プロットとは何か|「あらすじ」との違いと基本の作り方2つ

2021年12月31日

「プロットを書きましょう」とアドバイスされたけれど、そもそもプロットって何? あらすじとは違うの?

この記事では、プロットの正しい定義から、具体的な2つの作り方まで、桃太郎を例に解説します。

kosiboro.work ― 腰ボロSEの創作ノウハウ550記事超|小説の書き方ガイド

プロットとあらすじの違い

結論から言うと——

あらすじ・要約 = 読む人に向けた、物語の内容のまとめ

プロット = 書く人に向けた、物語の設計図・脚本

あらすじは「読者に物語の概要を伝える」ためのものです。投稿サイトの紹介文やカバーの裏表紙に書く文章がこれ。

プロットは「書き手自身が迷子にならないための地図」です。読者に見せる前提ではなく、自分が執筆するための設計書として機能します。

この違い、言われてみれば当然なのですが、混同している人が案外多い。プロットを書こうとして「あらすじ」を書いてしまい、「こんなの書いても意味がない」と感じて挫折するパターンです。

プロットの前に決めておくこと

プロットを作る前に、最低限必要な材料が2つあります。

1. テーマ

その物語で何を描きたいのか。一言で言える核になるメッセージ。

• 「仲間との絆が困難を乗り越える力になる」

• 「正義と悪は立場によって変わる」

• 「才能がなくても努力で届く場所がある」

テーマが曖昧だと、プロットの設計段階で迷走します。逆に、テーマさえ定まっていれば、展開に迷ったときの判断基準になる。

2. 主要キャラクター

最低限、主人公主人公を動かす存在(敵、ライバル、相棒、ヒロインなど)が必要です。キャラの詳細な設定は後でもいいですが、「この人物が何を欲しているか」だけは先に決めておきましょう。

プロットの作り方①:帰納法(ゴールから逆算する)

帰納法は、結末を先に決めて、そこに至る道筋を逆算する方法です。

桃太郎で例えると——

1. 結末を決める:桃太郎が鬼ヶ島で鬼を退治し、宝物を持ち帰って幸せに暮らす
2. クライマックスを決める:鬼の大将との最終決戦
3. 中盤を決める:犬・猿・雉を仲間にする旅
4. 序盤を決める:桃から生まれた少年が、鬼の悪事を知って旅立つ

このように、ゴールから遡ることで論理的に破綻しにくいプロットが作れます。

帰納法のメリット:

• 着地点が明確なのでブレにくい

• 伏線を仕込みやすい(ゴールを知っているから逆算で配置できる)

• 商業出版では「結末が見えている」ことが編集者への安心材料になる

帰納法のデメリット:

• 「書き進める楽しさ」が少ない(自分でネタバレしている状態)

• 途中で良いアイデアが浮かんでも軌道修正しにくい

帰納法が向いている人・ジャンル

帰納法は「確実に完結させたい」場合に力を発揮します。ゴールが見えているぶん、途中で迷子になるリスクが低い。以下のケースでは帰納法を第一選択肢にするとよいでしょう。

• ミステリー(犯人を先に決める必要がある)

• 公募用の長編(完結前提で設計する必要がある)

• 「エタらない」ことを最優先にしたい人

特にミステリーは帰納法と相性抜群です。犯人・動機・トリックを先に決めておかないと、伏線の仕込みが後手に回って破綻します。新人賞の下読みさんも「ミステリーで帰納法を使っていない作品は、ほぼ確実にプロットに穴がある」と言います。

プロットの作り方②:演繹法(序盤から積み上げる)

演繹法は、出発点を決めて、展開を積み上げていく方法です。

桃太郎で例えると——

1. 出発点を決める:桃から生まれた少年が、超人的な力を持っている
2. 次の展開を考える:この力で何ができる? → 鬼退治ができそうだ
3. さらに展開:一人で行く? → いや、仲間がいた方が面白い → 動物たちを仲間に
4. 結末を発見する:鬼ヶ島で大将を倒して、宝物を持ち帰る

帰納法との違いは、書いているうちにゴールが見えてくること。キャラクターが動くに任せて物語を育てていくイメージです。

演繹法のメリット:

• 書き手も展開にワクワクできる

• キャラクターが「勝手に動く」感覚が得られやすい

• 意外な展開が生まれやすい

演繹法のデメリット:

• 途中で方向を見失うリスクがある(エタりやすい)

• 伏線が後付けになりがち

• 結末が決まらないまま連載を始めてしまうことがある

演繹法が向いている人・ジャンル

演繹法は「書きながら発見する」スタイルに合います。最初からゴールを固定すると窮屈に感じる人、キャラクターの反応を見ながら展開を決めたい人は、こちらのほうが筆が進むはずです。

• Web小説の連載(1話ずつ公開しながら方向を探る)

• キャラクター主導のストーリー(キャラが動くに任せたい)

• 書くこと自体を楽しみたい人

なろう系の人気作家の中には「キャラを作って、あとはそのキャラが勝手に動くのを追いかけるだけ」という方が少なくありません。ただし、これは「エタるリスク」と隣り合わせのアプローチでもある。演繹法を採用するなら、「30話書いたら一度立ち止まって帰納法で残りのゴールを決める」というハイブリッド運用がおすすめです。

実際のプロは「両方を往復する」

ここまで帰納法と演繹法を分けて説明しましたが、プロの作家は意識的・無意識的に両方を使い分けています。

• 演繹法で書き進めながら、ある程度先が見えたら帰納法で結末を固める

• 帰納法で全体設計した後、各シーンを演繹法で肉付けする

• 帰納法で決めたゴールに到達できそうにないと感じたら、ゴール自体を修正する

どちらか一方に固執するよりも、状況に応じて切り替えるのが実践的です。

プロット管理ツールの選択肢

プロットを書く「場所」も大事です。2026年現在、主な選択肢は——

ツール特徴向いている人
Nola小説に特化。キャラ・世界観・プロットを一元管理小説書きに特化したい人
Notionカンバンボードでシーンを並べ替え可能柔軟に構成を変えたい人
Excel / スプレッドシート自由度が高い。ネタだし40との相性が良い表形式で管理したい人
付箋 + ホワイトボード物理的に並べ替えができるアナログ派

どのツールを使っても、大事なのは「帰納法と演繹法のどちらで進めているか」を意識することです。

AIでプロットの骨格を出力する

2025年以降、ChatGPTやClaudeをプロットの壁打ち相手として使う作家が増えています。

使い方の例:

> 「中世ファンタジーで、魔法が使えない少年が魔王を倒す物語のプロットを、帰納法で3つ提案してください。結末は『少年が魔王を倒すが、代償として記憶を失う』で固定。」

AIが出力した骨格を叩き台にして、自分なりの肉付けをする。ゼロから考えるより遥かに効率的です。

たとえば「結末を3通り出して」と指示すれば、自分では思いつかなかった着地点に出会えることがあります。「面白くないけど構造は参考になる」というパターンも意外と役立つ。AIの価値は正解を出すことではなく、思考の起点を量産することです。

ただし注意点が一つ。AIが出すプロットは「よくある展開」に寄りがちです。それをあなたの独自性でどう崩すかが、人間の作家の仕事です。AIが「王道パターンA」を出してきたら、「ではAの真逆は?」と問い返す。この逆張りの壁打ちがAIとの最も生産的な使い方です。

まとめ

プロット = 書き手のための設計図。あらすじ(読者向け)とは別物

帰納法 = 結末から逆算。論理的で破綻しにくいが、書く楽しさは控えめ

演繹法 = 序盤から積み上げ。自由度が高いが、迷子になりやすい

実践では両方を往復するのがベスト

• AIで骨格を出力→人間が独自性を加えるワークフローも有効

次に読むべき記事

• プロットの骨格を5つの質問で描く → プロットを「5つの質問」で描き出す

• 設定や展開で迷ったときの判断基準 → 設定と展開を選ぶ3つの基準

• プロットが億劫な人向けの実践テクニック → 「ネタだし40」と「年表」

この記事が参考になったら、ブックマーク or シェアしていただけると励みになります。

腰ボロ作家について
創作の「設定資料」と「物語の書き方」を中心に、550記事以上を公開中。
サイトトップX(Twitter)

よく読まれている記事

小説の書き方本をもっと読むなら → Kindle Unlimited