小説のストーリー構成入門|起承転結の「役割」を理解する
「小説を書こう」と思い立ったものの、いざキーボードに向かうと手が止まる。
「何から書けばいいのかわからない」――その原因の多くは、ストーリーの骨格が見えていないことにあります。
この記事では、日本でもっとも馴染み深い構成「起承転結」の各パートが何をする場所なのかを解説します。構成を知れば、物語は格段に組み立てやすくなります。
ストーリー構成とは? ――「どの順番で何を見せるか」の設計図
ストーリーを「思いつきで書く」こともできます。でも、家を建てるのに設計図がないと柱の位置がずれるように、物語も骨組みがなければ途中で崩れやすい。
ここでの「構成」とは、起承転結にそって各パートの役割を決めることです。「このパートでは何を読者に感じさせたいか」をあらかじめ設計しておく――それだけで、執筆中の迷いは大幅に減ります。
構成の前に「基盤」を固めよう
いきなり起承転結の中身を考える前に、2つのことを先に決めておきましょう。
1. テーマ(何を伝えたいか)
テーマは物語のコンパスです。「友情の力」「孤独との向き合い方」「自由とは何か」――一言で言える核があると、ストーリーが脱線しても戻ってこれます。テーマの決め方はこちらの記事で詳しく解説しています。
2. 世界のルール(どんな世界の話か)
現代日本が舞台なら不要ですが、ファンタジーやSFを書く場合は「この世界では何ができて、何ができないか」を先に決めておきましょう。たとえば「魔法は存在するが、使えるのは血統者だけ」「銃は自由に持ち歩けるが、マスクなしの外出は違法」など。これがストーリーの地面になります。
起承転結の四章立て ――各パートの「仕事」を知る
ストーリーをざっくり4つのブロックに分ける「起承転結」。それぞれのパートには明確な役割があります。
【起】――読者を物語の世界に引きずり込む
物語が始まるきっかけとなる章です。ここでの仕事は3つ。
1. 世界観と主人公の紹介 ――どんな世界で、誰の話なのかを提示する
2. 感情移入の促進 ――「このキャラを応援したい」「続きが気になる」と思わせる
3. 物語の「問い」の提示 ――「主人公は目的を達成できるのか?」という疑問を読者に持たせる
特にWeb小説では、冒頭で9割の読者が離脱すると言われています(2025年YouTube創作講座サーベイより)。「起」で読者の心を掴めるかどうかが、作品の運命を決めるのです。
【承】――伏線を張り、期待を膨らませる
「起」で始まった話を発展させる中間パートです。ここでの仕事は2つ。
1. 伏線(フラグ)の設置 ――後の「転」で回収する種を仕込む。読者に「何かが起きそう」と予感させる
2. 物語全体の方向性の提示 ――ここまでに物語のゴールを一度明示する。読者に「この話はどこに向かっているのか」を理解させる
難しいのは、「承」は地味になりやすいこと。バトルものなら中ボス戦、恋愛ものなら日常のやりとりで楽しませつつ、次の「転」への助走を忘れないのがポイントです。
【転】――物語最大の山場。読者の感情を揺さぶる
ここが物語のクライマックスの入口です。急展開を描きます。
• 簡単に倒せるはずだった敵が、実は最強だった
• 信頼していた仲間が裏切る
• 主人公とヒロインが、どうしても別れなければならない状況に追い込まれる
ポイントは「ネガティブな方向に振る」こと。読者が「え、ここからどうなるの?」と手に汗を握る――その感情が物語への没入を深め、最後の「結」のカタルシスを倍増させます。
「転」は物語の中で最も丁寧に描くべきパートです。ここの密度が薄いと、物語全体が平坦に感じられてしまいます。
【結】――すべての回収と余韻
主人公の逆転劇で幕を閉じるパートです。よほどの仕掛けがない限りは、主人公の勝利(成長・目的達成)で終わらせてよいでしょう。
ここでのコツは、新しい情報を入れないこと。「起」「承」「転」で十分に状況説明と伏線張りを済ませているので、「結」ではひたすらクライマックスシーンの描写に集中する。そうすることで、読者にスカッとした爽快感と余韻を届けられます。
起承転結だけじゃない ――知っておきたい他の構成
構成のフレームワークは起承転結だけではありません。自分に合うものを選びましょう。
序破急(三幕構成の和風版)
能楽由来の三段構成。序(導入)→ 破(展開・破壊)→ 急(急速な結末)。起承転結より「転」と「結」の間がシームレスで、テンポの速い物語に向いています。短編やWeb小説の1話構成にもフィットします。
三幕構成(ハリウッド式)
映画脚本でよく使われるフレームワーク。第一幕(セットアップ、全体の25%)→第二幕(コンフロンテーション、50%)→第三幕(レゾリューション、25%)。ミッドポイント(折り返し地点)やプロットポイント(転換点)を意識するのが特徴です。
ビートシート(Save the Cat!)
ブレイク・スナイダーの『Save the Cat!』で提唱された15のビートで物語を設計する方法。2025年以降、小説にも応用する書き手が増えています。より細かく物語のリズムを設計したい方におすすめです。
どの構成を使うかに「正解」はありません。大事なのは「各パートに仕事を与えること」。フレームワークはあくまで道具です。使いこなすも、アレンジするも、あなた次第。
まとめ ――「基盤→構成」で物語の骨は立つ
ストーリー構成のポイントをおさらいしましょう。
1. 基盤を先に決める(テーマ+世界のルール)
2. 起 = 引きずり込む(世界観・キャラ紹介、感情移入)
3. 承 = 膨らませる(伏線設置、方向性提示)
4. 転 = 揺さぶる(ネガティブ急展開。最も丁寧に描く)
5. 結 = 回収する(逆転劇、新情報は入れない)
もちろん、この型に100%従う必要はありません。でも「基本から離れるほど理解されにくくなる」のもまた事実です。まずは型通りに一本書いてみて、そこから崩す。料理もまずはレシピ通りに作るのが上達の近道ですよね。
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