プロットの「つなぎ」を意識する|シーン間を自然につなげる方法

2021年8月24日

プロットの骨格は完成した。大きなイベントもクライマックスも決まっている。

——でも、イベントとイベントの間が書けない

これは多くの作家が経験する「つなぎ」の壁です。クライマックスのシーンは頭の中にあるのに、そこに至るまでの日常パートや移動パートがどうしても浮かばない。

この記事では、プロットの「つなぎ」で苦労する2つのパターンと、4つの対処法を解説します。

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「つなぎ」とは何か

「つなぎ」とは、プロットのイベントとイベントの間を遷移させるエピソードです。映画で言うところの「トランジション」。

たとえば——

• イベントA:主人公が村を出発する

(ここが「つなぎ」)

• イベントB:主人公がダンジョンに到着する

AからBに飛んでも物語は成立しますが、読者は「なぜこの人物がここにいるのか」の感情的な根拠が欲しい。つなぎは、その根拠を提供するエピソードです。

苦労するパターン①:日時が離れている

イベントAとイベントBの間に、時間的な空白がある場合。

たとえば「修行を終えた主人公」(3月)と「次の大会に出場する主人公」(8月)の間に5ヶ月の空白がある。この5ヶ月をどう処理するか。

なぜ苦労するか

日時が離れていると、感情の連続性が切れるからです。修行直後の高揚感と、5ヶ月後の大会出場時の緊張感は、感情の種類が違う。その間をどう橋渡しするか、イメージが湧きにくい。

対処法

時間の空白を埋める技術は3つあります。それぞれ与える印象が違うので、作品のトーンに合わせて選んでください。

時間の経過を1行で飛ばす — 「それから5ヶ月が過ぎた」。シンプルだが、使いすぎると読者に雑な印象を与える

ダイジェストで処理する — 修行の成果が日常で発揮される小エピソードを2〜3個並べて、時間経過を体感させる

時間の空白自体をネタにする — 「5ヶ月の間に何かが起きていた」という伏線として活用する

苦労するパターン②:事象と感情が混在する

イベントが「出来事」として設計されているのに、つなぎに必要なのが「感情の変化」であるパターン。

たとえば——

• イベントA:仲間が死ぬ(事象)

(つなぎ:悲しみ→立ち直り→決意)

• イベントB:敵のアジトに乗り込む(事象)

AもBも「何かが起きる」イベントですが、つなぎに必要なのは「主人公がどう感情を処理するか」です。

なぜ苦労するか

プロットを「出来事→出来事→出来事」で作っていると、感情の遷移が設計されていないため、つなぎが生まれないのです。

対処法

感情の遷移を自然に書くための技術は、大きく分けて2つあります。どちらも「感情を飛ばさず、段階を踏む」ことが共通原則です。

感情の段階を分解する — 「悲しみ」は一瞬では「決意」にならない。否認→怒り→悲嘆→受容→決意、のようにステップを踏む

感情を行動で表現する — 「主人公が仲間の墓に花を供え、仲間の武器を手に取り、敵のアジトに向かう」。感情を「行動化」すると、シーンとして書ける

特に2番目の「感情を行動で表現する」テクニックは汎用性が高い。「悲しい」と書く代わりに、悲しい人間がとる行動を書く。これだけで「語るな、見せろ(Show, don’t tell)」が実践できます。

対処法③:既存作品から「つなぎ方」を盗む

つなぎが浮かばないとき、似た状況の既存作品を探してパターンを拝借する方法が有効です。

実例から学ぶつなぎのパターン

涼宮ハルヒの憂鬱(日常→非日常のつなぎ):
SOS団の日常活動と超常現象の間を、「ハルヒの退屈→突然の事件」というパターンでつないでいる。日常シーンが「退屈の蓄積」として機能し、非日常への跳躍に説得力を与えている。

ワンピース ウォーターセブン編(裏切り→決戦のつなぎ):
ロビンの裏切り(事象)から、エニエス・ロビーへの突入(事象)までの間に、ルフィたちの「仲間を取り戻す」という感情の収束が丁寧に描かれている。「ロビン、生きたいと言え!」のシーンは、つなぎの理想形。

ハンターハンター(修行→実戦のつなぎ):
天空闘技場編で念を学んだゴンとキルアが、ヨークシン編で実戦投入されるまでの間に、「念能力の試し打ち」エピソードが入る。修行で得たスキルのデモンストレーションがつなぎとして機能。

対処法④:突拍子もない展開から発想する

論理的に考えてもつなぎが浮かばないときは、あえて突拍子もない展開を妄想するテクニック。

イベントAからイベントBへの「正しいつなぎ」が思いつかないなら、いったん「ギャグ漫画だと思って」何でもありで書いてみる。

たとえば——

• 仲間が死んだ直後に、敵が「実は私が殺したわけではない」と言い出す → 意外な真相のつなぎ

• 修行の帰りに道に迷って見知らぬ村に着く → 新キャラとの出会いのつなぎ

• 主人公がヤケ食いしている → コミカルなつなぎ

突拍子もないアイデアの中から、使えるものだけを拾って洗練させるのがコツ。論理思考の壁を突破するための、一種のブレインストーミングです。

映画的カット技法の小説への応用

映画のシーン切り替え技法を知っておくと、つなぎの選択肢が広がります。小説は映像がない分、「読者の頭の中で映像が切り替わる」ように書く必要があります。以下の技法は、特に多視点の物語や並行するプロットラインを描くときに威力を発揮します。

映画技法小説への応用
スマッシュカットつなぎなしで、まったく違うシーンにパッと切り替え。章を変えて空白行を入れる
ディゾルブ前のシーンの残像を残しながら次のシーンに移る。回想と現在を重ねる文章表現
モンタージュ短い断片の連続で時間経過を表現。ダイジェスト手法
マッチカット前のシーンと次のシーンに共通の要素を置く。「夕日を見つめる主人公」→「朝日が昇る戦場」

まとめ

つなぎ = イベント間を遷移させる根拠付けエピソード(トランジション)

パターン①: 日時が離れている → 時間飛ばし、ダイジェスト、空白のネタ化で対処

パターン②: 事象と感情の混在 → 感情の段階を分解し、行動で表現する

対処③: 既存作品から「つなぎ方」のパターンを盗む

対処④: 突拍子もない展開でブレインストーミング

次に読むべき記事

• つなぎの「前段階」となる部品作り → 小説を「部分と全体」で考える

• 1話の終わり方でシーン間をつなぐ → 「続きが読みたい!」を生む11の区切り方

• プロットの骨格作り → 「ネタだし40」と「年表」

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