プロットが書けない? 「ネタだし40」と「年表」で燃え尽きない方法
「プロットを書きましょう」と言われるたびに、心のどこかで「面倒くさい」と感じるあなた。
安心してください。世の中の作家の半分は、あなたと同じ気持ちです。
作家には大きく分けて2つのタイプがいます。
• プロッター → 書き始める前にプロットをガッチリ設計する人
• パンツァー → パンツ(seat of the pants=感覚)で書き進める人
プロッターは計画通りに書けるので安定感がある。パンツァーはキャラが勝手に動く楽しさがある。どちらが優れているという話ではありません。
問題は、パンツァー寄りの人が「プロットなしで長編を完走するのは難しい」という現実です。
この記事では、プロットが億劫なパンツァーでも使える2つの軽量テクニックを紹介します。「燃え尽きない」ことを最優先に設計したプロットの作り方です。
テクニック①:ネタだし40
原理
ライトノベル1冊は約10万字。1エピソード(シーン)が平均2,500字だとすると、40エピソードで1冊になります。
つまり、20〜30字程度のネタを40個書き出すだけで、1冊分のロードマップが完成します。
実践方法
1. Excelや付箋に、思いつくエピソードを1行ずつ書く
2. 最初は順番を気にしない。とにかく40個出す
3. 40個揃ったら、時系列に並べ替える
4. 並べ替えると「ここに何かが足りない」が見える → 追加ネタを出す
5. これをプロットの骨格として使う
ネタだし40の例
村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』は全40章。それぞれの章が短いエピソードになっています。あの構成は「ネタだし40」とほぼ同じ発想です。
たとえば、異世界転生もののネタだし40の冒頭10個はこんな感じ——
1. 現代でトラックに轢かれる
2. 白い空間で神様に会う → チートスキル選択
3. 異世界の森に転移。最初にスライムと遭遇
4. 冒険者ギルドで登録。ランクE
5. 初クエスト:薬草採取で森の奥へ
6. ゴブリンの群れに遭遇。チートスキルで圧勝
7. ギルドで噂になる。美少女エルフが仲間に
8. 街で貴族のトラブルに巻き込まれる
9. 貴族の依頼で遺跡探索。ボス戦
10. 街に帰還。ランクD昇格
40個全部を埋める必要はありません。30個でも25個でもいい。大事なのは「だいたいこういう話になるな」という見通しを持つことです。
ネタだし40のメリット
• 燃え尽きない — 1行のネタ書きなので心理的ハードルが低い
• 伏線が見える — 並べ替えると「ここに伏線を置けるな」と自然に気づく
• 修正が楽 — 1行を入れ替えるだけで構成が変わる
• パンツァーにも使える — ネタを出すのは「書く」のではなく「発想する」行為
テクニック②:年表
原理
歴史小説の手法を転用します。司馬遼太郎が小説を書く前に膨大な年表を作っていたのは有名な話。
フィクションでも、物語の時間軸を10分割した年表を先に作ると、物語全体の見通しが格段に良くなります。
実践方法
1. 物語の開始時点と終了時点を決める
2. その間を10分割する
3. 各区間に「何が起きるか」を1行ずつ書く
4. これだけでプロットの背骨が完成する
年表の例(架空の戦国もの)
| # | 期間 | 出来事 |
|---|---|---|
| 1 | 1568年 | 主人公(若い武将)が家を継ぐ |
| 2 | 1570年 | 初陣で敗北。父の遺志を知る |
| 3 | 1572年 | 同盟を結び、領地を拡大 |
| 4 | 1574年 | 裏切りに遭い、城を失う |
| 5 | 1576年 | 放浪。農民の暮らしを知る |
| 6 | 1578年 | 再起。新しい仲間を集める |
| 7 | 1579年 | 小さな戦に勝ち、信頼を取り戻す |
| 8 | 1580年 | 因縁の敵との決戦準備 |
| 9 | 1581年 | 決戦。敵を倒すが大きな代償 |
| 10 | 1582年 | 新しい時代の幕開け。主人公は去る |
この年表を元に、各区間を掘り下げて「ネタだし40」と組み合わせれば、長編のプロットが無理なく完成します。
年表のメリット
• 時間感覚が持てる — 「いつ何が起きるか」が明確になり、ペース配分を間違えない
• 歴史ものに限らない — 学園もの(4月〜3月)、異世界もの(旅の行程)でも使える
• 長期連載との相性が抜群 — 「最終的にどこに着地するか」が見えていれば、エタらない
ネタだし40 × 年表の併用
この2つは組み合わせて使うのが最強です。年表が「大きな流れ」を抜けなく保証し、ネタだしが「小さなイベント」を埋める。この二層構造によって、全体の見通しと各シーンの具体性を両立できます。
1. まず年表で10区間を作る
2. 各区間に対してネタだし4個ずつ → 合計40個
3. 並べ替え・調整してプロット完成
パンツァーでも「40個のネタ + 10個の年表」くらいなら書けます。そしてこれがあるだけで、連載中に「次何を書けばいいかわからない」問題がほぼ消えます。
パンツァーがAIを使うなら
パンツァーにとってAIは最高の壁打ち相手です。プロッターが「設計図の生成」にAIを使うのに対し、パンツァーは「次の一手の提案」にAIを使う。この使い方の違いが重要です。パンツァーは「書きながら発見する」スタイルなので、AIにも「全体設計」ではなく「次のシーンだけ」を聞くのがフィットします。
1シーンずつ対話しながら書く方法:
> 「主人公が異世界の森で目覚めたところから始まります。次に何が起きると面白いですか? 3パターン提案してください」
AIが出した3パターンの中から直感で選び、書いてみる。書き終わったらまた次のシーンをAIに聞く。これを繰り返すと、パンツァー的な「発見の楽しさ」を保ちながら、AIがロードマップの代わりを果たしてくれます。
まとめ
• ネタだし40 → 1行のネタを40個書くだけで1冊分のロードマップ
• 年表 → 物語の時間軸を10分割して背骨を作る
• 併用 → 年表10区間 × ネタ4個 = 40個のプロット要素
• プロットが億劫なパンツァーこそ、この2つで「最低限の地図」を持とう
次に読むべき記事
• プロットの定義と基本の2手法 → プロットとは何か
• ネタだし40の思考の裏側 → 小説を「部分と全体」で考える
• ネタとネタの間を繋ぐ技術 → プロットの「つなぎ」を意識する
• エタらない秘訣をもっと知る → エタらない秘訣






