なろう式テンプレート徹底解説|追放モノの構造と応用

2020年8月10日

「テンプレ小説は面白くない」──そう断言する人がいます。

しかし本当にそうでしょうか。なろう系の月間ランキング上位を見れば、テンプレ作品が圧倒的に多い。つまりテンプレ作品は「面白くない」のではなく「面白い書き方」と「退屈な書き方」があるだけです。

この記事では、なろう式テンプレートの代表格「追放モノ」を題材に、テンプレの構造分析から独自の物語への昇華まで解説します。


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テンプレとは何か

テンプレ(テンプレート)とは、読者が期待する展開のパターンです。

「追放されたけど実は最強」「悪役令嬢に転生」「スキルが実はチート」──これらは物語の「型」であり、日本の伝統芸能でいう「守破離」の「守」に当たります。

重要なのは、テンプレは完成品ではなく素材だということ。料理でいえば、テンプレは「カレーのルー」です。ルーそのままでもカレーは作れますが、スパイスを足し、煮込み方を変えることで「自分だけのカレー」になる。

テンプレを否定するのではなく、テンプレを使いこなす──それがWeb小説で生き残る技術です。


追放モノの7行テンプレート

まず、追放モノの基本構造を7行に分解します。

1. 主人公がパーティー(組織)に所属している
2. 主人公の能力が過小評価されている
3. パーティーから追放される
4. 追放後、主人公の真の実力が発揮される
5. 元パーティーは主人公がいなくなって困窮する
6. 主人公は新しい仲間・居場所を見つける
7. 元パーティーが後悔する(ざまぁ)

この7行が「追放モノ」の骨格です。ほぼ全ての追放モノ作品は、この構造のバリエーションで成り立っています。


なぜ追放モノは面白いのか──構造分析

読者の快感ポイント

追放モノが読者に支持される理由を分析すると、3つの快感ポイントが見えてきます。

快感1:カタルシス(鬱憤の解放)
主人公が不当に扱われる序盤は、読者にストレスを溜めさせます。そのストレスが追放後に一気に解放される──この落差が強い快感を生みます。

快感2:承認欲求の代理満足
「自分の価値を正しく評価してもらえなかった」経験は、多くの人が持っています。追放後に真の実力が認められる展開は、読者の承認欲求を代理的に満たします。

快感3:ざまぁの爽快感
元パーティーが困窮し、後悔する──「因果応報」の展開は、人間の根源的な正義感を刺激します。

構造的な強み

テンプレとして完成度が高い理由は「感情の設計」が組み込まれている点です。

序盤=ストレス → 中盤=カタルシス → 終盤=爽快感

この感情曲線は、あらゆるエンターテインメントの基本構造(苦難→克服→達成)と一致しています。


守破離で使いこなす

守:テンプレ通りに書く

まず7行テンプレの通りに一作書いてみましょう。

テンプレを「知っている」のと「書ける」のは別物です。実際に書いてみると「3(追放)から4(真の実力)の間に何を挟むか」「5(元パの困窮)をどう見せるか」──テンプレの隙間に無数の判断ポイントがあることに気づくはずです。

破:テンプレを1つ崩す

テンプレ通りに書けたら、次は7行のうち1つだけを変えてみます。

変形例1:追放する側が善意
「お前のために追放した」──実はパーティーリーダーが主人公を守るために追い出していた。ざまぁではなく感動に着地する変形。

変形例2:主人公は本当に弱い
追放後も実力は変わらない。しかし「弱い自分でもできること」を見つけていく──成長ドラマに変換した変形。

変形例3:元パーティーも成長する
主人公がいなくなったことで、元パーティーのメンバーもまた自分たちの問題と向き合う──群像劇への変形。

変形例4:追放を自分から望む
「追放されたい」と自ら望んで組織を出る主人公──追放ではなく独立の物語に変換。

「1つだけ変える」のがコツです。2つ以上変えると「テンプレの良さ」が失われ、読者の期待からも外れてしまいます。

離:テンプレの本質だけ残す

最終段階は、追放モノの「構造」ではなく「本質」だけを抽出して別の物語に応用することです。

追放モノの本質は「不当な評価 → 環境の変化 → 真価の発揮」です。

この本質は、追放モノ以外にも使えます。

• 転校生がいじめられていた学校を離れ、新しい学校で才能を開花(現代ドラマ)

• クビにされた料理人が、別の土地で独立して成功する(グルメもの)

• 追放された魔法使いが、魔法のない国で科学者として活躍する(SF)

テンプレを超えた物語が、ここから生まれます。


2025年のテンプレ事情

Web小説のテンプレは常に進化しています。2025年現在の主な流行テンプレを簡単に紹介します。

悪役令嬢モノ:破滅フラグを回避する物語。2020年代前半のブームが定着。

スローライフ系:追放後に田舎で穏やかに暮らす。バトルよりも日常重視。

配信者モノ:異世界の冒険を配信するメタ構造。VTuber文化の影響。

再会系:幼なじみとの再会から始まるラブコメ。なろうからカクヨムに波及。

テンプレの変遷を観察すること自体が、Web小説の研究になります。


テンプレ活用チェックリスト

1. 使おうとしているテンプレの「7行構造」を書き出せるか?
2. そのテンプレの「読者の快感ポイント」を3つ挙げられるか?
3. テンプレ通りに一作書いた経験があるか?(守)
4. テンプレの1要素を変えた変形を考えたか?(破)
5. テンプレの本質を別ジャンルに応用できるか?(離)


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