プロットとは何か|「あらすじ」との違いと基本の作り方2つ
「プロットを書きましょう」とアドバイスされたけれど、そもそもプロットって何? あらすじとは違うの?
この記事では、プロットの正しい定義から、具体的な2つの作り方まで、桃太郎を例に解説します。
プロットとあらすじの違い
結論から言うと——
• あらすじ・要約 = 読む人に向けた、物語の内容のまとめ
• プロット = 書く人に向けた、物語の設計図・脚本
あらすじは「読者に物語の概要を伝える」ためのものです。投稿サイトの紹介文やカバーの裏表紙に書く文章がこれ。
プロットは「書き手自身が迷子にならないための地図」です。読者に見せる前提ではなく、自分が執筆するための設計書として機能します。
この違い、言われてみれば当然なのですが、混同している人が案外多い。プロットを書こうとして「あらすじ」を書いてしまい、「こんなの書いても意味がない」と感じて挫折するパターンです。
プロットの前に決めておくこと
プロットを作る前に、最低限必要な材料が2つあります。
1. テーマ
その物語で何を描きたいのか。一言で言える核になるメッセージ。
• 「仲間との絆が困難を乗り越える力になる」
• 「正義と悪は立場によって変わる」
• 「才能がなくても努力で届く場所がある」
テーマが曖昧だと、プロットの設計段階で迷走します。逆に、テーマさえ定まっていれば、展開に迷ったときの判断基準になる。
2. 主要キャラクター
最低限、主人公と主人公を動かす存在(敵、ライバル、相棒、ヒロインなど)が必要です。キャラの詳細な設定は後でもいいですが、「この人物が何を欲しているか」だけは先に決めておきましょう。
プロットの作り方①:帰納法(ゴールから逆算する)
帰納法は、結末を先に決めて、そこに至る道筋を逆算する方法です。
桃太郎で例えると——
1. 結末を決める:桃太郎が鬼ヶ島で鬼を退治し、宝物を持ち帰って幸せに暮らす
2. クライマックスを決める:鬼の大将との最終決戦
3. 中盤を決める:犬・猿・雉を仲間にする旅
4. 序盤を決める:桃から生まれた少年が、鬼の悪事を知って旅立つ
このように、ゴールから遡ることで論理的に破綻しにくいプロットが作れます。
帰納法のメリット:
• 着地点が明確なのでブレにくい
• 伏線を仕込みやすい(ゴールを知っているから逆算で配置できる)
• 商業出版では「結末が見えている」ことが編集者への安心材料になる
帰納法のデメリット:
• 「書き進める楽しさ」が少ない(自分でネタバレしている状態)
• 途中で良いアイデアが浮かんでも軌道修正しにくい
帰納法が向いている人・ジャンル
帰納法は「確実に完結させたい」場合に力を発揮します。ゴールが見えているぶん、途中で迷子になるリスクが低い。以下のケースでは帰納法を第一選択肢にするとよいでしょう。
• ミステリー(犯人を先に決める必要がある)
• 公募用の長編(完結前提で設計する必要がある)
• 「エタらない」ことを最優先にしたい人
特にミステリーは帰納法と相性抜群です。犯人・動機・トリックを先に決めておかないと、伏線の仕込みが後手に回って破綻します。新人賞の下読みさんも「ミステリーで帰納法を使っていない作品は、ほぼ確実にプロットに穴がある」と言います。
プロットの作り方②:演繹法(序盤から積み上げる)
演繹法は、出発点を決めて、展開を積み上げていく方法です。
桃太郎で例えると——
1. 出発点を決める:桃から生まれた少年が、超人的な力を持っている
2. 次の展開を考える:この力で何ができる? → 鬼退治ができそうだ
3. さらに展開:一人で行く? → いや、仲間がいた方が面白い → 動物たちを仲間に
4. 結末を発見する:鬼ヶ島で大将を倒して、宝物を持ち帰る
帰納法との違いは、書いているうちにゴールが見えてくること。キャラクターが動くに任せて物語を育てていくイメージです。
演繹法のメリット:
• 書き手も展開にワクワクできる
• キャラクターが「勝手に動く」感覚が得られやすい
• 意外な展開が生まれやすい
演繹法のデメリット:
• 途中で方向を見失うリスクがある(エタりやすい)
• 伏線が後付けになりがち
• 結末が決まらないまま連載を始めてしまうことがある
演繹法が向いている人・ジャンル
演繹法は「書きながら発見する」スタイルに合います。最初からゴールを固定すると窮屈に感じる人、キャラクターの反応を見ながら展開を決めたい人は、こちらのほうが筆が進むはずです。
• Web小説の連載(1話ずつ公開しながら方向を探る)
• キャラクター主導のストーリー(キャラが動くに任せたい)
• 書くこと自体を楽しみたい人
なろう系の人気作家の中には「キャラを作って、あとはそのキャラが勝手に動くのを追いかけるだけ」という方が少なくありません。ただし、これは「エタるリスク」と隣り合わせのアプローチでもある。演繹法を採用するなら、「30話書いたら一度立ち止まって帰納法で残りのゴールを決める」というハイブリッド運用がおすすめです。
実際のプロは「両方を往復する」
ここまで帰納法と演繹法を分けて説明しましたが、プロの作家は意識的・無意識的に両方を使い分けています。
• 演繹法で書き進めながら、ある程度先が見えたら帰納法で結末を固める
• 帰納法で全体設計した後、各シーンを演繹法で肉付けする
• 帰納法で決めたゴールに到達できそうにないと感じたら、ゴール自体を修正する
どちらか一方に固執するよりも、状況に応じて切り替えるのが実践的です。
プロット管理ツールの選択肢
プロットを書く「場所」も大事です。2026年現在、主な選択肢は——
| ツール | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| Nola | 小説に特化。キャラ・世界観・プロットを一元管理 | 小説書きに特化したい人 |
| Notion | カンバンボードでシーンを並べ替え可能 | 柔軟に構成を変えたい人 |
| Excel / スプレッドシート | 自由度が高い。ネタだし40との相性が良い | 表形式で管理したい人 |
| 付箋 + ホワイトボード | 物理的に並べ替えができる | アナログ派 |
どのツールを使っても、大事なのは「帰納法と演繹法のどちらで進めているか」を意識することです。
AIでプロットの骨格を出力する
2025年以降、ChatGPTやClaudeをプロットの壁打ち相手として使う作家が増えています。
使い方の例:
> 「中世ファンタジーで、魔法が使えない少年が魔王を倒す物語のプロットを、帰納法で3つ提案してください。結末は『少年が魔王を倒すが、代償として記憶を失う』で固定。」
AIが出力した骨格を叩き台にして、自分なりの肉付けをする。ゼロから考えるより遥かに効率的です。
たとえば「結末を3通り出して」と指示すれば、自分では思いつかなかった着地点に出会えることがあります。「面白くないけど構造は参考になる」というパターンも意外と役立つ。AIの価値は正解を出すことではなく、思考の起点を量産することです。
ただし注意点が一つ。AIが出すプロットは「よくある展開」に寄りがちです。それをあなたの独自性でどう崩すかが、人間の作家の仕事です。AIが「王道パターンA」を出してきたら、「ではAの真逆は?」と問い返す。この逆張りの壁打ちがAIとの最も生産的な使い方です。
まとめ
• プロット = 書き手のための設計図。あらすじ(読者向け)とは別物
• 帰納法 = 結末から逆算。論理的で破綻しにくいが、書く楽しさは控えめ
• 演繹法 = 序盤から積み上げ。自由度が高いが、迷子になりやすい
• 実践では両方を往復するのがベスト
• AIで骨格を出力→人間が独自性を加えるワークフローも有効
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