、掛け合わせた時の新鮮さは増します。ファンタジー × ミステリーは比較的近い。ファンタジー × ドキュメンタリーは遠い。遠い掛け合わせほど、成功した時のインパクトが大きい。

コツ2:個性の強い部分を「別の要素」に変換する

これは盗作を避けるためのテクニックでもあり、オリジナリティを生むためのテクニックでもあります。

桃太郎の一番個性的な部分は「桃から生まれた」と「鬼退治」です。この2つを外すと、物語の骨格だけが残る。そこに「天才的推理力」と「難事件解決」を入れると名探偵コナンになる。

同様に、『ドラゴンボール』の一番個性的な部分──「武闘会」と「ドラゴンボール集め」──を外し、代わりに「海賊」と「秘宝探し」を入れると、構造的にはワンピースに近い物語が生まれます。

個性の強い部分を取り換えるほど、別の作品に見えます。逆に骨格(構造)はそのまま残しても、誰も「パクリだ」とは感じません。

コツ3:キャラクターの外見は元ネタにしない

元の記事で強調した通り、外見は最も記憶に残る情報です。銀髪のキャラクター、赤い瞳のキャラクター、麦わら帽子のキャラクター──外見で特定できるレベルの借用は避けるべきです。

キャラクターを元ネタにする場合は、行動パターンや思考回路を抽象化して借用してください。「逃げることを知らない馬鹿正直な主人公」──これはルフィにもナルトにも炭治郎にも当てはまる抽象的な性格類型であり、特定の作品のコピーにはなりません。


「掛け合わせ」を習慣にする

アイデアは降ってくるものではなく、作るもの。作り方は「知識 × 知識」の掛け合わせ。そしてその掛け合わせを日常的に行う習慣を持つかどうかで、アイデアの総量は決まります。

日常生活の中で、「これとこれを組み合わせたらどうなるだろう?」と思考実験をしてみてください。電車の中で見た広告と、昨日読んだ漫画。今日食べたラーメンと、書きかけの小説の設定。

一見ダメそうな組み合わせでも、要素を少し変えるだけで急に輝き出すことがある。そのアレンジ力こそが、作家の個性です。

元ネタが多ければ多いほど、掛け合わせの可能性は広がる。何事にも好奇心を持って、世界に散らばっている元ネタを拾い集めてください。きっとアイデアは、降ってくるのではなく、あなたの手の中で生まれます。


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