恋愛小説の書き方|四角関係の終わらせ方NG例と正しい畳み方

2023年1月25日

恋愛小説で「三角関係」は王道ですが、さらに一人加えた「四角関係」になると、物語の難易度は跳ね上がります。

面白くなる可能性が増える分、終わらせ方を間違えると一気に駄作になる──恋愛小説を書く者にとって、四角関係は諸刃の剣です。

このエントリーでは、四角関係の「やってはいけない終わらせ方」を3つ分析し、「正しい畳み方」を5パターン解説します。


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なぜ四角関係は「畳むのが難しい」のか

三角関係なら「A→B←C」で、Bが選ぶだけです。しかし四角関係になると、感情の矢印が増え、「AはBが好き、BはCが好き、CはDが好き、DはAが好き」のような循環構造すら生まれます。

読者は4人それぞれに感情移入する可能性があります。つまり「誰かが報われない」展開は、読者の少なくとも一部を確実に失望させるリスクを抱えるわけです。

だからこそ、四角関係の畳み方には技術が要ります。


NG例1. 当て馬化する

最も多い失敗パターンが「3人目・4人目を当て馬にする」ことです。

序盤では魅力的だった恋敵キャラが、物語が進むにつれて急速に魅力を失い、最終的には「最初からメインカップルが結ばれる予定でした」と言わんばかりの退場をする。

なぜダメなのか

読者は物語内の全てのキャラに時間を投資しています。当て馬化は「あなたが費やした感情移入は無駄でした」と読者に宣言するのと同じです。

特に問題なのは、当て馬にするために終盤でキャラの人格を劣化させるパターンです。嫌われるための唐突な裏切り、わがまま化、理不尽な行動──。これは読者の信頼を根底から壊します。

見分け方チェック

自分の作品にこの傾向がないか、以下で確認してみてください。

• 恋敵キャラの「良い面」が中盤以降消えていないか?

• 恋敵が「噛ませ犬」として機能していないか?

• 恋敵の退場理由がそのキャラの人格から自然に導けるか?


NG例2. 急にいなくなる

四角関係が面倒になったのか、「転校」「留学」「引っ越し」「事故」などの外的要因で一人を物語から退場させてしまうパターンです。

なぜダメなのか

読者はキャラクター同士の関係性に興味を持って読んでいます。外的要因による退場は感情のドラマではなく、作者の都合に見えてしまいます。

さらに悪いのは「退場させた後、残りのキャラが何事もなかったかのように恋愛を進める」パターンです。読者は「あの人のことは?」とモヤモヤし続けます。

NGの具体例

NHK朝ドラ『ちむどんどん』では、ヒロインの恋愛関係において複数の男性キャラが登場しましたが、一部のキャラの扱いに対し視聴者から批判が集まりました。理由の一つは「恋愛関係を丁寧に畳んでいないこと」です。片方の感情が十分に描かれないまま関係が消滅し、次の恋愛にスムーズに移行してしまうと、感情の連続性が断絶します。特にヒロインが葛藤もなく次の恋愛にスムーズに移行すると視聴者(特に男性)は失望します。現実の女性は、過去の男を上書き保存とはよく言われますが、物語の中ではそんな現実を見せてほしくないですね。


NG例3. 全恋愛を清算して終わる

「結局、誰も選ばない。みんな友達!」──一見平等に見えるこの結末ですが、恋愛小説としては最悪の着地です。

なぜダメなのか

恋愛小説を読む読者は「感情の決着」を求めています。「誰も選ばない」は「決着をつけなかった」のと同じであり、物語としての責任放棄に見えます。

もちろん「全員が恋愛以外の道を見つける」というテーマ的に意味のある結末なら話は別です。問題なのは、単に選べなかっただけの「逃避エンド」です。


正しい畳み方5パターン

では、四角関係をどう畳めばいいのか? 5つの方法を紹介します。


畳み方1. 恋愛以外の「報い」を用意する

選ばれなかったキャラに、恋愛とは別の幸福──夢の実現、自己成長、新しい出会いの予感──を与える方法です。

「恋愛では負けたけれど、人生では幸せになれた」という読後感は、読者の心に温かさを残します。

重要なのは、その「報い」が物語の中で自然に伏線として描かれていることです。唐突に「実は夢がありました」では説得力がありません。序盤から恋愛以外の人生目標を見せておきましょう。


畳み方2. 相手の幸福を祈る退場

「あなたが幸せなら、それでいい」──切ないけれど美しい退場です。

このパターンを成功させるコツは、祈りに至るまでの葛藤をしっかり描くことです。最初から物分かりのいいキャラでは感動しません。嫉妬し、苦しみ、悩んだ末にこの境地に辿り着くからこそ、読者の涙を誘うのです。


畳み方3. 三角に戻す(一人を先に決着させる)

四角関係を維持し続けるのが難しければ、物語中盤で一人の恋愛を先に決着させ、三角に戻すという手法があります。

このときの注意点は、先に決着するキャラの退場を「物語的意味のある出来事」にすることです。その決着がメインカップルの関係に影響を与える──たとえば「あの人が身を引いたから、自分の気持ちに気づいた」──のような構造がベストです。


畳み方4. ダブルカップル成立

A×BとC×Dの二組が成立する、いわゆるダブルカップルエンドです。

読者満足度は高いですが、ご都合主義に見えるリスクもあります。成功させるコツは「最初からこの組み合わせを目指していたわけではない」と読者に思わせることです。

C×Dの関係が、A×Bの恋愛の「影響」として生まれる──共に失恋を慰め合うのではなく、四角関係という嵐の中で互いの新しい一面を発見する──という設計が理想です。


畳み方5. メタ的にずらす

恋愛の決着を「どっちを選ぶか」ではなく、「恋愛そのものへの向き合い方」にシフトさせるパターンです。

たとえば主人公が最終的に「まだ誰も選べない。でも、この気持ちと向き合うことが大事だと分かった」と結論づける場合、それは逃避ではなくテーマの昇華になります。

ただしこの手法は高難度です。「選べないだけの優柔不断」と「テーマ的な意味のある保留」の境界線は紙一重ですから、読者に伝わる描写力が要求されます。


チェックリスト|畳む前にこの5項目を確認

四角関係を畳む前に、以下のチェックリストで自作を検証してみてください。

1. 全員の「好き」の理由が描かれているか?
2. 選ばれないキャラに物語上の役割があるか?
3. 退場するキャラの「その後」が想像できる余白を残しているか?
4. 恋愛の決着がテーマと繋がっているか?
5. 読者が「この結末しかなかった」と思える必然性があるか?

1つでも「No」があるなら、畳み方を再設計する価値があります。四角関係は難しいですが、うまく畳めれば読者の記憶に長く残る物語になりますよ。


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