プロットで悩んだらこう考えろ|設定と展開を選ぶ3つの基準

2020年3月23日

プロットを書いていると、必ずぶつかる壁があります。

「主人公の職業、騎士と魔法使い、どっちがいい?」「ここで仲間を裏切らせるべき? それとも助けに来させる?」

設定にも展開にも複数の候補がある。どれを選んでも物語は成立する。でもどれがベストかわからない——。

この記事では、科学哲学の「理論選択の3基準」を創作に応用して、設定と展開の取捨選択を論理的に判断する方法を解説します(参考:理系人に役立つ科学哲学)。

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科学哲学の知恵を創作に転用する

科学の世界でも、複数の理論が並立して「どれが正しいか」を判断する場面があります。その際に使われる3つの基準が、物語の設定・展開選びにそのまま使えるのです。

3つの基準とは、「発展性」「課題解決性」「時代の文脈」。この3つを並べて候補を比較するだけで、「直感」ではなく「論理」で展開を選べるようになります。以下、それぞれを詳しく見ていきましょう。

基準①:発展性(どれだけ物語を広げられるか)

元ネタ: ラカトシュの「研究プログラム説」

ある設定や展開を採用したとき、そこからどれだけ多くのエピソードを生み出せるかで判断します。

設定に適用する

たとえば、ヒロインに「幼馴染」の属性をつけるか、「転校生」の属性をつけるか。

幼馴染 → 幼少期の共通エピソード、地域の因縁、家族との関係、「いつから好きだったのか」問題……発展性が高い

転校生 → 出会いの驚き、文化の違い、秘密の過去……発展方向が異なる

「どちらが正解か」ではなく、「あなたのテーマに対して、どちらがより多くのエピソードを生み出せるか」で選びます。

展開に適用する

主人公が窮地に陥ったとき、「親友が助けに来る」か「親友が裏切る」か。

助けに来る → その後に友情の深まりエピソードが生まれる。ただし展開がワンパターンになりやすい

裏切る → 復讐、真相究明、和解、新たな敵……後続エピソードの発展性が高い

テーマが「友情」なら裏切り→和解のルートが発展性が高く、テーマが「仲間との冒険」なら助けに来るルートがテーマと調和します。

基準②:課題解決性(どれだけ障害を乗り越えられるか)

元ネタ: ラウダンの「研究伝統説」

その設定や展開が、物語上の問題をどれだけ合理的に解決できるかで判断します。

設定に適用する

主人公の能力を「炎の魔法」にするか「時間操作」にするか。

炎の魔法 → 戦闘で直接的に敵を倒せる。しかし「人質を救う」「謎を解く」には使いにくい

時間操作 → 戦闘でも使えるし、失われた情報の入手、過去のやり直しなど課題解決の幅が広い

ただしここで注意。課題解決性が高すぎる設定(万能すぎる能力)は、物語の緊張感を殺します。「なんでも解決できる」のは面白くない。

理想は、主要な課題は解決できるが、致命的な弱点がある設定です。

展開に適用する

敵が「仲間の秘密を公開する」と脅してきたとき、主人公は「秘密を自分から公開する」か「取引に応じる」か。

自分から公開する → 脅しが無効化され、主人公の覚悟を示せる。ただし仲間との関係にダメージ

取引に応じる → 当面の危機は回避できるが、敵に弱みを握られ続ける

テーマが「嘘と真実」なら前者、テーマが「妥協と代償」なら後者が課題解決として整合します。

基準③:時代の文脈(読者の趣向に合っているか)

元ネタ: 科学社会学の「社会構成主義」

その設定や展開が、今の読者層の趣味・嗜好に合致するかで判断します。

設定に適用する

2026年現在のWeb小説読者層を考えると——

ステータスオープン、スキル制の異世界 → なろう系の標準装備。読者は慣れていて、説明コストが低い

独自の魔法体系 → 差別化にはなるが、説明にページ数を取られる。読者の離脱リスクがある

ここで「時代の文脈に合わせる=テンプレに従う」と短絡しないでください。大事なのは、読者が馴染みやすい要素と、あなたのオリジナリティのバランスです。

展開に適用する

「主人公がヒロインに告白する」タイミング。

序盤で告白 → 最近の恋愛ラノベでは「早期に両思い→イチャラブ展開」がトレンド

最終巻で告白 → 古典的だが2026年のトレンドとはやや乖離

時代の文脈は「流行に迎合しろ」という意味ではなく、読者の期待値を把握せよということです。あえてトレンドを外すなら、その理由と効果を意識した上で判断しましょう。

3基準の統合:判断マトリクス

迷ったときは、候補を表に書き出して3基準で比較します。

候補発展性課題解決性時代の文脈判定
候補A:幼馴染ヒロイン採用
候補B:転校生ヒロイン保留

3基準すべてが優位な候補があれば即採用。2つ勝っていれば有力。1つだけなら再検討——という具合に、感覚ではなくロジックで判断できます。

AIで設定候補を出力→3基準で絞る

ChatGPTやClaudeに「主人公の能力候補を5つ提案してください」と出力させ、3基準で評価するワークフローが効率的です。

人間が思いつく候補は3つ程度が限界。AIに5〜10個出させれば、自分では思いつかなかった選択肢が見つかることがあります。

ただし最終判断は必ず人間がする。AIは「発展性」の評価はできても、「あなたのテーマにとっての最適解」は判断できません。

まとめ

発展性 → その設定・展開からどれだけエピソードが広がるか

課題解決性 → 物語上の問題をどれだけ合理的に解決できるか

時代の文脈 → 今の読者の趣味嗜好と合致しているか

• 迷ったらマトリクスで3基準を比較し、ロジカルに判断する

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