ロジックツリーで目の前の問題を解決しよう!【リアルチート】

2021年8月15日

 ロジックツリーは、事象の分析、問題の原因特定や目標設定、課題解決に至るまでさまざまなシーンで使用することができるツールです。
 樹木が幹から枝分かれしていくように、1つの命題を分解し掘り下げていきます。

 

ロジックツリーが活躍するシーン

 誰もが「大きな問題を目の前にして、どこから手をつければよいかわからない」経験があるでしょう。世の中のほとんどの物事はたくさんの要素が絡み合いながらできていますから、1つの命題を分解し掘り下げていくことで、大きな問題を小さな問題に分解し、解決の糸口を得ることができます。

 

ロジックツリーの種類

 「命題の出発点を何にするか」「分解の方法をどうするか」によって、ロジックツリーは5つの種類に分けられます。
 命題には「問題」と「課題」があります。
 「問題」とは発生した事象のこと。
 「課題」とはあるべき姿や到達したい目標と現状とのギャップです。 

 どれだけ理性を正確に働かせたとしても、ロジックツリーの使い方を誤ると、間違ったゴールに辿り着いてしまいます。命題が「問題」なのか「課題」なのかを意識して、ロジックツリーを使い分けましょう。

命題を「問題」とする

  • Whatツリー
  • Whyツリー
  • Howツリー

命題を「課題(目標)」とする

  • KPIツリー(定量的なもの)
  • イシューツリー(定性的なもの)

 

問題を解くWhatツリー

 ある問題に対して、何が原因であるかを深堀りしていくのが、Whatツリーです。
 使い方のコツとしては、状況把握に利用することです。というのもWhatツリーでは、理由を追求することはできないからです。
 そしてWhatツリーを使う際には、第2階層でもれなくダブりなくの観点で分解することが望ましいです。

 例えば「財布に1,000円しかない」という問題があったとします。

 Whatツリーでは、「財布に1,000円しかない」という問題は、何からできているか?を深堀りします。
 「財布に1,000円しかない」という問題を、過去・現在・未来というもれなくダブりなくの観点で深堀りします。
 すると「昨日(過去)財布の中身をチェックしていない」「いま(現在)1,500円の本がほしい」「(未来にお金を下ろすための)ATMがない」といった問題に分解できます。ここであげた現在の問題は、1,500円の本がほしくなければ財布に1,000円しかなくても問題はないため、書いています。

 

問題を解くWhyツリー

 ある問題に対して、何故発生したのかを深堀りしていくのが、Whyツリーです。
 使い方のコツとしては、第2階層でアイデアをたくさん出し、第2階層以下は思いつく限り深堀りするのが良いです。

 例えば「財布に1,000円しかない」という問題があったとします。

 Whyツリーでは、なぜ「財布に1,000円しかない」のか?と深堀りします。
 そこで「銀行からお金を下ろしていない」「お金を落とした」といった第2階層が得られたとします。
 ここで「銀行からお金を下ろしていない」という第2階層を徹底的に深堀りするのが、コツです。つまり、「銀行にお金が無い」なぜなら「収入が少ない」なぜなら「会社が倒産した」という風に、第2階層から一気に理由を深堀りします。

 注意点として、「会社が倒産した」といった外部要因を書くと、その後改善することができません。ですのでWhyツリーを深堀りする際には、「なぜなら自分が〇〇だから」という理由を書くことが望ましいです。

 

問題を解くHowツリー

 ある問題に対して、どうやって解決していくかを深堀りしていくのが、Howツリーです。
 使い方のコツとしては、WhatツリーやWhyツリーをつかって問題を分解したあとに使うことが望ましいです。

 例えば「財布に1,000円しかない」という問題について、Whyツリーをつかって「収入が少ない」という問題がわかったとします。

 Howツリーは、この「収入が少ない」をどうやって解決していくかを考える際に利用できます。

 つまり「収入が少ない」を解決するには……どうやって?と深堀りしていきます。
 「収入が少ない」……どうやって?
 「年収の高い企業に転職する」……どうやって?
 「今の仕事で実績をつくる」……どうやって?
 「大プロジェクトに自分を売り込む」……どうやって?
 「大プロジェクトに役立つスキルを身につける」
 といった風に、どうやって?をつなげることがHowツリーの特徴です。

 

課題を達成するKPIツリー(定量的なもの)

 ある課題を達成するための、定量的な目標の策定に利用できるのが、KPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)ツリーです。KPIとは、目標を達成する上で、その達成度合いを計測・監視するための定量的な指標のことです。

 例えば企業において当期目標である「売上金額」や「利益額」の達成を課題において、その課題を達成するために、どういった目標を達成すればよいかをブレイクダウンする際につかわれます。

 この後に紹介するイシューツリーとの違いは、KPIツリーは数字で表現する点です。

 つまり「利益額100万円」の達成を課題にあげるのであれば、「売上1000万」「利益率10%」が第2段階の課題となるでしょう。「売上1000万」を達成するために「100万の案件を10個受注する」。そのために「アポイントを100件獲得する」という風に、深堀りしていきます。

 コツとしては、必ず数値を入れること。そうでなければ達成度合いを計測・監視することができませんので注意してくださいね。

 これは個人の目標設定にも使うことができます。
 例えば「小説家になろうで書籍化打診がくるといわれる、総合評価3万ポイントを目指す」という目標を掲げたとします。

 「総合評価3万ポイント」を第1段階の課題にしたならば、第2段階は「ブックマーク15,000」「評価10ポイント×3000人」となるでしょう。第3段階以降では、ブックマークと評価を増やすための数値目標を掲げます(3人に1人がブックマークしてくれるのであれば、45,000人に読んでもらうといった目標になります)。こうすれば書籍化という漠然とした夢が具体的な行動に繋がりますね。

 

課題を達成するイシューツリー(定性的なもの)

 ある課題を達成するための、定性的な目標の策定に利用できるのが、イシューツリーです。
 1つの仮説を、論点によって分解し、分解した仮設それぞれにどういった問題解決の仮説検証・分析ができるか?を考えるときに使います。

 これまでのツリーと違い、イシューツリーは問題や課題に対して必ず効く対策を考えるものではありません。

 KPIツリーで「売上1000万」を達成するために「100万の案件を10個受注する」。そのために「アポイントを100件獲得する」という例をあげました。

 読んでいる方々は違和感を覚えませんでしたか?
 私は疑問を抱きます。それはアポイントを増やしたら、受注が増えるって、どうしてわかるの?という疑問です。

 この疑問を洗い出して分析するために、イシューツリーを使います。これまでのツリーで、問題や課題を深堀りしてつなげていきましたが、その深堀りがちゃんとつながっているか?は実際に検証してみて、結果を分析しなければわかりません。

 そこでイシューツリーの第1階層には「案件を受注する」を掲げ、その第2階層として「アポイントを増やす」というアイデアをだします。

 そして、本当に「アポイントを増やす」と「案件を受注する」ことができるか?を検証して、検証が成功したらイシューツリーが正しいとわかります。

 こうして他のツリーで使える武器「アポイントを増やしたら、受注が増える」が得られます。こうして組織でも個人でもイシューツリーを考え、他のロジックツリーで使える武器を蓄えていくことが重要です。

 しかしながらイシューツリーを使う上では、注意するべきことがあります。それは、どの問題を検証するかの優先度をつけること。
 なぜこれが大事かというと、時間は有限だからです。限られた時間の中で、次に役立つ検証をするためには、いま解くと価値があって、なおかつ現時点の自分たちがギリギリ解けそうな問題を見つけることが重要です。とはいえ、どの問題を解けば最も効果的であるかが明示されていない中で、何に価値があるのかを図るのは最終的にセンスです。
 イシューツリーを使いこなすためには時流を読むセンスも必要になるのですね。

 

作中で利用されたツリー

 境界を超えろ!でアイン・スタンスラインは、「記者がマルルトの部下かを確かめる」ためにロジックツリーを利用しました。
 彼はまず、Whatツリーを使って問題を分解したでしょう。

 例えば「事実(外的事実) 、常識(外的心理)、価値観(内的心理及び事実)」の3つの基準で物事を分解し、第2階層をつくります。これはMECEです。

 事実ベース(外的事実)の第3階層以下は、自由な発想でHowツリーをつなげていくでしょう。文献調査やフィールド調査をすればいいじゃないか、フィールド調査の一環としてインタビューをやってみよう、当時の事情についての言質が取れれば良いなと考えたはずです。

 一方で常識ベースや価値観ベースは、第3階層ではどうやって?と深堀りすることが難しいため、引き続きWhatツリーにより要素を分解します。要素が細かくならなければ、具体的などうやって?につなげることができませんからね。こうして出来上がったのが下記の図となります。

 それぞれの要素の間が、ちゃんとつながっているかはイシューツリーを使って検証・分析する必要があります。しかしながらアイン・スタンスラインは、新聞部に入部し、財界の有名人と対話した経験がありますので、インタビューにより何が聞き出せるかという仮設検証ができていました。ですので最終的に彼はフィールド調査としてインタビューを選んだのでしょう。

 アインは社交パーティやバーテンダーの仕事を通して、マルルトへの足がかりをつかもうと尽力した。エル・クリスタニアの著名人に話を聴くための隠れ蓑として新聞部に入部し、インタビューと称して財界の有名人と対話する活動も始めた。

境界を超えろ!1: 世界の誕生日

 

まとめ

 ロジックツリーは、事象の分析、問題の原因特定や目標設定、課題解決に至るまでさまざまなシーンで使用することができるツールです。

 私は著作の中で、「記者がマルルトの部下かを確かめる」という漠然とした、何をすれば達成できるのかわからない問題の解決方法の検討のために、アインがロジックツリーを利用する様子を書きました。

 正直なところ、現実の世界は漠然とした、何をすれば解決できるかわからない問題だらけです。

 例えば「小説が上手く書けない」という問題に対して、どうやって取り組めばいいか、途方に暮れることもあるでしょう。
 ですが、もしロジックツリーを知っていれば、「小説が上手く書けない」という漠然とした問題が何からできているかを深堀りできます。「小説が上手く書けない」を「事実(外的事実) 、常識(外的心理)、価値観(内的心理及び事実)」の3つで分解してみると、自分がなぜ自分の小説を下手だと思っているかがよくわかります。

 それはダニング=クルーガー効果かもしれませんし、読者が感想を重く捉えているからかもしれません。ダニング=クルーガー効果の影響であれば、下記を読むと心が落ち着くはずですし、

 読者に下記のエントリーを紹介して、読者が感想を書くときの重荷を軽くしてあげれば、感想をもっと書いてくれるかもしれません。

 漠然とした問題と見つめ合うのではなく、ロジックツリーをつかって具体的に問題を潰していきましょう。境界を超えろ!にはこういった「夢を叶えるためのリアルチート」のエッセンスがあらゆる場所に散りばめられています。ぜひ購入して読んでみてくださいね。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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