魔女の歴史と実態|古代の薬剤師から「悪魔の手先」へ変えられた真実

2022年7月16日

「魔女」は、ファンタジー世界に欠かせない存在です。しかし、私たちが「魔女」と聞いたときに思い浮かべるイメージは、歴史の中で意図的に歪められたものかもしれません。

かつて魔女は庶民の病を治す薬剤師であり、古代宗教の巫女の末裔でした。それが「悪魔の手先」へと塗り替えられた経緯を知ることは、ファンタジー作品に登場する魔女キャラクターの奥行きを深めることに直結します。

本記事では、魔女の歴史的実態と、「古代の魔女」から「現代的な魔女像」への変遷を解説します。もともと薬剤師であった魔女が「悪魔の手先」に仕立て上げられた歴史を知れば、ファンタジー作品での魔女の描き方は大きく変わるのではないでしょうか。

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魔女とは何者だったのか

「魔女(Witch)」は、古代から続くヨーロッパの魔法使いです。その起源はキリスト教が存在しなかった紀元前にまで遡ります。特に中世からルネサンス期の魔女は巫女としての役割を多く担い、古代宗教の巫女の末裔とも言われています。

しかし、15〜17世紀のヨーロッパで行われた「魔女狩り(魔女裁判)」によって、魔女のイメージは完全に歪められました。「悪魔の手先」「魔界に住む女」として邪悪な存在に仕立て上げられたのです。

魔女の能力と道具

魔女狩りの時代に定着した「魔女像」には、以下のような特徴があります。これらは迫害する側が作り上げたイメージですが、ファンタジー創作の素材としては非常に豊富です。

空を飛ぶ方法

魔女が箒で空を飛ぶイメージは有名ですが、本来は「魔女の軟膏」を内股に塗ることで飛行能力を得るとされていました。物語でよく描かれる「大きな鍋で怪しげなものを煮込む魔女」は、実はこの飛行用軟膏を調合している場面なのです。

魔女の道具効果
魔女の軟膏空を飛ぶ、病気を治す、呪いをかけるなど種類豊富
使い魔動物の姿をした小悪魔。黒猫や烏が多い。魔女と感覚を共有する
魔女のミルク体の「魔女の印」から出る液体。使い魔を養う
大鍋軟膏や薬の調合に使用

使い魔(Familiar)

魔女は使い魔を持ち、両者は絶対的な主従関係で結ばれています。使い魔の正体は「動物の姿をした小悪魔」で、黒猫や烏など黒い生物であることがほとんどです。

魔女は使い魔の感覚を共有できます。使い魔の目で見て、耳で音を聞くことが可能です。この「使い魔を通じた遠隔知覚」という設定は、ファンタジー作品の偵察や情報収集の手段として非常に便利です。

天候操作

魔女は天候のコントロールも可能とされました。意図的に豪雨、日照り、雹(ひょう)などを起こし、作物や家畜に被害を与えるのが得意分野だとされていたのです。実際には、不作や天災が起こるたびに「魔女の仕業だ」と濡れ衣を着せられていた側面が大きいでしょう。

サバト(魔女の集会)

魔女は「サバト(Sabbat)」と呼ばれる集会に参加し、邪な計画を立てていたと言われました。開催日とされたのは毎週土曜の夜、あるいは「ヴァルプルギスの夜(4月30日〜5月1日)」や「ハロウィン(10月31日〜11月1日)」です。

場所はドイツの「ブロッケン山」や「シュヴァルツヴァルト(黒い森)」とされました。サバトの別名は「黒ミサ(Black Mass)」です。

魔女の真の姿 — 古代の薬剤師

こうした恐ろしい魔女像は、弾圧する側が作り出したプロパガンダの色が濃いです。歴史を遡ると、魔女の真の姿は全く異なります。

元々魔女は「庶民の病気を治す薬剤師」でした。薬草の知識を持ち、村人の健康を支える存在だったのです。彼女たちはシャーマンや司祭と同じく「治療者」としての役割を担っていました。

魔女が弾圧された背景には、キリスト教の聖職者との権力争いがあったと考えられています。村の中で信頼を集める魔女は、教会にとって競合相手だったのです。

魔女の薬草知識

古代の魔女が扱っていた薬草には、現代の薬学から見ても理にかなったものが含まれています。

薬草用途現代の評価
セージ(sage)炎症の鎮静、浄化の儀式抗菌作用が確認されている
ベラドンナ鎮痛、幻覚作用アトロピンの原料(毒性あり)
マンドレイク万能薬、呪術の素材有毒だが鎮痛効果あり
ラベンダー安眠、精神安定アロマテラピーで広く利用

なお、「飛行用軟膏」の正体は、ベラドンナやヘンベイン(ヒヨス)といった幻覚作用を持つ植物を混ぜた軟膏だったという説があります。軟膏を皮膚に塗ることで幻覚を引き起こし、「空を飛んだ」と本人が信じ込んだ可能性があるのです。

現代の魔女復権運動

1991年の映画「アンナ・ゲルディ 最後の魔女」は、1782年に「毒殺の疑い」で死刑にされた最後の魔女裁判の被害者を描いた作品です。こうした作品を通じて、「魔女=悪」というイメージを見直す動きが広がっています。

現代では「ウイッカ(Wicca)」と呼ばれる新異教主義の運動が存在し、古代の自然崇拝的な魔女の在り方を復活させようとしています。こうした「古い魔女 vs 歪められた魔女」の対立構造は、ファンタジー作品の魔女キャラクターに二面性を持たせるヒントになるでしょう。

ファンタジー創作での魔女の活かし方

魔女の歴史を踏まえると、ファンタジー作品で魔女を描く選択肢が広がります。

迫害される治療者:本来の姿。薬草の知識と治癒能力を持つが、権力者に「危険な存在」とされる

伝統的な悪の魔女:魔女狩り由来のイメージ。使い魔・飛行・天候操作・サバトなどの要素をフル活用

二面性を持つ魔女:表向きは薬師として村を助けるが、裏では禁断の術にも手を出している

魔女の復権者:長い迫害の歴史を経て、魔女の正当性を訴えるキャラクター

どのタイプを選ぶにしても、歴史的背景を知っておくと、魔女キャラクターに説得力のある深みを持たせることができます。

まとめ

今回は、魔女の歴史と実態について解説しました。

元は薬剤師であり治療者であった魔女が、宗教的・政治的理由で「悪魔の手先」に仕立て上げられた——この歴史を知るだけでも、ファンタジー作品の魔女の描き方は大きく変わるのではないでしょうか。

元は薬剤師であり治療者であった魔女が、宗教的・政治的理由で「悪魔の手先」に仕立て上げられた——この歴史を知るだけでも、ファンタジー作品の魔女の描き方は大きく変わるのではないでしょうか。「なぜこの世界で魔女は迫害されているのか」という問いに対して歴史的な背景を踏まえた答えを用意できれば、物語に説得力を与えられます。

ぜひファンタジー世界の設定の参考にしてくださいね。


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